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私の中の一語一会 №210 [雑木林の四季]

   公文書改ざんに関与して自殺した近畿財務局職員の妻、国と佐川氏を提訴
      ~週刊文春に全文掲載された遺書に『すべて佐川局長の指示です』とある~

       アナウンサー&キャスター  藤田和弘
 
 18日に発売された「週刊文春」3月26日号、『森友自殺<財務省>職員遺書全文公開“ずべて佐川局長の指示です”』はアッという間に完売になったという。
 この「週刊文春」には、元NHKの記者だった大坂日日新聞の相澤冬樹記者のスクープ記事が掲載されている。
「書店で雑誌を買えない」という声が多数寄せられる大反響に、文芸春秋は“発売中のメイン記事”をネットに無料で全文公開することで読者に応えたのである、文芸春秋としても初の試みであった。
「週刊文春」の加藤晃彦編集長は「真面目な公務員だった赤木俊夫さんに何が起きたのか? ご遺族は何故、遺書を相澤さんに託したのか? ぜひ多くの方に読んでいただきたい」とコメントしている。
 森友問題で公文書の改ざんに関わった財務省近畿財務局の職員・赤木俊夫さんが、2018年3月7日に自ら命を絶ったのを覚えている人は多いだろう。
 “赤木さんの遺書と手記”が、週刊文春に全文公開されて、「森友問題はまだ終わっていない」ことを国民は再認識したのではないか。私はそう思った。
 “モリ・カケ”と”桜”には、我々が知りたいことが山ほど残っていることを忘れてはならないのである。
 当初から赤木さんが遺書を残しているらしいことは報じられていたが、遺族の反対で公開されなかった。
 相澤記者の記事によれば、赤木さんが亡くなった後、近畿財務局の振る舞いは遺族を大きく傷つけるものであった。
 亡くなった翌日に、近畿財務局の上司にあたる楠管財部長が赤木さんの自宅に現れ「遺書があるなら見せて欲しい」と言いだした。
 弔問の目的が“遺書の中身を知りたい”にあったのは見え見えだった。
 私はものすごく怒りました。森友のことで死んだのは間違いないじゃないですか。「ハッキリ断りました」と取材に訪れた相澤記者に奥さんは語っている。
 目の前で「赤木を殺したのは朝日新聞や」と叫ぶ職員もいたが、“殺したのは財務省でしょ!”と冷ややかに奥さんはその光景を見ていた。
 納得がいかないのは麻生財務大臣の対応だった。
 夫が亡くなって3カ月たった6月、夫と親しかった職員から電話があり「麻生大臣が墓参りに来たいと言っているがどうか」と聞かれたので「来て欲しい」と奥さんは返事をした。
 ところが麻生大臣は「マスコミ対応が大変だから」という理由で断ってきた。
 その後、麻生大臣が国会で「遺族が来て欲しくないということで伺っていない」と答弁しているのを見て、納得がいかなかったのだ。
 文春発売の18日、国会で野党に追及された安倍首相は「再調査は考えていない」と答弁、麻生財務大臣も「職員の手記によって新たな事実が判明した訳ではない」として、再調査をする考えのないことを明らかにした。
 総理、副総理の余りにも誠意のない対応に赤木さんの妻は闘うことを決意したという。
「夫が自殺したのは改ざんを強制されたことが原因なのだ。真実を知りたい!」と23日、国と当時の佐川宣寿理財局長を相手取り1億1200万円余りの損害賠償を求めて提訴に踏み切たのである。
 この提訴の狙いは“賠償金”ではない。あくまで真相究明にある。
 妻の代理人弁護士は「手記に記録された財務官僚を証人として全員に出廷を求める」と記者会見で語った。
 刑事で立件されなかった不法行為が民事で明らかにされる可能性が出てきた。
 官僚に不法行為の責任を転嫁した「巨悪」をあぶり出し、裁きを受けさせなければならないと主張した。
