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往きは良い良い、帰りは……物語 №87 [文芸美術の森]

9月こふみ会通信

           9月幹事  森田一遅/小
茘子

みなさん、おはようございます。
9月になってもコロナは治まりそうもなく、今回も、こふみ会は、こあみ句会となります。
こあみ句会は、不自由な中にも、おうちでゆっくり考える、じっくり選句できるなど、それなりの面白味もあることが、だんだんわかってきましたので、今回も奮ってご参加いただきたいと思います。●今月の幹事は、茘子と一遅です。
では、兼題を発表します。
爽やか   新酒   赤蜻蛉   コーヒー
※赤蜻蛉は、赤トンボ、秋茜など表現自由。コーヒーは無季なので各自で季語をつけてください。
●9月10日(木)までに、投句をお願いします。
●9月12日(土)をメドに、投句一覧をバックいたします。
●15日(火)までに、選句結果をお送りください。
  天句1、地句1、人句1、客句5 です。
  先月同様、天句は5点、地句は3点、人句は2点、客句は1点で採点します。
  天句には、ひとこと、鑑賞文を、お願いします。
●20日(日)には結果がみなさんに届くよう、がんばります!
まだまだ暑い日が続きますが、お元気でお過ごしください。

●9月こあみ句会・句別/作者別上位集計・結果発表
  【二桁得点7句】
  駆け抜けるキミは自転車赤トンボ(一遅)22点
  鐘の音(ね)に湧き出ずるなり赤蜻蛉(孝多)19点
  甲斐駒ヶ岳(かいこま)に一礼をして今年酒(すかんぽ)17点
  口切れるほど薄き盃新酒注ぐ(虚視)14点
  百人の子に百の夕焼け 赤とんぼ(鬼禿)12点
  丁寧に丁寧にコーヒー入れて ひとり(鬼禿)11点
  赤蜻蛉空のひろさを蹂躙す(矢太)10点
  
  【4句得点計最多者6人(赤+コ+爽+新)】
  鬼禿12+11+9+3        計35点
  虚視7+5+4+14         計30点
  一遅22+5+2+1         計30点
  矢太10+5+7+7         計29点
  孝多19+4+5+0         計28点
  すかんぽ3+1+3+17         計24点
  
