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浜田山通信 №267 [雑木林の四季]

「風と共に去りぬ」を見る

            ジャーナリスト  野村勝美

 アメリカのミネソタ州ミネアポリスで黒人のジョージ・フロイドさん(46)が白人警官に膝で首をおさえられて殺されてから20日間、事件は全米はもちろん全世界に衝撃を与えた。アメリカの人種差別については、キング牧師事件やボクシングのモハメド・アリを通して知っていたが、いまもこんな形で根強く残っているとはショックだった。約9分に及ぶ、膝で首根っこをおさえ、「息ができない」と懇願するフロイドさんのうめき声。こんな殺人現場の映像を全世界の人が見せつけられた。アメリカはもちろんヨーロッパ、アジア、中東、日本でも反対デモが連日続き、コロナ騒ぎをものともせず、街頭は大勢の反対デモで埋め尽くされた。
 ただ一人某大統領はデモ隊を鎮圧するため米軍を配置すると宣告した。何を勘違いしているかと私などでさえ思ったが、さすがに軍の元高官らも揃って反対した。アメリカの多数派は、さすがにもはや人種差別は×と思っているようだ。こんどの事件の報道を見てもそれは理解できる。しかし私は一度もアメリカに行ったことがない。報道で知るのみだ。その関連報道に映画「風と共に去りぬ」の配信停止というのがあった。名画の誉れ高く、亡妻など若かりし頃、ジグソーパズルで名場面を埋めていた。ビビアン・リー(スカーレット・オハラ)とクラーク・ゲイブル(レッド・バトラー)、年寄りには懐かしい名前だ。なぜかDVDが我がコレクションにあった。いつか見ようと思って買っておいたものだ。 「1861年。ジョージア州タラで大園遊会が開かれたその夜南北戦争が勃発、スカーレットが強く、激しく生きていく」戦争場面は大スペクタルだ。1939年度のアカデミー賞10部門を独占、映画史上に残る永遠の傑作とある。私はどこに人種差別があるのか目を凝らして見た。黒人奴隷や召使の黒人女性はでてくるが、とくに虐待場面などはない。しばらくしてそうか南北戦争自体がダメなのだと理解した。まして主人公たちは南として立ち直ろうとするのだから。 私は旧制中学4年の夏終戦を迎えた。空襲で故郷は丸焼けにされたが、スカーレットのようにまた立ち上がろうとはしなかった。日本中の都市が焼かれ、広島、長崎に原爆まで落とされた。進駐してきた米軍の統治がうまかった。「人民の、人民による、人民のための政治」の米6代大統領エイブラハム・リンカーンこそアメリカ民主主義を代表する人物だった。南北戦争も奴隷解放のことも学んだはずだけど、いつしかリンカーンのことは聞かれなくなった。リンカーンものちに暗殺されるのだから、民主主義大国アメリカとしてはうまくない。たぶん「風と共に去りぬ」はアメリカの南北対立を解消して日独伊三国同盟に対抗しようとする目論見もあったのだろう。当時としては当然だったろう。
 アメリカには南北由来の米軍基地が10か所あり、トランプは名称変更はしないと主張している。世論調査では民主党バイデン候補に14ポイントリードされたが、何が何でも南部の地盤は守りたいトランプさんである。

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