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対話随想余滴 №39 [核無き世界をめざして]

余滴39  関千枝子から中山士朗様へ

            エッセイスト  関 千枝子

 新型コロナウイルスに対する「緊急事態宣言」残っていた都.と県、北海道なども全面解除になり、ほっとしている人が多いようです。ですが、私、小池都知事の「ステイホーム」の自粛要請、複雑かつ一面冷ややかな気持ちで見ていましたので、万歳万歳と手放しで喜べない気持ちです。季節的にもこれから夏に向かい、コロナは下火に向かうでしょうが、多くの専門家が第二波の襲来を言っています。全滅していないのだから.第二波は当然あるだろうと思います、すると秋はどうなるのか。それより前、八・六,八・九はどうなるのか考えると、本当に心配です。
 中山さんの前の手紙、コロナは戦争かどうかの論のことが書いてありましたが、私の周辺では、その論はもう少なくて、「コロナと共存」のことが多く言われています。確かに、人類は様々なウイルスに見舞われ、ワクチンの形で共存してきたと言えるのでしょうか。新型コロナのことが問題になってき.た時、カミュのペストが読まれるようになっていると話題になり、そうか、ペストもウイルスだったのだと思い出したのですが、はるかに世代が下がり第一次大戦のころのスペイン風邪もウイルスだったんですね。あれも第二次感染があり、島村抱月がその第二次感染で死んだのですね。私そのことも今度、初めて知りました。私の持っている百科事典、島村抱月を取り上げているのですが、舞台人としての業績や松井須磨子との恋は書いてあっても、死因は病死とだけ。スペイン風邪のことなど書いてないものですから。
 サーズは日本ではあまり流行らず、被害がひどかった台湾や韓国では、その経験から今回非常に対処がよかったようですが、日本では、まったく久しぶりのウイルスで、対処がいまいちだった。
 とにかく検査体制が悪く保健所だけではお手上げの忙しさ、感染している人が放置され、検査してもらえないうちに重症になる、検査の結果が出るのも時間がかかり、遅れている、その問題が根本的な問題と私は思いますのに、小池都知事がわめきだし、全都民の自粛、ステイホームを叫んだ。ウイルス疾患が蔓延した状態になると、確かに全面自粛の緊急体制をとるしか方策はないようですが、こうした検査体制のことなど少しも言わず、「命の問題」「あなた自身の問題ですよ」を繰り返す小池氏の態度に私は少し怒りました。
 とにかく皆、恐れおののき、インテリというか、少し物を考える人の層が一番萎縮したと思うのですが。日本の安倍首相小池都知事の態度は、市民の民主主義、自由の大切さを言いながらこうした緊急措置をとらざるを得ないことを国民に真摯に詫び、協力を要請したドイツのメルケル首相の態度と明らかに違っていました。安倍首相に至っては、火事場泥棒のように国家公務員の定年を引き上げる法案に検察官を入れる法案を通そうとするなどめちゃめちゃと思っていました。そうしたら無理やり閣議で定年延長を決め、検事総長にしようとした黒川弘務氏がこともあろうに賭けマージャンで辞職ということになりました。これは、安倍さんにとっては想定外だったでしょうが。全国民が「人に会わないよう」自粛している最中に、麻雀です。(三密の最たるものと自粛を要請された企業の一つがマージャン荘です)。それに賭けマージャンとは。賭け事は国の法律で.御法度なのに、検事が三年にわたってやっていたというから、弁明のしようもない、しかも相手が新聞記者というから嫌になってしまいますね。まあ、昔から取材先に取り入る新聞記者が大勢いることは知っていますが。週刊誌に暴かれて辞職したのですが、これが訓告という比較的軽い処分で退職金も規定通りもらえる、六千万円ですって。あきれてものも言えません。小企業に勤めて退職金ももらえないような人も多いのに、ね。
 これで、内閣支持率は急落したのですが、安倍さんは、任命責任は私にあると言い、真摯に受け止めると言いながら、絶対にやめようとしません。彼にとっては、何よりも来年オリンピックをしたい、オリンック会場で開催国首相としてふるまうことは、最高の舞台、その時に憲法も改悪しておきたいのでしょうが。小池都知事だってオリンピックの時に絶対都知事をしたい。この前、一言の失言で、支持を一挙に失った彼女、都知事選は七月です。大勝負の時です。彼女のステイホームの訴えに安倍首相も乗り、緊急事態宣言になりました。この宣言、外国などから見れば手ぬるいものに見えたようですが、国民はよく、協力したと思います。かなりうまくいったのではないか。いわゆる進歩層というか、日ごろ政府に批判的な人々も「三密」に従い、すべての集会は延期、中止になってしまい、それを怒る人は誰もいません。
