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検証 公団居住60年 №38 [雑木林の四季]

Ⅶ 公団家賃裁判-提訴から和解解決まで 

      国立市富士見台団地自治会長  多和田栄治

11.「国会要望」決議と裁判解決の提起
 家賃裁判と呼応して家賃再値上げ強行に反対する自治協の幅広い運動は国会を動かし、衆参両院建設委員会での集中審議が実現した。1983年3月25日、4月12日の両委員会で自治協代表の参考人発言のあと、審議内容を9項目にまとめた「国会要望」が全党一致で決議された。これには自治協の要求を相当部分反映しており、長年の家賃運動の一つの到達点といえる。
 その大要は、①良質な公共住宅の供給と高家賃の引き下げ、②長期未利用地・空き家などの早期解消、③公団家賃改定ルールの策定、④居住者との意思の疎通と値上げ増収分の修繕費優先使用、⑤敷金の追加徴収中止、⑥激変緩和と低収入世帯への特別措置、⑦家賃改定の理解を得るための公団による居住者への積極的な努力、⑧公団と居住者との係争(家賃裁判)の早期解決への建設大臣の努力、⑨値上げ実施時期の延期、であった。全党が一致して第3項で家賃改定ルールの策定、第8項に家賃裁判の早期解決を「国会要望」にこめた政治判断の重みは、政府・公団はもとより、居住者にとっても率直にかつ主体的に受けとめる必要があった。公団は大臣承認をえて10月1日に第2次の家賃いっせい値上げを実施した。
 自治協はただちにこの国会要望事項の全面実現を要求して全国的な統一行動を展開した。この間に83年5月、内海建設大臣は国会要望第8項の家賃裁判早期解決のため、自治協と公団の代表に両者の話し合いを要請した。二大臣要請をうけて自治協は83年秋から84年にかけて、国会要望を実現させ、家賃裁判にいたった要因(とくに公団の話し合い拒否)をなくす立場から組織内の討論をかさねた。裁判解決の条件として自治協は公団にたいし84年4月自治協との定期協議の実施、家賃改定ルールづくり、家賃改定申請前の協議、高家賃抑制、空き家割増し家賃制度の見直し、家賃減額措置の拡大、修繕環境整備等についての話し合いなどの要求6項目を提示した。
 全国自治協は84年6月16~17日の第11回定期総会で、家賃裁判の早期解決にむけて交渉を進めることを確認した。公団本社との交渉は7月14日から12月6日まで6回にわたっておこなわれた。このなかで公団が約束したことを自治協の6項目要求にそくして整理すると、①自治協と公団は定期協議(定例懇談)をおこなう、②家賃改定ルールなしの第3次値上げはしない、ルールづくりをする公団基本問題懇談会家賃部会に自治協代表が参加する、③家賃改定に際して公団本社は検討段階から自治協と話し合う、④修繕・環境改善は定期協議の重要テーマである、⑤公団家賃体系の見直しや経営改善については自治協も基本問題懇談会家賃部会などで大いに意見をだしてほしい、という内容であった。家賃裁判については双方の代理人折衝による和解に自治協も合意した。
 これをふまえて84年12月6日、木部佳昭建設大臣は、国会要望ならびに自治協と公団の話し合いの経緯を尊重するとしたうえで、①自治協との定例懇談、②自治協代表の公団基本憩家賃部会参加、③修繕促進へのいっそうの努力、を公団に公式に義務づけつつ、自治協と公団との係争(裁判)の訴訟上の和解を両者に促す「あっせん案」を文書で提示した。
 自治協幹事会は12月6日の全国総決起大会で同日建設大臣が示したあっせん案にもとづき家賃裁判の解決を提案した。幹事会は国会が要望し大臣があっせんする裁判和解により、政府および公団が「全国公団住宅自治会協議会」を公式にはじめて認知すること、自治協が公団とのあいだで事実上の交渉権確立への土台をきずくことを評価して、大臣あっせんを基本的に受け入れる方向を示した。家賃運動は今後、「2つのテーブル」(定期協議と基本憩家賃部会参加)を活用し、新たな段階で展開することを強調した。

『検証 公団居住60年』 東信堂

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