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検証 公団居住60年 №73 [雑木林の四季]

ⅩⅢ 独立行政法人化して都市再生機構に改組

    国立市富士見台団地自治会長  多和田栄治

1.都市基盤整備公団廃止の閣議決定
 経団連の「特殊法人等の改革に関する第1次提言」(2000年3月)をうけて森喜朗内閣は同年12月1日に「行政改革大綱」を閣議決定し、行政改革の第一の柱に特殊法人改革をあげた。全特殊法人を抜本的に見直し、05年までを目途に廃止、民営化、または独立行政法人への移行を実施する、そのための計画について翌01年4月3日に内閣官房行政改革推進事務局が「特殊法人等の事業見直しの論点整理」をおこなった。そのすぐあと森内閣は国民の総批判をうけて退陣し、4月26日に小泉純一郎内閣が発足した。
 小泉首相は5月の所信表明演説で「聖域なき構造改革」の「決断と実行」をさけび、国民に「痛みに耐える」ことをもとめた。はじめに着手したのは特殊法人改革である。特殊法人の「ゼロベースからの見直し」を命じ、「廃止」「民営化」を急がせ、6月に小泉首相を本部長とする特殊法人等改革推進本部を設置した。事務局は157特殊法人・認可法人の事業見直し案と所管省庁の意見を併記した「特殊法人等の個別事業見直しの考え方」をしめした。都市公団の住宅事業については「新規の賃貸住宅の建設はおこなわない。既存住宅は、可能なものから順次売却する」とあった。
 この事務局案に先行して、石原伸晃行革担当大臣は01年6月の国会で、特殊法人見直し基準の「事業の意義」「採算性」「民業への圧迫」にてらし、「住宅は充足している」「国民の税金が使われている」「公団家賃は民間家賃よりも低く民業を圧迫している」と答弁し、公団住宅の「はじ糾こ廃止・民営化ありき」の方針を明らかにした。内閣支持率が高かった状況のもとで、一部マスコミもこれに乗って公団住宅「廃止」論を書きたてた。
 全国自治協はかつてない大きな危機に直面して、公団住宅を公共住宅として存続させる大運動に取り組んだことはいうまでもない。行革推進事務局案にたいしては、都市公団、住宅金融公庫、道路4公団をかかえる国土交通省(旧建設省、2001年1月6日の中央省庁再編による)が「意見」を提出、自民党の一部からも「抵抗」がではじめた。
 同年8月になると、株価続落、完全失業率5%突破、企業倒産はバブル崩壊後最悪を記録した。そんななかで政府は高齢者医療や健康保険の制度改悪をすすめ、大企業減税とひきかえに庶民増税の検討が報じられ、メディア規制と有事法制の法案提出等がつづき、小泉政治の暴走に国民の不安が高まりつつあった。
 こうした状況下で小泉首相は、「大物公団」の廃止・民営化をぶち上げることで「小泉改革」をアピールしたかったのだろう。8月28日には扇千景国交大臣にたいし都市基盤整備公団、住宅金融公庫、道路4公団の廃止・民営化案を早急にまとめるよう指示した。国交省はこの指示をうけて翌9月21日に「民営化」の看板をかかげ6法人改革案を提出した。

『検証 公団居住60年』東信堂


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