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猿若句会秀句選 №99 [ことだま五七五]

猿若句会特選句集 99(2019年7月20日)

             猿若句会会亭  中村 信

 一匹のための蚊遣を点しけり  伊藤 理
 精米の看板錆びて梅雨長し  川上登美枝
 衝立に上着ひっかけ泥鰌鍋  高橋 均
 晩鐘に昼顔花を閉じにけり  柴田弘道
 もう慣れた山荘米炊く目分量  原 健一
 新築に早くもなじむ木槿垣  中村克久
 廃校に帰省子の影ただ一つ  内野和也
 帰省する娘見事な母となり  花柳小春
 帰省待つ母糠床に野菜足す  古明地昭雄

◆猿若句会六月例会の特選句集です。例によって一句だけの短評から始めます。
[短評] [一匹のための蚊遣を点しけり 理]。素直な句が久しぶりに巻頭句になりました。句意も平明です。と、書いたところで季語の「蚊遣火」が分からない世代があることに気づきました。まさか〈絶滅寸前季語〉にまで入ってはいないでしょうが。しかし、知識だけならともかく経験したとなると意外に少ないでしょう。たまたま私は子供の頃(戦中・戦後のある時期)、蚊遣りを使う環境にいましたので解りますが、結構大変な作業です。だから句意の「一匹の蚊のために……」が生きてくる訳です。一人で居る時など、一匹の蚊に気づいただけで気になって仕方ないものです。たった一匹の蚊のために殺人(虫)鬼に変身したくなる位です。「蚊取線香」も広い意味では「蚊遣火」の関連季語として入れている歳時記もありますが、この句の場合は蚊遣でないと意味をなしません。この作者の場合は実際のところは蚊遣りを経験していないでしょうから、想像(文学的比喩)で創ったと思われます。逆に蚊取線香でも結構大変だったよと読み替えて、当時の大変さを想像させる作品として読んでみることも出来ます。なお、現在の渦巻き式の蚊取線香は戦後に発明されたものと想像していましたら、すでに明治時代の中期には発売されていたようです。(閑話休題)
 なお、恒例の19年度上半期の優秀作品が下記かきのように決まりました。一席[茶摘み唄聞こゆ知覧空静か 英二] 、二席[馴れ初めは宇治の川辺の蛍狩 小春]、同二席[夜桜やまさかの出合ひ遠会釈 小春]
◆句会での特選以外の秀作・佳作については中村信のホームページ《あ》[http://saruwakakukai.web.fc2.com]をご覧ください。


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