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浜田山通信 №261 [雑木林の四季]

パンデミック

              ジャーナリスト  野村須美

 まさかあのトランプ氏までが国家非常事態宣言を発令するとは思ってもみなかった。おまけにニューヨークのダウ平均は、暴落に歯止めがかかり、急騰した、非常事態を宣言すると新型コロナウイルスは活動をやめ、人間社会は、あるいはアメリカ社会は再び「グレート・アゲイン」になるとウオール街は思ったのだろうか。
 カネもうけばかり考えるヒトは何ごともカネもうけに結びつけて考える。カネもうけで世界一の大統領になったトランプ氏が非常事態を宣言し権限を一段と強めたのだから「コロナ・パニック」もおさめてくれると期待したのだろう。しかし大統領にいくら権限を集中したところで、新型コロナウイルスの正体がわかり、彼らとの闘いに勝つ保証はない。
 それどころかトランプ自身が、自分もウイルス検査を受けると言いだした。すぐ近くに外国の感染者がいた映像がTVに映ったり、1週間前に会ったばかりの、お隣のカナダのトルドー首相夫人が感染して“濃厚接触”の首相自身は、自宅に隔離状態になった。(その後、検査の結果、陰性だったとのホワイトハウスの発表があったが。) 
 火元の中国はようやく下火になったが、いまはヨーロッパがひどいことになっている。とくにイタリアでは死者が1000人を超え、ベニスもミラノも人影がない。フランスやベルギーは幼稚園から大学まで全校休校、東ヨーロッパでは国境封鎖した国もある。ドイツもスペインも同様だ。アメリカはヨーロッパからの渡航を禁止した。
 いくら孤立したところで新型コロナウイルスはやってくる。マスクや消毒液くらいで彼らを防げるはずがない。とくに80歳以上の老人は一発だという。私は90歳以上、もう百発百中。社会保健のことを考えたら老人にコロナがくっついてくれるのは歓迎と内心思っている当局者もいるのではと老人は思ってしまう。
 世界保健機関(WHO)は11日、パンデミック(世界的大流行)を宣言し、テドロス事務局長は「今回は制御可能な最初のパンデミックにできると信じている」と言ったが、気休めもいいところ、制御可能な状態をパンデミックとは言わない。その語源はギリシャ語のパン(すべての)とデモス(人々)からきており、ギリシャ神話にも関係している。私はギリシャ神話など無縁の自称ジャーナリストだが、若いコラムニストには古今東西何でもありの優秀な人材がおり、以下は毎日新聞「余禄」からの孫引き。牧神パンはヤギの角と脚をもった半獣神で、巨人族のギガスを半神半獣のヘラクレスとともにその大声でやっつけた。パニックとは、パンの出す恐ろしい声で人間や家畜が恐慌状態になることをさす。ヘラクレスやパンのやることを思いあがった人間が何とかできると考えることがまちがっている。パンデミックはコロナだけでなく経済もメチャメチャなのだ。
 日本ではこの期に及んで東京オリンピックを何が何でもやろうとしている。トランプでさえ一年延ばしたらと言っているのに、こちらも神の国の人々にはパンデミックの恐ろしさがわからない。雪の降る日にサクラの開花宣言をするおかしさー。


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