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猿若句会秀句選 №111 [ことだま五七五]

              猿若句会2020年10月例会(10月17日)特選句集

            猿若句会会亭  中村信

鮭番屋鱗の光るゴム長靴   川上登美枝
刈田道転がってゐる猫車   高橋 均
久し振り慶事の靴を磨きおり   古明地昭雄
リハビリの父の掌に鳴る鬼胡桃   花柳小春
なかなかに去なぬ刈田の夕童子   丸本 武
銀座線べたら市より帰る人   宮島久代
横浜の港秋晴れ赤い靴   長谷川英夫
流れゆく胡桃どこまでも海までも   大橋一火

◆猿若句会十月例会の特選句集です。
  例によって一句だけ[鮭番屋鱗の光るゴム長靴 登美枝]の短評から始めます。今月の巻頭句は異色と云えば異色でしょか。「鮭番屋の軒先にゴム長靴が干してある。長靴には幾つもの鮭の鱗がこびり付いて光っている。」句意はそんなところでしょうか。問題は「番屋」をどこまで理解して作句されているかでした。席題「靴」(即興)句ですので、焦点は別になっています。そこが問題になりました。何となく「番屋」とはどんなものなのかイメージは他媒体から解かっているような気はします。しかし、それ以上に詳しくは知りません。句会に出席する人は、最低国語辞典と歳時記は携行しています。そこで、早速調べてみますがどれも頼りになりません。最近のスマホは小さな百科典的な機能を持つものもあります。しかし、これもあてになりませんでした。結局は自分の持てる知識の範囲内で、先の句意のイメージをどれだけ広げられるかになります。まさに「群盲、象を撫でる」(失礼)の図です。季語は「番屋」だけなのか? 「鮭番屋」は『デジタル辞泉』の鮭の副題だけにありましたが「鮭の番屋」としか書かれておらず問題になりません。「番屋の大きさは?」「何人くらいはいれるの?」「飲食は出来るの?」どこから仕入れた知識か「女人禁制?」[博打はいつ行われるの?]どんどん俳句とは関係ない方向にいきはじめました。「作者はどこまで知っていて作句しているの?」いい機会がきたと、会亭は機会を逃さず「種々あるでしょが、作者は何方でしょう?」すかさず「網走出身の登美枝です」本人と会亭・久代はわかっていたので沈黙を守っていたのですが解き明かしました。番外編ですが番屋の真実と詳細が明かされました。番屋はあくまでも禁漁の時間中・深夜に、鮭の盗漁を見回るための基点です。以上、一部のノンフィクション入りの番屋解説で終ります。
◆特選以外の秀作・佳作については、新ブログ[パソコミ誌『あ』の電脳版]http://a-houshin.hatenablog.com/に掲載しています。まだテスト版ですが、おいおい充実させてゆくつもりです。ご覧いただき・ご支援ください。




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