  以上、今月の天は鬼禿さんでした。おめでとうございました。
  
私の天句と、天句へのメッセージ
舞蹴選・赤13:百人の子に百の夕焼け赤とんぼ(鬼禿)
「百人の子」の言う言葉に圧倒されます。「百の夕焼け」という言葉に、二度圧倒されます。それぞれの子に、それぞれの幸せが待っていて欲しいと赤とんぼは強く願っている。
華松選・赤7:赤蜻蛉空のひろさを蹂躙す(矢太) 
小学生の頃、男鹿の稲刈りは田んぼに高い杭を打ち、稲を十字に掛け積み上げて干しました。その空を赤蜻蛉が蹂躙したものです。今はコンバインになり、赤蜻蛉は風情と化しました。 
一遅選・赤13:百人の子に百の夕焼け赤とんぼ(鬼禿)
赤蜻蛉という題で、この句が生まれたのはすごい!俳句は、読み手に、心地よい思いがけなさを届ける文学なんだ!と、この句で学びました。
可不可選・新15:口切れるほど薄き杯新酒注ぐ(虚視)
「口切れるほど」という目の醒めるような表現に感動。
弥生選・爽18:爽秋や千草(ちぐさ)に宿る滴(しずく)かな(孝多)
爽やかな秋の朝の光景でしょうか。韻律の整った古典的な美しい俳句だと思います。
下戸選・赤8:鐘の音(ね)に湧き出ずるなり赤蜻蛉(孝多)
鐘の音が響き渡る空に、赤蜻蛉の群れが放たれる。たった17文字で壮大なイメージの宇宙へと旅立たせてくれる。秋という季節の深さ、広さを感じさせてくれる俳句です。
珍椿選・赤15:秋茜群し校庭アスファルト(虚視)
子供たちの代わりに校庭で赤蜻蛉たちが元気にあそんでいるよ。
鬼禿選・赤6:駆け抜けるキミは自転車赤トンボ(一遅)
赤トンボの比喩を坂下る自転車の女の子にしたのが秀逸。「17文字の青い山脈」です。私の【地句】の甲斐駒ヶ岳に1礼の酒は『七賢』ですよね。「をして」はいらない。鬼
美留選・爽3:爽やかにポプラ並木に修道女(舞蹴)
ポプラ並木は、左右対象に高木が続く長い道修道女がその遠景から捉えられるは、モノクロの衣服とストイックな佇まいから。印象派絵画のような爽やかな風景が浮かぶ。
すかんぽ選・新2:賜りし新酒墓石にかけやりぬ(弥生)
「酒を墓石にかける」は類想が多々ありそうですが・・・。新酒となると、墓石との対比がよく効いていて、故人への想いがひとしお伝わってきます
小文選・コ6:珈琲の 蒸れてしじまや 秋の声(尚哉)
虫が鳴きだすこの季節、人恋しく、切なくなるものです。そんな静かな時間を丁寧に珈琲を淹れる大人の過ごし方が伝わってきます。
茘子選・赤8:鐘の音(ね)に湧き出ずるなり赤蜻蛉(孝多)
色ばかりでなく音までも想像させる、広がりのある句。
虚視選・赤8:鐘の音(ね)に湧き出ずるなり赤蜻蛉(孝多)
おそらく夕方だろう。都会では無い。茜色に染まった空に鐘の音が響き渡る。日本の原風景が、鮮やかに目に浮かびました。
孝多選・赤6:駆け抜けるキミは自転車赤トンボ(一遅)
赤トンボと自転車の、取り合わせの妙です。気持ち良さそう。片仮名の使用も、まさにこれ以上は無いと思われます。佳句を見せて頂き、有難うございました。
紅螺選・新15:口切れるほど薄き杯新酒注ぐ(虚視)
薄き盃は柿右衛門でしょうか、カットグラスでしょうか、至福のひとときですね。
矢太選・赤6:駆け抜けるキミは自転車赤トンボ(一遅)
遠い昔見た風景が鮮やかに蘇る。ペダルの音まで聞こえてきた。その子の白いソックスも....
兎子選・赤7:赤蜻蛉空のひろさを蹂躙す(矢太)
閉塞感のある日々に、羨ましいほどの、赤蜻蛉の自由です。
玲滴選・コ18:珈琲の香深々と秋立ちぬ(矢太)
「秋たちぬ」が好きで、自分の句のどこかに使いたいと常々おもっていました。コーヒーの香りにぴったりです。
尚哉選・新19:甲斐駒ヶ岳(かいこま)に一礼をして今年酒(すかんぽ)
雄大な風景と悠たる心と。実りへの感謝も伝わってきます。

