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草木塔 №54 [ことだま五七五]

柿の葉 5

               俳人  種田山頭火

   甲信国境

 行き暮れてなんとここらの水のうまさは
 のんびり尿する草の芽だらけ

   信濃路
 
 あるけばかつこういそげばかつこう
 からまつ落葉まどろめばふるさとの夢

   江畔老に
 
 浅間をまともにおべんたうは草の上にて

   碓氷山中にて路を失ふ
 
 山のふかさはみな芽吹く

『草木塔』 青空文庫

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