祖道傳東Ⅱ №31 [文芸美術の森]
第三十一図 「渓聲山色」
画 傅 益瑤・文 曹洞宗大本山永平寺
(紙本墨画彩色)九〇×一二五 軸装
道元禅師の『正法眼蔵』の「渓聲山色(けいせいさんしょく」は、四季それぞれの表情を見せる目本の山河、あるいは中国の水墨両の風景がそのまま絵巻のように見えてきます。
中国に渡っての弘法救生による諸山巡遊の旅は、文字通り身をもって学び、心をもって学んだ姿でありました。道元禅師の感動の深さがそのまま書きしるされた多くの言葉は、言ってみれば「言(こと)」と「言霊(ことだま)」から成り立っています。
さらに「正修行のとき、渓聲山色、山色山声、ともに、八万四千偈をおしまざるなり」とあって、正しく修行をしておれば、渓谷のせせらぎも、山の景色も、風の音、静けさそのもの、それら全て偈(げ)を惜しまない。つまり、名利身心を捨てたとき、山の本当の姿が見えると言います。
悟りを得るきっかけになった自然との交流の感動を説いているものが、この「渓聲山色」の意味するところです。
道元禅師は、目の前に聳えている山の姿は、そのまま仏の姿であって、山の清浄身そのものであると言います。
『祖道傳東』大本山永平寺
2020-11-29 08:04
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