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浜田山通信 №268 [雑木林の四季]

人種差別とパンデミック

               ジャーナリスト  野村勝美

 トランプ大統領が、アメリカ・ファースト、グレート・アゲインと言っていたのは、本当の気持ちを言ったのだということが、よくわかった。とくに私など青春真っただ中で敗戦を迎え、アメリカのおかげで民主主義やら食料援助までしてもらい、生きのびることができた者にとっては、(のちに一時期共産主義にそまってまた敵になったが)ずっとアメリカがダントツ一番、超グレートな存在だった。
 この20年ばかりは、9.11同時多発テロやリーマン・ショックなどで威信の低下は私などでも感じており、一方中国の一帯一路はアジア、アフリカ、ヨーロッパまで巻き込んで米中対立を感じさせてきた。中国はなるべくアメリカを刺激しないようにIT関係の開発競争もおとなしく事を進めてきた。しかしそれでも新型コロナ問題で明確になったのだが、IT関係の部品など日本からの輸出や日本工場の中国進出で中国との経済関係なしに双方がうまくたちまわれないようになっていた。アメリカと中国関係も同様で、いくらグレート・アメリカを標榜しても中国の産品を買わなくては帳尻があわなくなる。
 この辺の事情をボルトン前大統領補佐官が何もかも暴露本として公表してしまった。トランプさんには何よりも自分の再選が必要なのだ。 '19年6月、主要20か国、地域(G20)首脳会議が大阪で開かれた際、中国の習近平国家主席と会談し、新疆ウイグル自治区でのウイグル人収容施設の建設は正しいと表明したうえ話題を突然変更し、米国の農家のために大豆、小麦を大幅に輸入してほしいと要請した。自分の再選のためには恥も外聞もない、何がアメリカ・ファーストだ。
 人種差別問題では世界中にひろがる白人警官による黒人殺害事件反対デモに挑戦するかのように、新型コロナで中断していた大規模集会を南部オクラホマ州タルサ市で開いた。私は一度もアメリカの地を踏んだことがないのですべて新聞TV報道のまた売りだが、同市のグリーンウッド地区は石油が出たのでアメリカでもっとも裕福な黒人居住地であり、「ブラック・ウオール・ストリート」と呼ばれた。それでも1921年5月31日に黒人少年の白人少女暴行事件がきっかけで数千人の白人が黒人地区を襲い、1200棟の建物を焼き払い、300人の黒人を殺したという。このような地をコロナで中断していた支持者集会の第一弾に選んだトランプの神経は如何なものか。イギリスの奴隷商人をはじめコロンブスやアメリカ初代大統領ジョージ・ワシントンまで銅像が破壊されたりする、世界中で起きている反人種差別、奴隷制度反対の盛り上がりの中で、アメリカ・ファーストであわよくば銅像の一つも建ててもらえると思っていた男のさもしい名誉欲。
 一方でパンデミックの最先端を独走するアメリカ。コロナより金儲け第一、来年はこれまでにない経済成長がくるとほざいた。この人に来年があるようでは、アメリカどころか人類に未来はない。

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