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検証 公団居住60年 №41 [雑木林の四季]

Ⅷ 公団住宅の市場家賃化と「建て替え」着手

      国立市富士見台団地自治会長  多和田栄治

1.「市場家賃化ルール」論議と第3次家賃値上げ

 1981年5月に日本住宅公団は「行政改革」第1号として住宅・都市整備公団に再編された。同年7月に第2臨調が基本答申を、つづく8月に住宅審が答申をだし、これをうけて公団は、家賃改定のルールもなく、かつ裁判係争中にもかかわらず、大幅いっせい再値上げを発表し、82年11月に中曽根康弘内閣がうまれるとすぐ強行実施したことはすでに述べた。中曽根政権の82年から87年までの5年間、公団住宅居住者は家賃のくりかえし値上げと「建て替え」着手に苦しめられた。
 1978年、83年の家賃値上げは「ルールなし、話し合いぬき」だったことを国会、政府も認め、次回からは「まずルールづくり、話し合い」を約束した。それは裁判和解の条件であり、公団基本問題懇談会家賃部会への自治協代表参加もそのためであった。ところが公団は裁判和解の85年以降、同部会をまったく開かず、2年半がすぎ87年12月21日になって、家賃改定ルール案にセットして第3次値上げの具体案を提示してきた。値上げ実施は翌88年10月ときめ、改定ルール案も値上げ案も事実上検討はしなかった。これを公団は「反対は自治協代表1名だけ、他の12名の委員(公団総裁の選任)の賛同を得、十分な手続きを踏んでいる」と国会で説明した。
 公団「家賃改定ルール」案の大要は、①従来の「公営限度緻方式によって算定した値上げ額」を団地の立地条件により補正する、②団地周辺の市場家賃とのバランスをとる、③固定資産税評価額の見直しに合わせて3年ごとに家賃を見直す、④新設団地も傾斜家賃期間終了後3年経過したら値上げ対象とする、というのである。
 そもそも公営限度額方式は地価要因があまりにも大きく反映して、地価上昇のはげしい大都市圏の公営住宅では適用できず、当時すでに反古にされていた。その方式を大都市圏に集中する公団住宅に利用し、さらに「団地の立地条件」によって補正するというのだから、市場家賃化そのものである。しかもこのルールには建物や住宅設備の経年劣化等を考慮する算式はない。値上げ周期を5年から3年に早め、毎年急テンポに上がってきた傾斜家賃も3年後からまた値上げしようというのである。
 家賃部会で自治協委員は、改定ルール案の検討と第3次値上げ案の撤回を要求したが、公団は「基本的なことは住宅宅地審議会答申で指摘されている政府の既定方針だ」に終始した。
 公団が88年3月に各戸に配った「今後の家賃改定について(お知らせ)」は、改定理由に「家賃の不均衡是正」「管理経費の確保」にくわえ、「国民的視野」をかかげた。いわく「公団住宅のような公的サービスは、その受益者が比較的特定化されます。空き家住宅の入居希望者の募集には、昭和61年度をみても4大都市圏で延べ約60万人が申し込まれており、その1割程度の方々にしか需要に応じることができていないのが実情です」と、公共住宅のあきらかな不足の現実をテコに、「国民的な公正」の名において、市場家賃レ
ベルにまで引き上げることを正当化しようとした。
 公団は「改定ルール」にそって88年3月31日、建設大臣に約34万戸を対象に同年10月実施、全国平均約4,700円、18%の値上げを申請したした。上限額では1居住室の住宅8,500円、2居住室9,500円、3居住室以上10,500円という大幅な値上げ申請であり、あわせて値上げ後家賃の3か月分相当額までの敷金追加徴収等についても承認を求めていた。ちなみに同期の消費者物価上昇率は9%程度、家賃指数は18%の上昇。まさに市場家賃に合わせての値上げである。

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