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私の中の一語一会 №213 [雑木林の四季]

        吉村洋文大阪府知事はコロナ対策での情報発信力と実行力が“すごい”
  ~休業要請の段階的解除に向けた出口戦略「大坂モデル」は官邸の先をいく対策だ~

         アナウンサー&キャスター  藤田和弘

 官僚の書いた原稿を棒読みするだけの安倍首相は、何度、記者会見を開いても国民の心には全く響かない。
 自分の言葉を持たない政治家は哀れである。
  新型コロナウイルスの脅威を前に、頼りにならない政府や国会議員に比べ、コロナ対策の現場を預かる全国の知事達のリーダーシップが、いま注目を集め出している。
 感染者の増加は止まったようで、なかなか止まらないというのが現状だろう。
 そうした状況の中で、“有事に強いリーダー”として人気上昇中の知事たちがいる。
 東京都の小池百合子知事、大坂府の吉村洋文知事、北海道の鈴木直道知事らへの期待感は、安倍首相への失望感と対照的である。
 非常事態の中、“国からの指示を待つ受け身型の知事”も多い中で、ひときわ異彩を放つ存在に見える彼らの共通点は“国の先を行く”行動力ではないだろうか。
 2月26日に道内の全公立小中学校の一斉休校を全国に先駆けて打ち出したのは北海道の鈴木直道知事であった。
 2日後の28日には、道独自の緊急事態宣言を発令して、道民に不要不急の外出を自粛するよう求めた。
 この迅速な行動は、国の対応にも影響を与え鈴木知事の知名度は一躍全国的になったと言われている。
 4月の世論調査で、鈴木知事の支持率が88%に達したそうだが、道民が評価を惜しまなかった証拠であろう。
 事業者に休業を要請しても「補償は無理だ」と繰り返していた政府を尻目に“感染防止対策協力金制度”を考案して「補償します」と約束したのが東京都の小池百合子知事だった。
  この決断は、飲食店やスナック、キャバクラに対する初めての具体策として画期的だと高く評価されたという。
 この“補償付き休業要請”はその後、多くの自治体に広がっていったのをみても、非常事態下ではリーダーの責任と迅速な決断力が必要なことが分かる。 
 日経新聞の世論調査で、“最も評価する知事”のトップに輝いた大阪府の吉村洋文知事への注目度を無視することは出来ない。
「なんとかコロナを押さえこみたい」と庶民のために奮闘するのはどの知事も同じだろうが、吉村洋文知事の陣頭指揮が飛び抜けて脚光を浴びるのは、政府対応と比較して“スピード感”が格段に違うからではないだろうか。
 3月20日からの3連休を前に大阪府と兵庫県の往来自粛の呼び掛けを実行したのは吉村知事だった。
 大坂と兵庫で感染者が増え出していて、吉村知事は「いつ爆発してもおかしくない状況だった」と自粛要請理由を語ったが、必要と判断したらすぐ実行に移す決断力は鈴木寺知事とも共通している。
 鈴木知事は39歳の全国最年少知事であり、44歳の吉村知事は2番目に若い。
 二人とも昨年4月の知事選で知事になったばかリだが、決断力と行動力はよく似ていると思う。
 吉村知事は5月5日に、緊急事態宣言の出口戦略として“休業要請解除の基準”を定めた「大坂モデル」を公表した。
 この際、「出口戦略を国が示さないから・・・」と非難を口にしたため、西村経済再生担当相と揉めたことがあった。
 しかし「休業要請については、知事の裁量・権限の範囲内だと大臣に言っていただいた。国と地方の役割分担がハッキリして良かった」とバトルを避けるクレバーな対応をみせた。
 西村大臣のほうが大人気なく見えたと書いた新聞もあったが、株をあげたのは吉村知事だったのである。
「大坂モデル」には出口戦略のための3つの指標が定められている。
 1)感染経路不明の新規感染者が1日、10人未満。
 2)陽性率が7日間平均で7%未満
 3)重症患者用病床使用率、7日間平均60%未満
