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バルタンの呟き №84 [雑木林の四季]

「日はまた昇る」

                           映画監督  飯島敏宏

「ちょっと待ってくれないか!」
と叫びたいほどに、光陰(こういん)が矢のごとく飛び去ってゆく今日この頃です。(もしかすると読んでくれるかもしれない若い世代の為に)光(こう)は昼間の意、陰(いん)は夜、一日一日があっという間に過ぎ去ってしまう、と嘆きたくなる、ということです。
「あ、この表現ですが・・・ちょっと・・・」
近頃、頼まれてなにがしかの紙誌(新聞、雑誌、パンフなど)に文を寄せるたびに、編集者からちょくちょく古い(僕たち世代では当たり前な)用語、譬えなどについて、遠慮がちに訂正を求められることが多くなりました。実務教育の指針で国語教育から文学が外れると、文化としての日本語の将来がどうなるのか、ヤバイ(あやうい)です。
「そうか、僕も、高齢者だからねぇ」
といえば、ママ(バー、クラブなどの女性のことではなく、僕のカミさん、妻です)からは、
「やあねえ、パパは超高齢者ですよ!」
とやられる歳になりました。先月、ドラえもんとおんなじ日が八十八歳の誕生日、米寿を迎えた僕の今日この頃の話です。

まあとにかく秋も深まり、日に日に夜明けが遅くなりました。はや数十年のルーティンワークとなった毎朝6時30分開始、わが街の中央公園ラジオ体操に向かうために、暖かいベッドから未練たらたら抜け出すにも、ひと際の決断を要する時季になりました。気が付けば、はや霜月(11月)、朝夕は一段と冷え込んで、マスク姿で歩くのが、秋深まった辺りの風景と調和してきました。
(歩く距離の問題ではなく、広い歩幅で姿勢よく歩くスピードが、心肺の老化を防ぐためのコツなのです)
高齢者向きの健康記事で売る週刊○○のレギュラードクターの言葉を脳裡(頭の中)で反芻(繰り返し噛む)しつつ、勢いよく歩を進めるマスクの中に籠る炎々たる(熱い)気息が、一段と広く厚く眼鏡のレンズを曇らせる寒さになってきました。一時この過疎(人がいない)街を賑々しく飾った紅葉の時期を過ぎ、枯れ残る庭木の葉を邪険(非情)に吹き散らす風に、季節を待つ師走(12月)の声が聴かれます。
今年、西暦2020年こそは、万端の準備を整えて、TOKYOオリンピック・パラリンピックを催し、もう75年前になるあの惨めな敗戦、さらに、東日本大震災ほかの災害などを超えた晴れがましい姿を世界に示す、筈だった日本でしたすが、この春になって、昨冬中に中国武漢の研究所で起きた、たった一粒の(かどうかわかりませんが)蝙蝠(こうもり)由来とされる新型コロナウイルスの失踪に端を発したコロナ感染が、中国の春節大休暇を迎えて訪れた膨大な来日客と、欧州、スペインなど海外流行国からの帰国者、そして止めには、香港から感染者を載せたまま周遊してきた巨大クルーズ船ダイヤモンドプリンセスの寄港中の船内パンデミックから、遂に、高みの見物(のんびり他人事と)していた僕たち自身の危険さえ犯す存在となり、またたくまに全地球規模の悪疫感染騒ぎになってしまったのでした。
その後、ご承知の通り、遅ればせながら政府の緊急事態宣言が出されたのですが、以来、僕ら高齢者は、感染の重症化を防ぐための喫緊(緊急)の対策ということで、不要不急(?)の外出を禁じられ、我が家と、町内最少生活圏に、籠の鳥状態で禁固され続けている次第です。
「もうそろそろ、もうすぐ・・・片が付くだろう」
生来、何事にも楽観的な、“今日より明日は良くなる”思想を遺伝的宗教的にDNAとして有する平均的日本人である僕が、そう信じて過ごすうちに、オリンピック・パラリンピックで沸き立っていた筈の2020TOKYOの夏も、空しく響く閑古鳥(暇で困る)の声を残して飛び去ってしまったのです。

さて、打って変わって、菅新内閣から飛び出したコロナ下経済促進の大盤振る舞いであるGO to!キャンペーンですが、期待に反して、深い山から気軽に人類の街地にまで出かけてきた熊や猪や鹿を尻目に、僕ら高齢者は、またしても、感染予防の庇護!の為に留め置かれて、わが家族の子、孫世代が、僕とママが、(新総理の生い立ちからの奮闘物語ほどではありませんが)現役時代の全てを賭けてものしたこの家に棲まず、近隣とはいえ他県に巣づくりして、ああ、平均年齢が遂に後期高齢者(75歳以上)に達したなんとも静寂極まりないこの街で、光も陰も飛び去るままに、静ごころ(落ち着いた無心状態)ありで、蟄居(地下に身をひそめる虫のように潜んで)を強いられている今日この頃です。
「今日こそは、なにか・・・」
と、郵便受けから取り出して眺める新聞の紙面も、テレビも、ラジオ体操を待ち受ける中央公園の仲間たちのソーシャルディスタンス・アンド・マスクで交わす会話も、何もかもが新型コロナウイルスcovid-19で占められています。精神的に見れば、まるでもう充分に感染して、重症化してしまったようです。中には、ラジオ体操に顔を見せる気力も失って、自宅に引きこもって塞ぎ込んでいる方もかなりのようです。これをして、コロナ鬱パンデミックとでもいうのでしょうか。

