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バルタンの呟き №75 [雑木林の四季]

      「2021TOKYO五輪(オリンピック)を六輪に」

              映画監督  飯島敏宏

つい先日の午前中に、河野防衛大臣の発案とかで、航空自衛隊のブルーインパルスが、新型コロナウイルス感染対応に苦闘する医療関係スタッフへの感謝と激励のために、東京都心上空に見事な飛行絵図を描いて、喝采を浴びた、と報じられましたが、残念なことに、その昼近く、緊急事態宣言に忠実に従ってstayし続けている東京都町田市の我が家の見上げた空を横切った自衛隊機は、オスプレイではないプロペラ式のずん胴の輸送機と、かなり年代物の旧型ヘリコプターの編隊だけでした。常々「果たして町田市は東京都なのか!」と、地底超特急リニア鉄道駅を隣町の神奈川県相模原市に奪われて以来、この街の住民に根付いている怨嗟の思いが、此処を終の棲家と決めている僕の心を揺さぶりました。

正月元旦を除いて、毎朝中央公園に集まってラジオ体操に励んでいる我が街の面々は、「しかし、町田市は、新型コロナ感染者が少ない」と胸を張る古老の陰で、団塊世代以下の訳知り屋の中老後期高齢者が、「なあに、町田市には、コロナ患者受け入れの病院が皆無だから、お隣の神奈川県内の大学病院に送り込まれるからね」と漏らすのを受けて、ニヒルな笑いで頷きあうのです。

全国の仕掛け花火屋さんが、コロナが原因で催し物が中止中止となる煽りで持て余した打ち上げ花火を、まさに苦しまぐれの侠気で、コロナ騒ぎで苦闘する医療従事者を激励するために、一般には予告なしで日本各地で同時に大玉の花火を打ち上げた話題にも、わが町田市夜空は無縁でした。

もっとも、南多摩郡のこの地域が、明治6年(西暦1893)東京府に併合されるまでは、神奈川県だったわけですし、町田市は、戦後昭和33年(西暦1958)に隣接2村を合併して誕生した市である上に、高度成長期に東京都の西郊40キロ通勤圏として山林に開発されたわが街なのですから、僕たちは、まだまだ歴史という歴史も持たない移民に過ぎないのかもしれません。

それはさておき、昭和生まれの僕にとって、ブルーインパルスと言えば、なんといっても、1964東京オリンピックの空に、鮮やかに描いた五輪のシンボルマークです。リアルタイムで目撃したわけではありません。当時の僕は、テレビ映画のはしりの頃で、連続番組掛け持ちで、砧の撮影所を日夜兼行で走り回っていて、わが家では、ママが生まれたばかりの娘にかかりきりでオリンピックどころではなかったのですからジェット機編隊ブルーインパルスが大空に描いた五輪マークは、テレビニュースか、映画館での記録映画で見たのかもしれませんが、ジェット編隊が、大空に見事に描き出した五色の虹輪は、脳裏に深く刻まれているのです。余談ですが、我が家では前回の夏の東京オリンピック競技大会は、未だに禁句なのです。断捨離で、山ほど出てきた当時の新聞や画報の全ては僕が持ち帰ったものではなく、「あの時は、テレビも見ていられなかったのよ!」というママが、当時必死で買い漁ったものなのです。

ブルーインパルスによって大空に描き出された五色五輪のオリンピックシンボルマークは、左から、青黄黒緑赤、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカ、南北アメリカ、オセアニア各国の国旗の色で、ギリシャの聖地オリンピアに発祥した古代オリンピックが、西暦393年に終焉した1500年後、フランス人男爵クーベルタンの呼びかけで、西暦1914年(大正3年)近代オリンピックとして再出発した時に、シンボルマークとして五輪旗もその時に制定されたといいます。

それに引き換え、今回の、2020TOKYOオリンピック・パラリンピックは、新型コロナウイルスの為に蹂躙翻弄されて、ようやく延期と決まりながら、なおも中止を危惧される始末で、制定されたシンボルマークさえ新型コロナウイルスに擬したパロディーデザインが物議をかもすという惨状に晒されて、河野太郎防衛相が「防衛大臣である私の独断で行った」という今回のブルーインパルス出動も、賛辞を受けるどころか、350万円という費用を、コロナ禍で苦しんでいる人の為に回せば、とまでツイートされる有様です。マスクのあれこれや、補助金支給処理の始末に空しく消費された何百億円に比べれば、あの際のブルーインパルス発進は、心理的な効果対費用としては、他のコロナ対策費名目の乱費に比べてみれば遥かににましだったと・・・僕としては、呟きたいのです。せめて、明るい話題として・・・

2020TOKYOオリンピック・パラリンピックに関して、僕、バルタンが呟くとすれば、大会運営に関しても、コロナ禍対策にしても、全くの商業主義に振り回されていることです。現在、一応は、2021年に延期された大会ですが、安倍首相が繰り返す完全な形での開催は到底無理としても、せめて、参加各国の交流を通じて、世界平和に寄与するものでなくてはなりません。問題は、現在のグローバルな世界情勢が、突出するトランプアメリカ合衆国大統領はじめ、ロシアのプーチン大統領、中国習近平総書記、そして、日本の安倍首相も加えて、世界各国それぞれの首脳が、自らの選挙がらみの政治主導で、理念の伴わない過剰な自国第一主義の道を突き進んでいることです。過剰な経済活動が齎した世界的な格差が、必然的に戦乱を生み、乱獲、乱開発が地球の自然を帰途のない破滅に導き、いまや、その付けを、月、火星など異星にさえ押し付けようとしているのです。

「もしかすると、地球は人類だけのものではないのだという事を実感させるために、新型コロナウイルスが現れたのではないか。その発祥を押し付けあって緊迫している中国やアメリカでなく、宇宙の他星からの使者として」
わが庭の隣家の屋根越しに見える小さな空を見上げながら、長引くコロナ蟄居に疲れた僕、バルタンは呟いているのです・・・
「2021東京オリンピック・パラリンピック大会のシンボルマークは、人類だけでなく
地球上の、いや、全宇宙のあらゆる生命との友好を図る六輪(オリンピック)にしよう!」
人間だけでなく、あらゆる動植物や、果ては宇宙人、そして、コロナウイルスまでが交じり合う祭典・・・

ふと、耳をすませば、わが的に流れるラウドスピーカーからは、
「町田市からのお願いです。昨晩午後11時過ぎから、町田市✕✕にお住いの〇〇さんの行方が分からなく・・・」
たちまちにして、現実に引きもどされてしまいました。かつて、ニュータウンと称された我が街の住人の平均年齢が、ついに79歳に達したのではないかと言われる昨今です。

ああ、2021東京六輪(オリンピック)!楽しみだなあ・・・


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