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私の中の一期一会 №214 [雑木林の四季]

    次期検事総長と言われた黒川弘務東京高検検事長が「賭けマージャン」で辞職
          ~内閣支持率27%。支持率の急落で「政権の終わりがみえた」と
                                         与党内からも批判の声~

            アナウンサー&キャスター  藤田和弘

 すべては、あの閣議決定が始まりだったのではないか。
 安倍内閣が今年1月31日に閣議決定した「黒川弘務東京高検検事長の定年延長」は、過去に前例のない暴挙といえるものであった。
 検察庁法では検事総長の定年は65歳で、その他の検察官は63歳で退官することが決められている。
 安倍政権はそれを承知で、2月7日に定年退官する筈の黒川弘務氏を8月7日まで半年間延長することに決めたのである。
 “政権の守護神”とさえ言われてきた「黒川氏を検事総長にするための定年延長ではないか」という疑念は当初から囁かれていた。
 よく言われるのは、総理の犯罪を摘発できる検察官は、常に政治と適切な距離を保つ必要性があるということだ。政治の側も検察人事には口を挟まないのが原則なのである。
 安倍一強政権の“権力乱用”や“禁じ手”の無視は、むしろ得意技だと言う人がいるが、全くその通りである。
 ツイッターで「検察庁法改正案に抗議します」という“法案を懸念する声”がハッシュタグで一気に拡散した頃、慶応の法学部を出た高校時代の友人に検察庁法改定案について聞いてみた。
 彼は、月刊『創』5,6月号に伊藤博敏氏の署名記事が掲載されているので、「読んでみろ、面白いよ」と薦めてくれた。
 コロナで外出自粛の身には「丁度いいかな?」という思いもあって、ネット検索して読むことが出来た。
 伊東さんは検察問題に詳しいジャーナリストというだけあって、とても面白く読ませてもらった。
 法務・検察の首脳が安倍政権に手を突っ込まれて、思い悩む状況は昨年暮れあたりから起こっていた。
 検察としては、今年2月8日に63歳になる黒川検事長は2月7日に退任、検察ナンバー2の東京高検検事長には林真琴名古屋高検検事長(62)が就任するという人事が既定路線だった。
 林氏の定年は7月なので、それまでに稲田伸夫検事総長が退任して“検察のプリンス”と呼ばれた林真琴
 氏が検事総長になることも決まっていたという。
 安倍官邸が黒川検事総長に拘ったのは、彼が官邸の意向に忖度する得難い法務官僚だったからに他ならない。
 官邸は2月7日までに稲田総長に退任するように迫ったが、稲田氏は聞く耳を持たなかった。
 稲田氏には、総長人事を政治に渡すつもりはなかったのである。
 週刊文春が報じた河井克行前法相と妻の案里参議院議員の公職選挙法違反疑惑は、告発された以上は捜査されるのは当然である。
 国会開会直前で「任意捜査で済むものを、強制捜査することはないじゃないか」と菅幹事長が怒ったらしい。
 ベテランの司法記者によれば、1月15日の強制捜査が、安倍一強ゴリ押しの引き金になった。
「やはり稲田じゃダメだ!」となって、「前例無視の閣議決定」になったという訳だ。
 これまで長年続いてきた法律の解釈を変えてまで黒川検事総長を実現させようとした安倍政権は、検察官の定年延長を可能にする法案を国家公務員法改正案と一括で国会に提出した。
 だが、コロナ対策のドサクサに紛れて採決を強行しようという“いつもの手法”は通じなくなっていた。
「検察法改正案に抗議します」というツイッター世論が、5月8日頃から爆発的に拡散して11日には470万を超えるまでになっていた。
 俳優や作家、ミュージシャンなど様々な分野の著名人までが続々と声を挙げたのである。
 ロッキード事件の捜査を担当した元検事総長の“改正に反対する意見書”には次のように書かれていた。
「黒川検事長の定年を延長する閣議決定を含む検察法改正案提出の一連の動きは、検察の組織を弱体化して、時の政権の意のままに動く組織に改編させようとするものであり、ロッキード世代として看過し得ないものである」と・・
 首相は18日夜「国民の声に十分耳を傾けていくことが不可欠であり、国民の理解失くして前に進むことは出来ない」などと述べ、検察庁法の改正案の今国会での成立を見送る考えを表明した。
 安倍政権が今まで国民の声に耳を傾けたことがあっただろうか?
 国民に理解されるまで丁寧な説明や丁寧な答弁をしてきただろうか? 
 心にもない空々しい言葉を並べたて、国民の心に沁みることを期待してはならないのである。
 “文春オンライン”が、渦中の「黒川高検検事長が新型コロナウイルスの感染拡大で外出自粛の要請が続く中、今月1日と13日に産経新聞や朝日新聞の記者と、都内で賭けマージャンをしていた疑いがある」と報じて大きなニュースになった。
 黒川検事長は21日、賭けマージャンをしていたことを“あっさり認め”て辞表を提出したが、官邸は事実かどうか調べることさえしなかった。
 黒川氏を辞めさせて一件落着としたい官邸が“文春にリークした”のではないかというハナシまであったというから、何だかスッキリしない感じは確かに残る。
 毎日新聞と社会調査研究センターは23日、全国世論調査を実施した。
 安倍内閣の支持率は27%で、今月6日の前回調査では40%あった内閣支持率が急落したのが目立った。
 不支持はなんと64%で、前回の45%から大きく跳ね上がっている。
 毎日新聞と社会調査センターの共同調査は今回で3回目だが、最初の4月8日には44%あった内閣支持率が1か月半で17ポイントも落ち込むのは尋常ではない。
 賭けマージャンで辞職した黒川高検検事長の定年延長問題のゴリ押しが響いたのは確かで、ツイッター世論と合わせて考えると不支持64%に違和感はない。
 こうした世論の動きを見て、自民党主流派内にも「政権の終わりが見えてきた」と批判する声があがり始めているという。
 森友・加計問題の頃も支持率を落としたが、あの頃の国民の生活はさほど苦しくはなかった。
 コロナ感染が拡大してきた今は全国的に生活が厳しいのが現状だ。
 こうした中でコロナ対策や検察幹部の定年延長問題では政権の迷走が続いている。
 自民党の閣僚経験者は「政権はもう死に体に近づいているのでは?」と指摘していた。
 朝日新聞の世論調査は23,24の両日に行われた。
 安倍内閣の支持率は29%で、毎日の調査とあまり変わらない水準である。
 内閣支持率は“危険水域”に入りつつあるというのが朝日世論調査の結果である。
 安倍首相は「日々の支持率に一喜一憂することなく、与えられた使命に全力で尽くしていきたい」と25日の記者会見で平静を装ったが、胸中は穏やかである筈がない。
 首相に対する国民の不信感が日増しに増してきていることは確かなのだから・・
 石破茂自民党元幹事長は「閣議決定で変えていいものと、変えられないものがある。このままでは政治に対する不信は高まるばかりだ。もうイイ加減にしてもらいたい」と発言しているそうだ。
 ホント!「もういい加減にしてもらいたい」に私は同感である。
  


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