 この3項目が7日間連続で達成されれば外出自粛や休業要請が緩和されるのでる。
 吉村知事は、「出口戦略に国は口をはさまないということが明確になっている。大坂の責任で進めたい」と自信たっぷりにコメントした。
 この若きリーダーは、柔軟な頭脳の持ち主でもある。
 大坂のシンボル“通天閣”や“太陽の塔”を信号機に見立てて“大坂モデルの達成状況”を大阪府民に知らせるアイディアを実行に移した。
 大坂モデルの数値を出来るだけ分かり易く皆さんに伝えたい。通天閣と太陽の塔をライトアップします」とメディアを使って発信した。
 感染者の割合や重症者向け病床使用率で、警戒レベルは“赤”、注意喚起レベルは“黄色”、基準クリアは“翠”でライトアップされる。
 大坂府は13日までの6日間を連続で基準を満たしてきた。
 14日も満たした場合、劇場、映画館、商業施設などについて幅広く休業要請を解除する方向で詰めの調整が進められてきた。
 吉村知事は14日の記者会見で「大坂モデルの今日の数値を見た上で判断したい。夜の会議で最終決定して改めて記者会見したい」と述べた。
 とにかく吉村知事は思い切った策をズバリと打ち出してくるのだ。
 連日のように出演するテレビやラジオのスタジオには手ぶらで現れ、どんな質問にも答える。
 口から出る発言は自信に満ち、大阪府民ばかりでなく日本中の人々の心に響くのだ。
 SNSを通じても、自分の言葉でコロナ対策を語り、隠すことをしない。
 吉村知事は12日にテレビ出演して「新型コロナウイルス・ワクチン」の進捗状況について語った。
 大坂府と大阪市の行政、大坂大と大阪市立大などの医学部、全ての病院機構など、多くの組織が垣根を越えて「オール大坂」でワクチン開発を進めている。
「ワクチンが出来たらコロナとの戦い方は大きく変わる。今はワクチンは無いし有効な治療薬もない。社会の行動対応で対処するしかない。
“もう少し頑張りましょう”と言うしかないが、ワクチンが出来れば大きく変わるので力を入れてやっていきたい」と語っていた。
 世界のどの国でも、コロナの最前線で戦っているのは医療従事者だ。その人たちがコロナに感染して亡くなるケースも多い。ワクチン投与で医療従事者の命を守るという意味でも、7月からの治験は医療従事者から開始したい。9月には実用化して、年内には10万人~20万人に打てるようなスケジュールです」と将来ビジョンまで披露した。
 政府は14日、緊急事態宣言の一部を解除すると発表したが、北海道、東京、大坂、神奈川、千葉、埼玉、京都、兵庫の8都道府県は宣言継続のままである。
 これを受けた吉村知事は「本日、大坂モデルの7日間連続の基準を達成し、緑のランプを点灯することが出来た。これはゴールではなくスタートである。これからはウイルスと共存していく第2ステージに入る。感染拡大を防止しながら16日午前0時から経済活動を開始する」と宣言した。
 そして、ワクチンや治療薬などでコロナウイルスをコントロールできるまで、この「大坂モデル」を続けることも明言したのである。
 大坂は今後しばらく“ウイルスと経済活動の共存という道”を歩んで行くことになる。
「休業解除でクラスターがまた発生するかも知れないが、“吉村が解除したからだという批判”は受け入れようと思っている」と述べた。
 社会経済活動を完全に止めることが出来ない中での難しい選択だったことは確かだろう。
 “ニッポンにもアンドリュー・クオモはいるな”と・・・私は思った。


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kyoko

大阪府民です。
本当に素晴らしい知事で周りの人たちは
みんな感謝してます。

医療従事者に対するコロナ基金にしても
実行力には頭が下がる思いで
私もささやかですが募金いたしました。



by kyoko (2020-05-22 18:26) 

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