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私の中の一期一会 №198 [雑木林の四季]

  スウェーデンの環境活動家、16歳のグレタ・トゥ-ンベリさんを知っていますか?
   ~世界中の若者は「私達から未来を奪わないで欲しい!」と叫んでいる~

        アナウンサー&キャスター  藤田和弘

 23日(日本は24日)、ニューヨークで開催された「国連気候行動サミット2019」に、若者世代の代表として招待されたスウェーデンの高校生グレタ・トゥーンべリさん(16)が、会場を埋めた各国の首脳や閣僚達を前にしておこなった演説は、世界中に大きな感銘を与えたものとして注目された。
 この模様を伝えた新聞によれば、グレタさんは目に涙を浮かべ、怒りで小さな身体を震わせながら熱弁を振るったという。
「気候変動で人々は困窮し、死に瀕している。生態系は壊れ、私達は大量絶滅の始まりにいる。それなのにあなた方は“お金”と“永続的経済成長”という「おとぎ話」ばかり語っている。よくもそんなことが言えますね・・・」国連本部の総会会場は静まり返った。
 この国ではあまり大きく報道されなかったように思うが、グレタさんの訴えは、サミットに出席した各国首脳の胸に突き刺ささるものだったに違いない。
 女性教育の必要性を国連で訴え、ノーベル平和賞の最年少受賞者となったパキスタンのマララ・ユスフザイさんを彷彿とさせるものがあった。
 物理学者でもあるドイツのメルケル首相は「地球温暖化と気候変動は人間によって引き起こされていることは疑いようがない」と発言して国際社会の取り組みを加速させる意思を表明したという。
 世界第2位の温室効果ガスの排出国アメリカは、トランプ大統領が会場に姿を見せたが一言も発言することなく姿を消した。
石炭火力の発電に頼る割合が多い日本は、二酸化炭素の非出量が多くサミットでの評判はあまりよくない。
発言の機会を与えられなかったせいだろうか、安倍首相は最後まで会場に姿を現わすことはなかった。
 地球温暖化の問題は、国籍や肌の色に関係なく人類の生存に関わる共通の問題である。
 スウェーデンにグレタ・トゥーンベリさんという16歳の環境活動家がいることを、ニュースを見るまで知らなかった自分を恥ずかしく思う。
 聞けば、グレタさんは2018年8月から、毎週金曜日に学校を休んで、ストックホルムの国会議事堂前に座り込んで、地球温暖化への対策を訴える環境運動をたった一人で始めたという。
 BBCによれば、それはスウェーデンの総選挙が迫っていた時期で、地球の温暖化に並々ならぬ関心を抱いていたグレタさんが「気候のためスクールストライキ」というプラカードを掲げて座り込んだのが最初だった。
 グレタさんがスゴイのは、総選挙が終わっても毎週金曜日の座り込みを続けたことだろう。
 グレタさんは、自分がアスペルガー症候群という知的障害を伴わない障害の持ち主であることを公表しているが、「アスペルガーは病気ではなく才能です。私がアスペルガーでなかったら、こうして立ち上がることもなかったでしょう」と話している。
 空気を読めないのは欠点だが、社会のルールや常識にとらわれず、思ったことをハッキリ訴えられるのはアスペルガーだからだとBBCにも語ったそうだ。 
 グレタさんの抗議行動は、FRIDAY FOR FUTURE(未来のための金曜日)と名付けられSNSを通じて世界中に発信された。
 グレタさんがが始めたデモによる抗議行動は、今や世界中で400万人が参加するまでになっているという。
 アメリカの世論調査機関ヒュー・リサーチ・センターが昨年実施した「米国人の気候変動に対する認識調査」には世代間で顕著な差が生じていることが分かった。
 パリ協定からの離脱を表明しているトランプ政権の気候変動対策を“不十分だ”と考える人々の割合は、52才以上では27%だったが、23歳から38歳のミレニアム世代になると47%に跳ね上がっている。
 大人世代が輩出した温室効果ガスによって、深刻な被害を受けるのは未来のある若者世代だからだろう。
 グレタさんが「私達から未来を奪わないで欲しい」と演説に込めた怒りは将来世代の「叫び」だといってもいいかも知れない。
 報道によれば、学校ストライキは北欧から海を越えてアメリカにも広がり始めている。
 ワシントン・ポストが発表した13歳~17歳の世論調査では、7人に1人が「学校ストライキ」に参加した経験があると回答していたのだ。
 グレタさんの呼びかけで、今年3月パリでは2万9000人の若者がデモに参加、グレタさんと同い年の16歳の男子高校生が「地球を守るために、僕たち若い世代が自分たちの未来のために動かないといけない」と訴えた。
 今月20日にも、最大規模の若者たちのデモが世界各地で行われ、150カ国の若者400万人が参加したという。
 気候変動を加速させた大人たちとの世代間ギャップを解消しようと学校を休んで活動しているグレタさん
には批判の声が無い訳ではない。
 そういう大人たちに対して、EUの会議に出席したグレタさんは「大切な勉強の時間を無駄にしていると言われるが、政治家たちはこの十数年間何もせず無駄にしてきた。私たちは温暖化の問題解決まで運動はやめない」と決意が固いことを示している。
 新聞の投書欄に、愛知県岡崎市の主婦(71)の「グレタさんの演説に共感」という一文が目についた。
「(前略)・・スウェーデンの女子高生グレタ・トゥーンべリさんが、若者たちの未来について涙を浮かべながら訴える姿に胸が痛かった。
 私たち大人は便利さ、豊かさを求めて知らぬうちに温暖化による気候の大規模変動を招いてしまった。
 大人には、この温暖化をストップさせて未来の地球を守る義務がある。そして、若者にはより良い地球を受け継ぐ権利がある。・・(中略)・・日本にはサミットでの発言機会はなかった。
 サミット前の関連イベントで小泉進次郎環境相は「気候変動のような大きな問題に取り組む際には、楽しく、格好良く、セクシイ―でなければならない」などと意味不明な発言をした。日本の温暖化対策に対する姿勢が問われる」と書いている。
 この夏は去年以上に暑かった気がする、余りの暑さに大袈裟ではなく「死ぬかも知れないな」と初めて思った。
 台風15号が上陸して千葉では57メートルという風も吹いた。信じられない強風である。
 我々は、間違いなく“大量絶滅の始まりにいる”という実感を持った。
 
 

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