 テレビなども日本人の高い品性をたたえ、日本だからこれだけのことができたと言い、政府は、最初の計画より早く、解除し、感染者の多い首都圏や北海道なども全面解除になりました。
 でも、どう思います?緊急事態宣言で、あまりに多くの人々が収入を失くし、ひどいことになってしまった。この人々へ援助すると言っていますが、経済へのダメージの酷さ、何とか早く元に戻さないという焦り、それが解除を早めたのではないか。小池知事も都は自前の金を他県より多く持っているので、解除がこんなに早くなくてもいいと思ったのではないかと思うのですが。とにかく国とこのところ仲良くやっているようです。小池都知事はご承知のように自民党の都の組織とケンカし、都知事選に出馬、勝ってしまった。都の、自民党としては、因縁もあり面白くない面もあるでしょうが、自民党の本部は今度の都知事選に自民党から候補を出さないとはっきり言っています。おそらく自民党と小池さんの間には、この話はついていたか、暗黙の了解だったか知りませんが。都知事線はもうすぐです。小池さんは知事選のこと一言も言っていませんが、今回のコロナ騒ぎで人気相当回復、今も毎日テレビで選挙活動しているようなものですから、恐らく当選間違いないでしょうね。
 恐ろしいと思うのは第二波です。専門家たちも分からないと言いながら、第二波はあると思っているようです。多くの人は秋に来ると言っていますが。もし、大きな波が来たら。IOCは、来年夏に延期されたオリンピック、できるかどうか判定はこの十月、これでダメと言われたらもうこれ以上延期はなく、東京オリンピックは中止しかないと言っています。
 日本の不安だけでなく世界中のコロナ騒ぎ、ヨーロッパは収まって来たようですが、アメリカやブラジルが大変です。殊にブラジルの大統領はトランプ以上にめちゃめちゃな人らしく、あんなものは風邪だと言い、サンパウロあたりの貧民街では酷いことで、これから南米に広がると大変なことです。コロナの騒ぎは今後どうなることやら、です。
 ペストの騒ぎはヨーロッパの人々の考えを変え、ルネッサンスを呼んだと言いますが、コロナで日本人の生き方が変わるのか、私はどうも心配でたまりません。会場が閉鎖されているという問題も、ズームというのですか、パソコン会議が大流行です。私も、学習会をこれでと誘われたけれど、どうにも私の力では難しそうで断りました。私、皆で顔を突き合わせじかに話をする、これの良さを捨ててたまるかと思うのですが、どうももう、時代遅れのようです。でも、ねえ。
 何度もお話をしている竹内良男さん、彼もヒロシマ講座、中止に追い込まれたのですが、7月には再開できそうというのですが、三密はいけないと、一五人かせいぜい二〇人くらいの学習会でないと開けそうもなく、頭を抱えています。でも、彼の凄いのは<ヒロシマからヒロシマへ>というA4の紙一枚の通信をこのところ毎日のように出し、ネットで会員(今までよく講座に来ていた人たち)に、配信していることです、彼は技術もあるし、この程度の通信を出し続けるのは、毎日でも困らないというか、負担にならないそうです。すごいなあ、と年寄りの私は感心するばかりです。
 今年のヒロシマはどうなるか、何かとても心配ですが、頑張っている竹内先生のような方に「乾杯」という気持ちです。
 ただ、私は不信感というか、どうも市民に対して、おかしいよと言いたい。ステイホームの要請が出ても、「行ってもいい」スーパーは超満員。小池都知事は三日に一回にしろと言ったのですが、スーパーに行ってみると大量に買い込む人でスーパーは前より混雑、密も密も超密。家族の多い人は買う量が増えるというのですが、それだけとも言えない「買い込み」を感じました。都知事は下々のことわからないとつくづく感じました。
実は私、日ごろの買い物は生協でやっていて、スーパーにはいかなくてもいいくらいなのです。ところがこのところ、生協に配達が欠品、注文が多すぎて抽選になったが落選、というものばかりなのです。先週は野菜で八品も欠品があり、これでは明日から生活できないので、スーパーに行ったら、超密だったわけです。生協では、今まで考えられないほどの注文が来て、生協の倉庫にも入らないし、対応できないのでというのですが。子どもが学校休みだったりして、買い物量が増えざるを得ないということもあるのですが、ちょっと妙です。とにかく自粛期間、買い込み現象が起こったとしか思えません。
 自粛がすんで、用があり、スーパーに行ってみました。人が少ないのです。レジで待ち時間ゼロ。何でしょう、これ。私、市民不信になってしまいそうです。


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