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私の中の一期一会 №203 [雑木林の四季]

            今年の世相を表す漢字は「令」ではなく「桜」ではないのか?
        ~国民は憲法改正の議論より、「桜を見る会」の究明を求めている~

        アナウンサー&キャスター  藤田和弘

  哲学者の内田樹(たつる)さんは「桜を見る会問題」には、現代日本社会の致命的な欠陥がいくつも露呈していると「AERA]の巻頭エッセイで書いている。
 どんな社会にも完全な社会など存在しないが、病んだ社会はよく観察して診断し、適切な治療しなければならない。生物は病を放っておくと、やがて病状が進んで死に至る・・人間社会も同じだという論法だ。
 メディアは「野党が反発・・」とか「官邸、逃げ切りを計る・・」などのように、中立を偽装するのはやめて欲しい。
 総理大臣が公的行事を私物化し、公職選挙法違反や政治資金規正法違反の疑いを持たれるのは大問題なのに、問題の真相を示す筈の公文書や招待者名簿などをことごとく廃棄したと主張して、“本当は、そこで何があったのか”を誰も語ろうとしない。
 こういう状況が、事もあろうに「官邸主導」で創り出されているのだ。。
 内田さんの言葉を借りれば、「今の日本社会は異常だ」ということになる。
 12月6~9日に時事通信が行った世論調査で、安倍内閣の支持率は先月の調査に比べて大きく下落した。
 支持率40.6%は先月より7.9ポイントも減っていた。
 不支持は5.9ポイント増えて35.3%であった。
 これほどの下落幅は、森友学園への国有地売却に関する財務省の決裁文書改ざん問題が国会で焦点になっていた18年3月以来である。
 安倍首相主催の「桜を見る会」や「その前夜祭」に安倍晋三後援会の関係者を多数招いて歓待していたこと。
 マルチ商法を展開して多数の被害者を出したジャパンライフ元会長や反社勢力と言われる人も招待されていたことなどが明るみに出て、批判が集中したことが支持率低下に影響したことは間違いない。
「桜を見る会」で野党が激しく安倍首相を追求した臨時国会は12月9日に閉会した。
 40日間の会期延長を申し入れた野党の要求を自民党が拒んだのは、あくまでも首相を守ろうとしているからであろう。
 政治評論家の大森実さんは、桜を見る会問題がここまで大きくなっても、積極的に問題を取り上げるのは朝日、毎日、東京の3紙ぐらいで、読売、産経、日経に至ってはあまり報じないのはヒドイと断じている。
 テレビもTBS系、テレビ朝日系以外は取り上げない。“メディアは真っ二つに分断されてしまった”と嘆いてもいる。
 最近、NHKの次期会長が決まったが、この人選にも官邸の陰がチラついているという声は多い。 
 国会が閉会した9日、記者会見した安倍首相は、野党の追及に「桜を見る会」についてこれまで通りの説明を繰り返した。
「公費を使う以上、これまでの運用を大いに反省し、今後私の責任において全般的な見直しを行っていくと・・・」
 野党の追及に首相も官房長官も“これまでを反省する”とか、“見直していく”と「これから」ばかリ答えるが、これからではなく、「これまでの政府の公的行事を首相が私物化していたのではないか」という事を国民は知りたいのだ。
 首相を守ろうとする官僚はその場しのぎの説明をするから、論理が破綻して“つじつまが合わない”ことが出てきてしまう。
 毎日新聞の与良正男氏は、「政権は相当ガタがきている。逃げ切りを許さないことが大切だ」と書いている。
「桜を見る会」の関係者は、安倍首相と昭惠夫人、副総理、官房長官、内閣府の官僚、自民党関係者、安倍晋三後援会、ホテルニューオータニ、1万8000人の招待客・・・おびただしい数だ。
「権力者は、どんな不正を働いても決して処罰されない」というおかしなルールを、国民の多くが受け入れるようになったとしたら、日本社会はどこまで腐るか分からない。
  与良正男氏の記事で印象に残ったのは、自民党・公明党の中にも安倍首相や昭惠夫人の行動を見て“ウンザリしている議員が少なくない”というくだりだった。
 このまま支持率の下落が続けば、如何に与党の議員といえども、自分の選挙が心配になるのは当たり前。
 首相にモノが言えない状況を変われば、よりましな政治になるという訳だ。
 菅官房長官だってウンザリしているのではないか。
 12日の記者会見で、今年の漢字に因んで「桜」という漢字への思いを聞かれ「聞きたくないです。見たくもないです」と答えて笑ったそうだ。  
 この官房長官も“首相を庇う答弁”に詰まり11回もカンニングペーパーが差し出されたという報道もあったっけ・・・
 コラムニストの小田島隆さんは、ペテンのような安倍政治がここまで長く続いたのは読売、産経を中心とした“大マスコミが政権の太鼓持ちをしてきたから”だと説いている。
 メディアに国民が目くらましされてきたという意味で、特に御用メディアの責任は重大なのだ。
 政治評論家の森田実さんは、今日本が取り組むべき喫緊の課題は、地球の気候変動に対して国民をどう守っていくかではないのか。
 米中対立の中で、国の経済をどう発展させるかなのに、そんなことは放り出し、安倍首相は憲法改正ばかり。首相の私利私欲でしかない憲法改正を許してはいけないと怒っている。
 毎日新聞夕刊の「熱血!与良政談」より
「今回は税金を使って、政府行事を首相らが事実上の選挙活動に利用していた疑いが濃厚な問題である。
 税金を払っているのは首相の支持者だけではない。 
 公正さという民主政治の根本が揺らぐ危機的な状況だ。
 長らく政治取材をしてきたが、これほど権力の私物化が目立ち、その自覚さえ乏しい内閣は見たことがない」・・・
 令和元年の後半は、季節外れの「桜」に終始した。薄黒い桜なんて早く散らしたほうがいい。
 心あるメディアの{諦めない真実の追及」に私は期待したい。


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