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浜田山通信 №252 [雑木林の四季]

台風とラグビーと

                          ジャーナリスト  野村勝美

 台風19号、大丈夫でしたか。わが弊屋は二部屋で雨漏りし、なかなか眠れなかった。なにしろ築43年のマンションで、外側のタイルにすきまができ、そこから雨水がしみ込んでぽたぽた雨水が落ちてくる。管理会社へ電話しても通じるものではない。そのうち台風が通り過ぎ雨が上がると雨漏りも止まって眠れた。台風は関東、東北の山間部に大雨を降らせ、千曲川や阿武隈川など21河川で堤防決壊、住宅や田畑を水びたしにした。これだけ広範囲に人的物的損害を出した台風はなかったのではないか。わが家の損害など人さまにいうほどのことではない。
 13日は日中、台風被害のTVニュースをみていたが、夜は一家でラグビーの日本×スコットランド戦を見て喚声をあげる。私はスポーツナショナリズムがきらいで、オリンピックにも興味がないし、ラグビーも初めてだからルールや選手のこともわからない。それでもこれまでワールドカップ戦で1勝しかしていない相手に勝ったのだから一般のファンとしてはたまらない。私としても7点差であと1分、それも相手チームのゴール前でのもみ合いの時は、TVの時間の表示だけが気になった。
 それにしても台風の被害ニュースから一転してラグビーの大騒ぎ。他のスポーツや芸能でも勇気を貰ったなんてことを、TVは地震や台風被害者に語らせてきたが、災害被害者とスポーツの勝ち負けの間には距離がありすぎて、人間はどうしようもないなと思う。
 考えてみればこの前の台風15号にしろその前の西日本台風にしろ、あるいはモンスーンやハリケーンにしろすべて地球温暖化現象なのだ。そのことは日本では宇沢弘文さんが早くから言っていたし、オゾン層破壊が問題になったころは世界中の人々が問題を深刻に考えた。アメリカのゴア副大統領が温暖化防止を掲げて世界中に訴え回った頃も同様だった。それが15年もたつとすっかり忘れる。台風による洪水で家屋、人命、田畑が失われても同じ日本人が一夜明けるとラグビーに熱狂する。それが人間さと私の中のもう1人の私がささやく。
 いまから30年ほど前には環境ジャーナリストがいっぱいいた。朝日の辰濃和男、毎日の原剛、作家の立花隆らが大活躍した。辰濃は環境ジャーナリストの会の会長を務めていたが、環境問題でいちばん大切なことは、第一に「未来人」の立場に立つことだと言った。その未来人の代表が、世界中のおとなたちに衝撃を与えたスエーデンの16歳の高校生グレタ・トウンベリさんだった。彼女は、経済成長というおとぎ話を信じ、環境破壊が目に入らないおとなたちを痛切に批判した。彼女たちは自分たちが温暖化する地球環境の中で生きのびられないことを実感している。私はグレタさんに感動し、皆が言っていたようにことしのノーベル平和賞は彼女にまちがいなしと思っていた。しかし彼女は受賞しなかった。その理由を推測する言説すらメディアには出なかった。」

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