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猿若句会秀句選 №103 [ことだま五七五]

猿若句会特選句集 103(2019年11月16日)

             猿若句会会亭  中村 信

 金粉は盃の底恵比須講  中村克久
 整然と薪積み終えて山眠る  佐竹茂市郎
 晴れゐても影の淡かりし冬ざくら  伊藤 理
 ふるさとは西に海あり山眠る  高橋 均
 小春日に輝くティアラ背伸び見る  長谷川英夫
 浅漬けの市に残れる江戸情緒  柴田弘道
 スティックも靴も遺品や山眠る  児玉竹子
 何もかもみんな抱きて山眠る  宮島久代

◆猿若句会十一月例会の特選句集です。例により一句だけの短評から始めます。
[短評] [金粉は盃の底恵比須講 克久]。今月の巻頭句は「恵比須講」の季語を[注]知らないと理解しずらいでしょう。正直なところ、私も歳時記で知った知識が精一杯です。その範囲で句意を考えると。[恵比須講の宴で回ってきた盃には、もう金粉も残っていなくて、僅かに底の下部にその形骸が見えるだけだった]となるかもしれません。では、何故その句が特選に選らばれたか? です。多分、私以上にこの季語の知識を持っていた二人が、さらに深読みをしてくれたからでしょう。実は当日の席題が「浅漬け」「金」になっていたのです。深読みの謂われは、席題句として読んでいたことでしょう。①日本橋伝馬町一帯では恵比須講の準備のために(浅漬け沢庵市=通称べったら市)開かれます。つまり「恵比須講」の副題として「浅漬け」があること。②恵比須講の「講」も商人の「頼母子講」のひとつであるとすれば、その講では縁起かつぎに宴の酒は金粉入りの酒を使うしきたりがあったのだろうと類推した。まるで推理小説を読むような推理ですが、そこまで読み解くのはルール違反でしょうか? 作句者自身は何処まで詠みこもうとしていたのでしょうか? 
[注解] 十月二十日(もとは旧暦)商家では商売繁盛の神である恵比須さまを祀り親類・知人を招き祝宴を開いた。地方によって様々な呼称・行事が残っている。「夷講」とも書く。
◆句会での特選以外の秀作・佳作については、新ブログ[パソコミ誌『あ』の電脳版]http://a-houshin.hatenablog.com/に掲載しています。まだテスト版ですが、おいおい充実させてゆくつもりです。ご覧いただき・ご支援ください。


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