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検証 公団居住60年 №35 [雑木林の四季]

Ⅶ公団家賃裁判ー訴訟から和解解決まで

      国立市富士見台団地自治会長  多和田栄治

8.証人尋問

 原告側は第12回法廷で弁論を打ち切り、証拠調べに移るため、1982年1月18日付で計6人の証人申請をおこなった。原告側が公団家賃の値上げ理由、必要性、手続きの相当性を立証するのが先決であるとして公団理事の証人をもとめたのにたいし、被告側は「法律関係はすでに主張をつくしているので公団関係者をよぶ理由はない。家賃値上げの相当性を立証することが先決であり、被告申請の証人から調べてほしい」とのべ、裁判官は被告申請の有馬幸良(不動産鑑定士)証人を採用した。
 有馬証人の82年4月の第13回から3回にわたる法廷での証言は、公団家賃値上げの正体、そのいい加減さをさらけだした。狭い法廷だけに証人の顔が青ざめ、震えているようすが見てとれ、それをさらに印象づけた。

[有馬証人]対象不動産をみて鑑定した。場合によってはもういっぺん、あるいは数回調査する。
[原告代理人]8月13日は多摩平、柳沢、東伏見、府中、ひばりが丘、赤羽台の6団地について鑑定評価をおこなった日として決済を受けているが、1件当たりどれくらいの時間をかけるのか。この日は希望ケ丘、木場2丁目にも行っている。
[有馬](震えながら)ちょっと記憶していない。
[代理人]鑑定基準によると、現地に臨んで対象住戸の当事者から事情を聴取せよとなっているが、現地にも行っていないのか。
[有馬]公団のような場合は見なくても書類上で判る。類似あるいは同一棟のもので十分類推できる。
[代理人]空室を鑑定の対象としたようだが、事情聴取はできない。
[有馬](答えなし)
[代理人]公団の当初家賃が適正に算出されているか検討したか。
[有馬]検討していない。というより本件の評価を拘束するものではない。
[代理人]公団家賃の鑑定にあたっても、とくに民間と区別する謂れはないということか。
[有馬]公団家賃といえども土地建物の使用の対価であるかぎり変わらない。

 東京地裁で有馬証人が尋問をうけていた期間に、横浜地裁は82年11月26日、原告の考え方を認め、被告公団にたいし「原告団地ごとの収入分析表、公租公課収支表」の提出命令をだしている。公団家賃は公的性格をもっており、家賃増額を判断するにあたっては当初家賃の基準となっている構成費目の増減を検討する必要がある。重要な資料であり、賃貸住宅の正しい運用のため作られたもので、居住者や国民に見せても公団に不利益にはならない、との理由で提出を命じた。公団は横浜地裁の命令に従わず、東京高裁に不服申し立てをした。高裁は84年2月27日に、この文書はもっぱら公団が使うために内部的に作成した資料であるから裁判所に提出しなくてよいと決した経過があった。
 東京地裁では、岡田隆郎全国自治協事務局長が原告証人として1983年1~6月の第16~19回法廷に立った。岡田証人は、公団の提案で67年7月ころから自治会・自治協との協議が定例化され、このなかで団地管理上の問題、多くは自治会の要望をテーマに話し合われてきたこと、家賃問題になると公団は問答無用の態度をとり、ほかの面でできた話もできなくなった経過、家賃値上げ問題点にたいする自治協の取り組みと主張について証言をした。
 岡田証人につづいては、83年7月の第20回法廷から原告申請の不動産鑑定士、鐘ヶ江晴夫証人、84年1月の第23回から85年2月の第30回までの各法廷では被告申請の公団職員、柴山怜証人にたいし尋問がおこなわれた。


『検証 公団居住60年』 東信堂

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