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私の中の一期一会 №202 [雑木林の四季]

  安倍内閣の支持率が下がった。公的行事の私物化で「安倍首相への不信感」が増す
        ~前夜祭の説明責任をニューオータニに押しつけたのは失敗である~

           アナウンサー&キャスター  藤田和弘

 安倍首相主催の「桜を見る会とその前夜祭」は、美しい花には不似合いの生臭い実態が見えてきた。
 これは大坂府に住む56歳の女性が新聞に投書した文章の一節である。
 その核心は、自身の地元後援会から毎年数百人規模で支持者を招待していたことを知っていながら「不適切なこと」と思わなかった首相の“鈍感さ”であり、“驕り”であると指摘するものであった。
 共同通信が今月の23~24日に行った世論調査によると、内閣支持率は48.7%で前回調査に比べて5.4ポイント下落していた。
 「桜を見る会」問題に火がついてから、各社が行った世論調査でも概ね同じような傾向が示されていた。
 内閣支持率は、軒並み5~7ポイント下落していた。
 数値としては50%近くを保っているから、必ずしも低いとは言えないのかも知れない。
 しかし、専門家に言わせれば「数値より内容が悪い」という見方が支配的である。
 これまでも特定秘密保護法や集団的自衛権の行使一部容認などを強引な国会運営で成立させてきた。
 支持率が下がるのはあらかじめ覚悟していたに違いない。
 何らかの対策も立てたのであろう、2~3カ月で支持率は持ち直しに転じた。
 今回の「桜を見る会」の問題では“安倍首相への不信感”とか“安倍政治への拒否反応”が主体になっている。この点がこれまでと一番の違いだと言えるだろう。
 「桜を見る会」は国費を使って各界の功績・功労者などをもてなす宴である筈なのに、首相の身内の安倍後援会やお友達などを大量に招いて歓待していたのだ。
 「桜を見る会」を利用して、己の支持者を大量に接待していたことが多くの国民にバレてしまった。
 首相がどう説明しようと、税金を使った公的行事の私物化に他ならないと誰もが思う事態になっている。
 共同通信の世論調査で、「首相の説明は信頼できない」に69.2%が回答している。
 日経新聞とテレビ東京の調査でも、「説明に納得できない」が69%で、共同通信の結果と大差がない。
 桜を見る会の前日に、ホテルニューオータニで開かれた「前夜祭」について安倍首相は15日、ぶらさがり記者団に自ら近寄って、以下のように弁明をした。いつもに似ず、説明に20分以上の時間をかけたとか・・
 「安倍事務所から詳細について報告を受けました。夕食会を含めて旅費・宿泊費等のすべての費用は、参加者の自己負担で支払わあれている。
 参加者が旅行代理店に費用を支払い、夕食会については、会場入り口で安倍事務所の職員が一人5000円を集金して、“ホテル名義の領収書”を手渡した。
 集金した現金は、その場でホテル側に渡すという形で、参加者からホテル側への支払いが成されたという
ことです」
 前夜祭の収支報告書に、収支の記載がないことについて「収支報告書は、収支が発生して初めて記載義務が生じる。ホテルが領収書を出し、そこで集めたお金をそのままホテルに渡していれば、“収支は発生しない”、だから政治資金規正法上の違反には当たらない・・・」
   元検事の郷原信郎弁護士によれば、安倍首相の説明には疑問があり、法的に問題があることを記事で指摘したら、安倍首相はそれ以降“ブラさがり会見”で一切説明しなくなった。
   代わって菅官房長官が連日、内閣委員会での答弁や定例会見で“質問への対応”を行っているが、官房長官の説明は“完全に破綻している”とネットで記事に書いた。
   前夜祭について安倍首相は、今や“説明不能状態”に陥っている。将棋に例えれば完全に「詰んだ」と言える状態である。
   当初は、前夜祭の夕食パーティの一人5000円は安すぎるのではないか?と感じた。
   ホントはもっと高く、その差額は安倍後援会が補填しているのかも知れない。もしそうなら首相の地元有権者に対する利益供与にあたり“公選法違反”になる。 
 菅原一秀氏が経産大臣を辞任したばかりだけに、公選法違反は総理大臣辞任に繋がり兼ねない重大リスクだった。
 リスクはそれだけではない。政治団体・安倍後援会が前夜祭に深く関わっていて収支が発生していれば政治資金収支報告書に記載しなければならない。
 過去も含めて前夜祭の収支は記載されたことがないが、“収支の記載義務あり”という事態になれば「政治資金規正法違反」になる。
 野党側は、ホテルニューオータニ鶴の間のパーティは最低でも一人11,000円とされていることから、差額の補てんを疑い“有権者への利益供与”に当たるのではないかと追及した。
 安倍首相は、後援会側が公選法違反に問われるのを避けるためだろう、ホテル側に都合のよい説明をさせることにしたのである。
 安倍事務所や後援会には一切“入金もなく支出もない”、ホテル側が会費の設定を行い、会費の徴収も行ったものだと説明した。
 だが、首相の説明は、「前夜祭がまるで“ホテル主催の宴会”であったように聞こえる」と郷原弁護士は指摘する。
 安倍首相が“説明責任をすべてホテルニューオータニに押しつけようとした”ことになり細かく追及すれば、辻褄が会わない事態になる恐れが充分あるだろう。
 郷原弁護士の説明によると、首相の説明のようにホテル側が会費を設定し、参加者から会費を徴収するのであれば、安倍首相夫妻、安倍事務所、後援会関係者からも会費を徴収しなければならない。
 会費を支払えば“支出が発生”するので、政治資金収支報告書に記載しなければならない。記載がないと政治資金規正法違反になる。
 支払いをしていないと“無銭飲食”と見做されるという。ホテルが被害届を出せば事件にもなる。
 ホテル側が前夜祭の夕食パーティで、参加した安倍首相夫妻や事務所関係者から徴収すべき参加費を徴収しなかったら、それは「利益供与」と見做され、安倍首相とニューオータニとの間の「癒着・腐敗」があると疑われるかも知れない。
 こうしてみると、首相には、「違法にならない説明の余地は残されていない」というのである。
 これまでのような“違法なことはやっていない”という「言い逃れ」は、通用しなくなっていることを安倍首相は知るべきであろう。
 「桜を見る会」問題には、“身内びいき”、“公私混同”という安倍政権の本質的な問題が集約されているように思う。
 つい最近、「桜を見る会」に反社会的勢力の関係者が参加していたという指摘もあった。
 菅官房長官は「結果として入っていたのだろう」などと、まるで他人事のような発言しかしなかった。
 暴力団など反社会的勢力の排除には国を挙げて取り組んでいるのではなかったのか?
 芸能人が反社グループのパーティに出演していたことが大きな社会問題になったばかりじゃないか。
 政治家との繋がりだけウヤムヤでいい訳がない。
 「桜を見る会」招待者名簿が、共産党が資料を要求した日にシュレッダーにかけられていたというのはひどいハナシで呆れるしかない。
 これだけ疑惑が深まっているのに、安倍首相は一向に説明責任を果たそうとしない。
 「引き際は潔く」・・NHKの朝ドラ・スカーレットの中でイッセー尾形が言ったセリフだが、漢字を知らない安倍首相には読めないかも知れないなあ・・・
 


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