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祖道傳東Ⅱ №30 [文芸美術の森]

第三十図 「慧解真諦」

     画  傅 益瑤・文  曹洞宗大本山永平寺

30-2.jpg
(紙本墨画)90×125 軸装

 深山幽谷の越前永平寺から出ることを最後まで嫌がった道元禅師は、京都に着いてから治療に専念する毎日を過ごしました。
 手厚い看護を受けながら、なお布教への意欲を見せています。
 ある日、高辻西洞院の覚念の邸宅で、『法華経』の「如来神力品」の一節を唱えながら先師如浄に倣って「妙法蓮華経庵」と、渾身の力を振り絞って柱に書き付けました。
  
  五十四年 照第一天
  打筒勃跳(ぼうちょう) 触破(しょくは)大千
   呵
  渾身無覓 活陥黄泉

道元禅師の最後の偈です。人生五十四年、生命を喜捨した道元禅師の心に照らし出された世界は、ひらめきとなって、すべての世界が見えたのであります。この時、道元禅師の身体は円通されて、生と死の境目がなくなったように、永遠に生きつづけることになりました。その辞世は、
   また見んと おもしい時の 秋たにも
           今夜の月に ねられやはする

 建長5年(1253)8月28日夜半、宗教家としての短い一生が終わりました。

『祖道傳東』大本山永平寺


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