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対話随想・余滴 №44 [核無き世界をめざして]

 「余滴」最後の手紙となりました。
 2012年から始めました私たちの往復書簡は、これまで、往復書簡集Ⅰ~Ⅲ、随想集としてまとめることができました。そして、ここに「余滴」44の手紙を関さんに送らせて頂き、終了としますが、同時に「余滴集」発行の準備に取りかかっています。
 今年は、戦後75年という節目の年とされ、戦争で生き残った証言者の談話が新聞紙上で取り上げられていますが、いずれの証言者も、私たちと同年代の人たちで、戦争体験を語っています。私同様に、残り少ない時間の人たちばかりですが、真剣に語り、戦争を否定し、平和な世界の実現を望んでいました。取材者自身は、戦争体験者から直接話を聞ける最後の世代と言っていましたが、私は違和感を覚えました。そして、私たちが8年かけて綴った往復書簡集をぜひ読んで欲しいと思った次第です。
 老人の繰り言になってしまいましたが、この8年間、発表の場を与えて下さった「知の木々舎」の横幕さん、出版の労をとって下さった西田書店の日高さんに心からお礼を申し上げます。そして、往復書簡に誘って下さった関さんに改めて感謝、お礼を申し上げます
            2020年8月     中山士朗

  「余滴」が突然こんな形で終わりましてすみません。実は、被爆75年の8月で、まとめて本にしたいという中山さんの希望は聞いており、賛成していたのですが、その後も余滴は書き続けてくださると思っていましたので、実は驚きました。ただ、これは中山さんの健康状態が悪化したためではなく、書くことは書きつくした、このあたりで締めたい、ということと思えました。二人の往復書簡を始めてからこの余滴44で、ちょうど200回になるようで、その意味でも、きりのいい時かとも思えます。
 ただ、私は被爆のこと、次代への継承など、まだ書きたいことがあり、また、「核なき世界をめざして」のコーナーは、往復書簡が始まる前からのものでこのコーナーに、穴をあけるわけにはいかないと思います。私がしばらく一人で書き続けさせていただきます。
タイトルは「はるかな呼び声」としたいと思っています。よろしくお願いします。
                2020年8月      関千枝子



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