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検証 公団居住60年 №61 [雑木林の四季]

第三章 中曽根民活
 X 地価バブルのなかの団地「改良」4 国立富士見台団地の場合

     国立市富士見台団地自治会長  多和田栄治

4.総合的団地環境整備事業

  団地ができて20年もすると、植栽や道路の補修、自転車置場の増設など住環境、付帯設備の改善要望はつよまり、駐車場の設置も切実な問題になっていた。これにたいし公団は、個別に対応する従来の方式をあらため、昭和40年代団地にたいしては83年から「総合的団地環境整備事業」(総合団環)を実施した。駐車場、自転車置き場、多目的広場などの新増設、通路等の段差解消、玄関まわりの整備を総合的に団地全体の整備計画として進めるというのである。しかしなんといっても、その主なねらいは、団地内の芝生をけずり樹木を伐採して住棟間に有料駐車場をつくることにあった。団地の敷地を子会社に市価で貸して経営させた(現在は都市機構の直営)。料金は団地内とはいえ近傍の民間駐車場並みである。
 公団は1989年8月、自治会の11項目にわたる要望事項にたいしすべて総合団環で対応すると回答してきた。そのころ自治会は自動車の保有実態調査をすすめていた。自動車ばかりでなく、自転車はもちろんミニバイクやオートバイも多かった。公団はすぐさま、自治会の調査結果とほぼ同じ台数(戸数の約40%)が駐車可能な計画案をしめした。駐車場が自宅の近くになると保有者たちは期待した。
 しかし同時に、団地中に700台分以上もの駐車場ができる図面をみせられると、保有者もふくめ問題視する意見が広がった。総合団環受け入れの決定をするまえに全世帯を対象に賛否のアンケートをおこなったが賛成にはいたらなかった。公団はこの機会をのがすと駐車場設置は今後不可能、個別の補修、整備要求も後回しになるといい、自治会の推進派が宣伝につとめ、1990年と93年に2度アンケートをとったが、反対が賛成を上回った。
 93年になるとマイカー熱はすでに下火になり、団地に駐車場のないことが保有の増加を抑えていたようにも思う。他方で緑豊かなオープンスペースの大切さの認識も高まっていった。団地人口高齢化の兆しが見えはじめ、わたし自身は自治会役員として住棟間設置に反対の立場をとってきた。時代遅れが案外、時代の先取りになりうる。
 全国に昭和40年代建設は377団地あり、住都公団が終わる1999年までに167団地で実施された。わが団地のように公団の計画にもかかわらず、住棟間に駐車場をつくらせなかった団地は数少ない。それが良かったか否か、判断はいろいろだろう。いまはもう設置をのぞむ声は聞かれない。2006年に自治会は団地外周沿いの空地の一部に来客用および居住者用の駐車場設置を公団に要望して実現し、来客用は自治会が管理をしている。
 団地の周辺のあちこちで農地をつぶし駐車場にして農協が経営しているが、空きが目立ってきている。公団、いま都市機郁団地でも車の保有は減少傾向にあり、総合団環でつくった駐車場をつぶし、「クライン・ガルテン」とドイツでの呼び名だけ真似て貸し菜園にした団地もある。

『検証 公団居住60年』 東信堂

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