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台湾・高雄の緑陰で №27 [雑木林の四季]

2020年に入った台湾の近況

       コラムニスト・在台湾  何 聡明

2020年1月11日に台湾では四年一度の総統選挙が行われ、その結果蔡英文総統の連任が決まり、5月20日に就任式が行われた。蔡総統が前任に引き続いて取り組んだのは、台湾が世界保健機関(WHO)のメンバより除外されているにも関わらず、中国大陸伝来の武漢肺炎(COVID―19)の蔓延を阻止したことである。台湾政府の対応宜しきを得て、今日までの確認患者は443人、死亡者は7人に止まり、入院した確認患者の99%は既に退院している。6月7日に集会制限とSocial Distancing等の規制は解除されたが、衛生保健当局は多人数への集会参加者には手洗いとマスクの常用を呼びかけている。

昨年の6月に中国政府が香港人の犯罪容疑者を中国へ送り裁判できる法令が通過した事で、香港で大規模な「反送中(逃亡犯条例改正案反対)デモ」が頻発したのに引き続き、今年5月28日に第13回中国人民代表大会が「港区国家安全法」を可決するや、香港人は「中英連合声明」と「香港基準法」で中国政府が1997年より50年間香港で「一国二制度」を維持する公約への違反であるとして、更にデモが続いている。是に対して香港政府は公約の違反ではないと堅持する中国政府の支持を得て、デモの取り締まりを強加している。香港の前途は暗い。

台湾政府は香港民主派の支援請求に応じて、中国政府の違約は香港人権の侵害であると声明したが、中国政府は中国の内政干渉だと厳しく台湾政府を非難している。因みに、中国共産党政府は、将来台湾を統一した後、香港で施行中の「一国二制度」を採用すると宣伝を続けているが、香港での所謂「一国二制度」はペテンであることが現在実証されたのだ。最近の民意調査によれば、台湾人の大多数(80%+)は中国に統一される事を全く望んでいない。

2018年11月に行われた地方選挙で中国国民党の候補韓国瑜氏(戦後中国大陸から台湾へ亡命して来た親を持つ)は過去20年間高雄市で執政を続けた民進党の候補を破り、台湾の最大港湾都市高雄市長に当選した。韓市長は直ちに高雄市民に4年間の市長任期を全うすると市民に公約したのだが、当選3ケ月後に2020年の総統選挙に出馬を決定して高雄市民の顰蹙を買ていた。彼は2019年に3ヶ月間の公休日を取り、総統候補として選挙活動にはげんだが、本職の高雄市政を怠ったので、2019年11月には市民団体による罷免運動が始まった。その頃彼は笑止にも若し自分が総統に当選すれば、高雄市にも総統事務所を置き、国政を総統府のある台北市と高雄市双方で行うと語っていた。今年1月の総統選挙で落選した彼は市政に復帰したが、市民からは当初の公約を違反したことへの批判が高まり、罷免運動は着々と進められていた。市民の批判に恐れをなした韓市長は市議会への出頭を長らく拒否したので、韓市長が市議会で市議員と応答した日は数えるほどしか無かったのである。韓市長の罷免投票は今年の6月6日に行われ、賛成939、090人、反対25、015人の大差で罷免は成立した。

台湾の選挙史上罷免が成立したのは今回が始めてである。韓氏は6月12に市長職から去り、同日中央選挙委員会は任期未満の高雄市長の補欠選挙を8月15日に設定し、この間内閣より任命された代理市長が高雄市政を司ることになる。補欠選挙で国民党候補が当選する可能性は極めて低いと考えられている。高雄市民である筆者は台湾初の市長罷免投票が高雄市で行われ、良き結果をもたらしたことを誇りに思っている。

余談になるが、日本について筆者が最も心配しているのは、来年7月の東京オリンピックが予定どうりに挙行できるか否かである。日本が武漢肺炎より早期に完全脱出する事を願う。日本頑張れ!


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