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地球千鳥足 №133 [雑木林の四季]

我々夫婦の旅の金庫、ウェイスト・バッグの事件簿

  グローバル教育者・小川地球村塾塾長  小川彩子

 地球千鳥足の旅道中、夫がトイレにウェイスト・バッグ(Waist Bag。以後W. Bag)を置き忘れ、気付くのが遅く飛行機に乗り遅れそうになったり、空港のセキュリティー・チェック後、夫がW. Bagを腰に取り付けることを忘れ、次に乗る電車まで親切な係官が追っかけてきてくれたり、と、夫のW. Bag事件に振り回されることが結構あった。が、筆者もそうなるのは時間の問題だろう。お金や切符は勿論のこと重要書類を入れたW. Bagは旅道中の金庫替わり、失ったらお手上げだ。W. Bagドタバタ物語をいくつかご紹介しよう。

(1)チェコのプラハからポーランドのクラクフへの夜行列車内で強盗にあった!

 寝台列車がなく個室の4人掛けに1人ずつ、夫は隣の個室だった。深夜を過ぎて、車掌の最終検札とパスポートチェックが終わり、やれやれと仮眠した夫の受難事故。夫はW. Bagを後ろ側に回して寝ていた、という。寝ぼけていたが、自分のW. Bagが開けられており、2人連れの男がドアを開けて出るところに気付いた。咄嗟に飛び起きて「泥棒!」と叫びドアの外へ追っかけた。洗面所の前に来ると床に落ちている自分の赤いパスポートが目についた。それを拾い2両目まで追っかけたがもう彼らの姿はなく、諦めた。W. Bagを確かめたら現金を$400抜き取られていた。財布はズボンのポケットだったので助かった、と。
 隣の部屋の筆者にこの事件を知らせに来たので調べたら筆者もアクセサリーを取られていたが、財布は無事だった。終点のクラクフでプラットホームにいた警察官に伝えたら、その足で警察署に案内してくれた。だが、大きな警察署なのに英語で読み書きできる人がいない。「夕方でないと大学の先生が来られないから待て」という。それからが大変。仕方がないので待つことにしたが、筆者を待つ係りにし、夫は宿を探しに街へ出るという。銀行で換金も必要だったが、現地マネーへの換金指定銀行でないとドルからの換金はできない。銀行を探すのが大変で午前中はかかったという。昼ごろ筆者の待つ警察署に夫が戻ってきたが、盗難届の書類が出来上がったのは午後7時を過ぎていた。とんだ災難で疲れ果て、翌日はアウシュビッツのユダヤ人収容所へ行くのが精一杯だった。

(2)香港空港ではトイレに20分間置き忘れ

 下痢に襲われた夫が、開いていたハンディキャップ用のトイレでW. Bagを外し置き忘れた。出国時、「あ、バックがない!」。血の気が引いた夫、トイレへの置き忘れに気づいたが20分は過ぎていた。慌てふためき頭の中は真っ白、無我夢中でそのトイレまで走ったという。走りつつ、「ムンバイ-カシミール間の航空券、移動ハイヤー代、ホテル9泊代金等、$3500は入っていたなあ!」と気付き、「なんて遠いんだ!」。
 W. Bagは「あった!」。中身もそのままで、パスポート、財布、予備の現金$500もあった。通常のトイレなら消えていても不思議はないだろう。「幸運」としか言いようがなかった。旅行中W. Bagを身体から放すのはトイレと夜の睡眠時だけだ。「年齢と共に冷や汗をかく確率が高まったナ!」と夫。運に助けられたのだった。

  (3)  シンシナティ、USAの古物マーケットのトイレにも置き忘れ

 シンシナティの古物マーケット、グッドウィル内を5分程度うろついてからW. Bagが無いことに気付いた夫、慌ててトイレへ。「あった!よかった!」。だが中味を確かめたら現金$100が無い。カードその他の貴重品はそのままだった。「足のつかないお札だけ盗んだんだね。出来心は仕方がない。忘れた方が悪いんだよね!」と言いつつ悔しそうな夫の顔。

(4)イランではBC時代の遺跡見学で置き忘れ

 遺跡の見学コースから離れたトイレで夫がW. Bagをはずし、つけ忘れて出てきた。トイレを出てから5mほど離れたところで係員が声をかけてくれたが、その手には夫のバッグが!それを見て夫は置き忘れに気付いた。貴重品が全部入っているW. Bagだ。「有難うございます!」。「用便が済むと目の前にあるものさえ忘れてしまうのだからしょうがないね!」と反省しきりの夫だったが、イランは遺跡にも人情にも感動、ホントに良い国だった。友人が今もおいで!と招いてくれている。有難う、イランの皆さん!

以上、(1)災難、(2)幸運、(3)アホ、(4)多謝、がテーマの事件簿でした!

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(上)イラン(下)サイパンにて いずれもW.Bagにご注目あれ!
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ナッシュビル、テネシーのVanderbilt Universityキャンパスにて


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