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浜田山通信 №283 [雑木林の四季]

女性の自立

        ジャーナリスト  野村勝美

 日本オリンピック委員会(JOC)の評議委員会で、日本ラグビー協会を例に出し「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる。女性は優れており競争意識が強い。誰か一人が手を挙げて言うと、自分も言わないといけないと思うんでしょうね。それでみんなが発言される」と、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が発言した。これが女性蔑視だとして2月3日以来袋叩きにあい、12日にはとうとう森会長は辞任に追い込まれた。右腕の白いYシャツの袖が大きくはみ出し、オーダーメイドのりっぱなスーツとマッチしない。私も左腕が長かったのでYシャツの袖がいつも気になった。
 森さんは83歳。私より8歳ほど年下だが、政治家やタレントなど有名人は、いくつになっても自分はまだまだ現役だと思っている。体力、脳力の限界を覚えない。むしろJOC会長なんて重職はおれ以外の誰がいると思っている。だから会議などもなるべく自分の思うようにスムーズに運んで、自分の思うように決定したい。何事も物事はてきぱきと進み、異論なく結論が得られれば満足ということになる。少なくとも男社会はそうだった。
 ところが今や男女同権であり格差社会是正の世界である。目覚めた女性に自己卑下や遠慮はない。堂々と自己主張をする。女性蔑視には猛反対する。彼女たちは、その服装がまちまちなように、それぞれの主義や主張を堂々と発表する。 男社会のように同じスーツを着て、親分の言うとおりを主張し、実行することはない。
 政治の社会では派閥の長の言うことは絶対であった。どんなことでも一人一人意見の違いはあるはずだが、政治派閥の中ではそれは許されない。親分の言うことに従わなければ仲間はずれになり、孤立せざるを得ない。一人では何もできない。これまでの政界、政党政治ではそれが当たり前であり、だから大派閥、大親分のもとに政治家は集まった。閥の中に女の長はいなかった。しかし、世界をみると、ドイツのメルケルさん他何人も女性首長がいる。日本は男女同権度で世界ランキング120何位かだ。ただ最近は各方面で女性の進出が目立っている。女性の一人一人が自覚し、自立してきている。
 83歳の森さんは、自立し、自己主張する女性の気持ちや行動がわからない。同じスーツとネクタイの男性には、一人一人違う衣装をまとい、違う意見を主張する女性の気持ちがわからない。自立した女性の主張は、それぞれがするので長くなるだろう。親分の言うことをそのまま受け売りする男の話は、異議なしですむ。会議が長くなるのは男女同権が進み、女性の地位向上が実現しつつある証拠だ。
 森さんの発言は、女性蔑視、特に私のような男社会の意識の遅れを暴露したもので、何事も上司の言いなりになってきた男社会は、それぞれが異なる自己主張をする女社会に従うことになるだろう。


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