9月・こあみ句会 全投句一覧
(2020年9月10日・19名全員投句)
《赤蜻蛉》
赤1:赤とんぼ夕暮れを背に風に乗り(小文)
赤2:茜雲めざして飛ぶや赤蜻蛉(弥生)華
赤3:朱の色は恋を知ったか赤とんぼ(舞蹴)
赤4:赤蜻蛉南風に向かいて編隊飛行(珍椿)
赤5:赤とんぼ朱筆のごとく「つ」を書きぬ(華松)
赤6:駆け抜けるキミは自転車赤トンボ(一遅)
赤7:赤蜻蛉空のひろさを蹂躙す(矢太)
赤8:鐘の音(ね)に湧き出ずるなり赤蜻蛉(孝多)
赤9:弔の帰路久々の秋茜(紅螺)
赤10:深呼吸する指先に赤蜻蛉(可不可)
赤11:赤蜻蛉早よ番えよ(つがえよ)と世話焼き婆(美留)
赤12:赤蜻蛉 風に生まれて 風と逝(い)く(茘子)
赤13:百人の子に百の夕焼け 赤とんぼ(鬼禿)
赤14:植物園ゆきあいの空秋茜(玲滴)
赤15:秋茜群れし校庭アスファルト(虚視)
赤16:難民船なんで乗ったか赤とんぼ(下戸)
赤17:赤蜻蛉むかしの恋の鮮やかさ(兎子)
赤18;蜻蛉舞ふ 径に屯(たむろ)す ランドセル(尚哉)
赤19:赤とんぼ群れてをりけり避難場所(すかんぽ)
《コーヒー》
コ1:君を待つコーヒー苦き秋の風(小文)
コ2:月待ちつコーヒー旅の荷解かぬまま(弥生)
コ3:二杯目の珈琲苦し秋の月(舞蹴)
コ4:銀杏黄葉の歩道手にカプチーノ(珍椿)
コ5:台風がコーヒー色の河流し(華松)
コ6:珈琲の 蒸れてしじまや 秋の声(尚哉)
コ7:コーヒーをゆっくり淹れて秋ふたり(一遅)
コ8:珈琲という 漢字が好きだ 秋深し(孝多)
コ9:夢二の忌別れた妻と飲むコーヒー(紅螺)
コ10:珈琲の香り残りしマスクかな(可不可)
コ11:冷ややかな人と向き合ふ珈琲苦し(美留)
コ12:コーヒー苦し 底に沈みし 秋思(しゅうし)かな(茘子)
コ13:丁寧に丁寧にコーヒー入れて ひとり(鬼禿)
コ14:秋立つやコーヒーの香もいれかわり(玲滴)
コ15:珈琲の香ただよう路地ぬうと月(虚視)
コ16;秋の恋忘れぬためにコーヒーで(兎子)
コ17:缶コーヒー投げた川面に笑う月(下戸)
コ18:珈琲の香深々と秋立ちぬ(矢太)
コ19:珈琲にスコッチほのか虫の秋(すかんぽ)
《爽やか》
爽1:爽やかや山頂の頬撫でたりし(小文)
爽2:爽やかに一生(ひとよ)を駆けし君は風(弥生)
爽3:爽やかにポプラ並木に修道女(舞蹴)
爽4:青空を白き雲流れ今日爽やか(珍椿)
爽5:爽やかや白紙のままのビルボード(すかんぽ) 
爽6:又造の 筆爽やかに 明日香村(尚哉)
爽7:爽やかにどこまでも爽やかに空の色(一遅)
爽8:爽やかやまぶた閉じても青い空(矢太)
爽9:爽やかに陶器のような足鳴らし(下戸)
爽10:爽やかに耳そばだてる山の音(可不可)
爽11:爽やかの空果つるとこ甚大被害(美留)
爽12:蜘蛛の巣に雫(しずく)きららと 莢けしや(茘子)
爽13:爽やかを演じた役者の凶気かな(鬼禿)
爽14:爽やかにとはいかぬ総理退陣劇(玲滴)
爽15:はためける白きシーツの爽やかに(虚視)
爽16:爽やかは手に入らない恋のよに(兎子)
爽17:刈り上げてコロン爽やか元力士(紅螺)
爽18:爽秋や千草(ちぐさ)に宿る滴(しずく)かな(孝多)
爽19:爽やかな句をつくりたる人なりき(華松)
《新酒》
新1:新酒酌む憂さゆっくりと溶けにけり(矢太)
新2:賜りし新酒墓石にかけやりぬ(弥生)
新3:花一輪 心の穴に 新酒かな(下戸) 
新4:都会の造り酒屋口切りの新酒(珍椿)
新5:うすあかり新酒かぐはし手酌かな(華松)
新6:新酒汲み アクリル越しに 盃(はい)を挙ぐ(尚哉)
新7:新酒来たる日本に生まれてちと嬉し(一遅)
新8:追憶の走馬灯なり新酒酌(く)む(孝多)
新9:新酒さげ悪事露見で詫びに行く(紅螺)
新10:我労働す故に我あり新酒酌む(可不可)
新11:新酒汲む生き延びしこと確かむる(美留)
新12:命ありて 新酒の旨き 感謝かな(茘子)
新13:新酒 届く 奥の深山の梛(なぎ)の葉そえて(鬼禿)
新14:多摩川の新酒届くや下戸の門(玲滴)
新15:口切れるほど薄き盃新酒注ぐ(虚視)
新16:さくねんの新酒ねむれる我が棚に(兎子)
新17:君と酌む若き日の夢新酒かな(舞蹴)
新18:夜もすがら歌え踊れや新酒かな(小文)
新19:甲斐駒ヶ岳(かいこま)に一礼をして今年酒(すかんぽ)


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