ところで僕は、最近、決して妄想ではなく、ほんとうに、一日が短くなったような気がしてならないのです。これも、地球人類の行き過ぎた経済活動に起因する温室ガス効果で地球が温暖化したせいでしょうか? ひょっとすると、SDG‘sをすでに超えてしまった地球の歪みが・・・
「違う、違う! 太陽を中心にまわる地球の自転公転は、いくら地球の温暖化が度を越したと言っても変わりゃしないよ!SFものの脚本なんか書いてたくせに、科学的じゃないなあ爺(ジイジイ)は」
めでたく志望大学理科系に合格したものの、コロナ収まらずで、未だに憧れのキャンパスで、直接(じか)に教授と接したこともない、リモート大学生の孫の言い分です。
「それは、歳をとって、ジイジイの行動が遅くなったから、相対的にそう感じるだけじゃないの?」
学園の売り物だった折角のカナダ短期留学が、コロナでオジャンになった高校生の孫娘にも、完璧に否定されるかもしれませんが・・・

「コロナは終わった!我々は、コロナを、完璧に制圧した!さあ、世界一強いアメリカの復活だ!」
ご自分は、感染しても、強烈な体力と、副作用など何のそので、まだ半熟の自国製ワクチンを体内に注入して、自らは抗体を獲得し、周囲の人々への感染もものかわ、不利を報じるフェイク・ニュース!を逆転すべく、激戦区の選挙運動に狂奔するトランプさん。
「われわれは、完璧にチャイナ・ウイルスを制圧した!さあ、世界最強のアメリカを取り戻せ!」
でも、マスクを掛けずにトランプ賛美の声を張り上げる群衆を前に、トランプグッズを振りまいて胸を張る無邪気(!!!)過ぎるトランプさんは、本当に、開発途上の自国産ワクチンで、完全な抗体を獲得したのでしょうか、それとも、もともとが、僕らとは違う不死身のDNAを持った高齢者なのでしょうか・・・
「新型コロナウイルスは、完璧に制圧した。さあ、一帯一路、世界経済振興の先頭に!」
と、covid19が、自国製新型ウイルスであるのを忘れたように、サイバー王国建国の先頭に立つ、習近平さん。

オリンピック喪失で沈潜したわが日本に新しく登場した菅義偉総理大臣も、負けじ、と声を上げました。
「国民の生命を守る為のコロナ対策を万全に行いつつ、コロナ禍で失速した経済の立て直しを!」
決して棚ぼた(棚に置いてあった牡丹餅が、何もしないのに口の中に落ちてきた幸運)ではなく、火中に栗を拾う(燃える火の中に落ちている栗を、やけどする危険を承知で手を伸ばして拾い上げる。国難に勇気をもって身を捧げる)覚悟で、病気中退の安倍総理の衣鉢を継いで(前任者の行った通りにやります)と、生来の熟慮と周到な根回しの末、後出しジャンケンで立候補、見事当選した菅義偉総理大臣が組みあげた、国民のために働く内閣(今までの総理や閣僚は誰のために働いていたのでしょう。当たり前のように聞こえますが)の旗振りで、世間は、まるで「コロナ何するものぞ!」の号砲一発、ゲイトが上がって一斉に飛び出した競走馬のように、まず菅義偉氏保有の本命馬スガノヨシテル号がハナを切って逃げ、それを追って、マスコミ号はじめ、政界、経済界、教育界、思想界号などが轡を並べて競り合い始めたではありませんか。
でも、東京の感染者が、本日、20代30代を中心に203名、増加傾向、遂に東京都で30000万人を超えました。現在はほぼ健康といえども、昨年のこの時期、誤嚥性肺炎で入院して、いまやほとんど片肺飛行の超高齢者である僕は、この状況に、疑心暗鬼でもあります。
そして追い打ちをかけるように、かつての職場TBSから送られてきた旧友会名簿です。現会員住所欄には知っている名前がほとんど無く、物故者名簿(要りませんよ!)の方に圧倒的に親しかった知人の名が多かったのです。

しかし、夜は必ず明けるのです。陽は、また昇るのです・・・僕は、バルタンは、明日を信じて、残る霜月師走を無為には過ごしません、多事多端(色々大変)だった2020のゴールを目指して走ります。「雨ニモマケズ、コロナニモマケズ」呟き続けるのです。最後の最後に、首の差で勝利をかち得た名馬コントレイルのように・・・
 
 
 


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