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浜田山通信 №251 [雑木林の四季]

地球温暖化と経済成長という“おとぎ話”

                    ジャーナリスト  野村勝美

  前号で「グレタちゃん がんばれ がんばれ」と書いた。8月に15日かけてヨットで大西洋を横断、ニューヨークについた時に、新聞は2段扱い、TVもほとんど取り上げなかった。それが9月23日の国連気候行動サミットでの演説でメデイアの取り上げ方も、世論の受け止め方もがらりと変わった。
 「人々が困窮し、死にひんし、生態系が壊れる。私たちは絶滅を前にしている。それなのに、あなた方はお金と経済成長という『おとぎ話』を語っている」
 国連本部の総会ホールは静まり返ったそうだ。経済成長という“おとぎ話”が、集まった各国首脳たちにもこたえたはずだ。トランプ米大統領は聞く耳をもたないだろうが、あるいはいまだに開発途上国のふりをする中国も賛同しないだろうが、その外の国、とくに温暖化防止に係る政治家たちは何も言えなかった。もう少しグレタさんの国連演説を引用する。
 「この10年間に温室効果ガスの排出量を半分に削減するという一般的な考え方では、気温の上昇幅を1.5度以下に抑えられる可能性は半分、最も楽観的な試算でも67%です。しかしそれを実現するには2018年1月にさかのぼっても残り420ギガトンの二酸化炭素しか放出できません。今なら残り350ギガトン未満です。これらの数字に沿った解決策や計画は示されていません。若者はあなたたちの裏切りに気付き初めています。裏切ることを選ぶなら絶対許さない」
 TVもようやく大きく取り上げるようになった。やはり新聞の文字とTVの画面ではグレタ・トゥーンベリさんの表情や存在感はまるで違う。たまたま会場にやってきたアメリカ・ファースト大統領をにらみつけるグレタさんの鋭い眼光は、同世代の若い人を代表している自信と自負を物語っていた。
 考えてみると卒寿の人間には温暖化も正直言ってピンとこない。グリ-ンランドの氷が解け、キリマンジャロ山頂の氷雪が消えても、それが海面を上昇させても、私の命はもういくらもない、たしかに海水温上昇でひどい目にあうのは全世界の島国やジャカルタ、バンコク、東京の下町だが、それだけでなく孫やひ孫の時代は人間も生き延びることが不可能になる―。グレタさんの世代にはその悲惨さがはっきり分かっている。
 私は「グレタさん がんばれ がんばれ」などと書いたことが恥ずかしく情けなくなった。
 私の若い頃は、エアコンはもちろん電気こたつも炊飯器もトースターもTVもパソコンもなかった。いまは何もかもが電気仕掛けになり、石油や天然ガスなしで人間は生きていけなくなった。コンピューターやAIがあらゆる人間の行動、思考の分野に入り込んでくる時代、温暖化だけはなんとしてもくいとめなければならない。
 グレタという名前は、昔、グレタ・ガルボという大女優がいた。彼女もスエーデン人。DVDで「ニノチカ」というおもしろい映画がある。

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