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猿若句会秀句選 №106 [ことだま五七五]

猿若句会特選句集 106(2020年2月15日)

            猿若句会会亭  中村 信

  古民家に残る寒さや土間暗し  長谷川英夫
 六蛙の石蛙が迎え寺うらら  中村呆信
 山迫る旧街道や梅が春  柴田弘道
 潜り戸の両側飾るつるし雛  児玉竹子
 奥多摩やなべて老梅天を指す  丸本 武

◆猿若句会二月例会は吟行にしました。その特選句集です。
[短評] 会亭が健康を害してからは久しぶりの吟行です。無理をせずに最初は近場からということで青梅が選らばれました。①行程は旧稲葉家(古民家)住宅、②無量寿院金剛寺、③延命寺(青梅七福神=大黒天)、宗建寺(同=毘沙門天)、⑤食事でした。[古民家に残る寒さや土間暗し 英二]。巻頭句のこの句は最初の吟行先<旧稲葉家住宅>での作句です。まさに古民家と云うか蔵のある旧家の家づくり、廊下からは臥龍梅が望める庭づくりです。早速皆さんは作句に勤しみました。その代表句の一つがこの句です。正直なところ、下五の「土間暗し」の措辞に違和感を感じたので私は特選句には選びませんでした。しかし、いま読み直してみると、「残る寒さや」と中七で切れており、庭中心に見ていた私とは異なる視点から詠まれていることに気づきました。吟行句の面白さの一つは、多くの人(今回は十人)が同じ場所を廻りながら、いざ句会になってみると、同じ吟行先でもそれぞれが違った視点で作句していたことです。前月・前々月で問題にした類句の問題も、こうして十人が揃って同じ場所を次々と巡っているのですから、類句が生まれそうなものです。しかし、逆に全くと言って良いほど類句は有りませんでした。自分なりの視点を意識しながら作句した結果なのでしょうか。
 吟行の短所は、たまにその吟行仲間にしか通じない句が出句されることです。上掲の二句目がその悪い例です。宗建寺の本堂の前に設えられたほぼ等身大の蛙の石像の六蛙(むかえる)をテーマに苦吟していました。即吟が苦手の私は投句締切に追われて出来損ないの句を数合わせのために出句してしまいました。これを誰かがを戯れに特選に選んで、悪い句の見本の完成です。一般的な句会でしたら意味が分からないということで誰も並選にも選ばなかったでしょう。
◆句会での特選以外の秀作・佳作については、新ブログ[パソコミ誌『あ』の電脳版]http://a-houshin.hatenablog.com/に掲載しています。まだテスト版ですが、おいおい充実させてゆくつもりです。ご覧いただき・ご支援ください。


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