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祖道傳東Ⅱ №17 [文芸美術の森]

第十七図 識璞得玉

     画  傅 益瑤・文  曹洞宗大本山永平寺

17.jpg
 
 《紙本塁画》 九〇×一二五 軸装

 五島の福江を三月半ばに出航した船は、四月初旬に明州慶元府(けいげんふ)の海岸に到着いたしました。いまの寧波(にんぽう)の港です。道元禅師二十四歳の時でした。
 道元禅師は慶元府に着いてからも、なお船に留まって、三カ月程を船中で暮らしました。
 ある日、阿育王山(あいくおうさん)の典座(てんぞ)の職にある老僧が椎茸を買い求めて船にやって来ました。会話を重ねた道元禅師は、わずらわしい典座の仕事を辞めて、その歳になられてもなぜ坐禅や古人の語録を読むことに専念しないのかと尋ねました。老いた典座は、呵々大笑して、仏教の修行は何であるか、経典の文字は何を意味するのかを指摘されました。
 また、天童山の無際(むさい)和尚の下で古人の語録を読んでいた時にも、四川省出身の西川の僧侶から「本を読んで、何の役に立つのか」と問われました。中国での仏教修行は、古人の語録を読みあさるばかりではなく、こうした身近な人たちの生活の中に、真の教えがあることを教わりました。
『祖道傳東』大本山永平寺


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