 何しろ、赤木さんの自殺について質問を受けているのに、安倍首相はニヤニヤ笑いながら麻生大臣と私語を交わしていた。罪の意識など何処にも持ち合わせていないように見えてしまう。
 冷酷な人柄と下劣な品性には呆れるばかりである。
 17年2月17日の国会で安倍首相は、昭惠夫人の国有地売却への関与を追及された。
 そこで出たのが、あの有名な『私と妻が関わっていたら総理も国会議員も辞める』という答弁である。
 赤木さんの妻は、首相がいくら否定しようと“改ざんが始まる原因”は安倍首相にあるという考えは少しも変わらない。
 “墓参りに来て欲しい”と伝えたのに、麻生大臣は“国会で私の言葉を捻じ曲げました”。
「この二人は、調査される側であって、再調査しないと発言する立場にはない」という批判はもっともである。
 赤木さんが残した「遺書」と公文書改ざんの経緯を記した「手記」には、多くの財務省官僚の実名が登場するし、一連の経緯が詳細に記録されている。
 局長の指示内容は「野党に資料を示した際、学園に厚遇したと取られる疑いの箇所はすべて修正するように」との指示であった・・・
 佐川理財局長の指示を受けた財務省理財局幹部の杉田補佐が過剰に修正箇所を決め、杉田氏の修正した文書に近畿局で差し替えた・・・
 パワハラで有名な佐川局長の指示には誰も逆らえない・・
 かくして「元は全て佐川理財局長の指示です」となるのである。
 安倍首相の国会発言をターニングポイントに始まった公文書の改ざんは、文書で14件、200の項目に及んでいる。
 元の文書には総理夫人・安倍昭惠氏の名前がいくつかあったが、全て消されていたとされる。
 財務省が国会で真実に反する虚偽の答弁を貫いたことは否定しようがない事実だ。
 赤木さんの妻は、「財務省の風土は良くなっていない。このままだと、また死人が出ると思います」と相澤記者に伝えている。
 23日の参議院予算委員会で安倍首相は「自分の答弁が改ざんのターニングポイントになったとは手記に書かれていない」と主張した。
 赤木さんの妻は「安倍首相や麻生大臣の答弁を報道などで聞きました。すごく残念で、悲しくて、まだ震えています。夫の遺志が完全に“ないがしろに”されていることが許せません。夫が生きていたら悔しくて泣いていると思います」と語るのだ、
「再調査しないとのことだが、何と言われても、何度でも“再調査の実施”を訴えたい」と硬く決意してるという。 
 再調査といっても、財務省内部の調査では何度やっても同じような結論になるのは目に見えている。
 安倍長期政権は権力を持ち過ぎてしまったという指摘はよく耳にする。
 その弊害は、大臣や官僚、与党幹部までが平気で、当たり前にウソをつくことだろう。
 全てが”安倍のため”政治であり、国民はないがしろにされていると思って間違いない。
 主要メディアも権力を恐れ、政権にとって都合の悪いことはなるべく表に出さない。
 こんな日本でいいのだろうか! 
 赤木さんの妻は27日、弁護士や大学教授、精神科産業医などで構成される「第三者委員会」を立ち上げ、公正中立な調査を実施して欲しいと願って“オンライン署名サイト”を立ち上げた。
 署名は2日半で20万をこえているらしい。
 自殺直前に赤木俊夫さんがノートに書き残した“手書きのメモ”は・・、
「森友問題 佐川理財局長(パワハラ官僚)の強硬な国会対応がこれほど社会問題を招き、それに指示NOを誰もいわない 理財局の体質はコンプライアンスなど全くない これが財務官僚王国 下部がしっぽを切られる なんて世の中だ 手がふるえる 恐い命 大切な命 終止符」(原文のまま)となっていた。
  中立公正の「第三者委員会」が赤木さんの奥さんの願いを叶えることを期待したい。
 


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