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猿若句会秀句選 №97 [ことだま五七五]

猿若句会特選句集 97(2019年5月18日)

             猿若句会会亭  中村 信

 小さな手丸く泉を掬ひけり  佐竹茂市郎
 出稼ぎの男泣かせる走り薯  丸本 武
 飛騨路来て掬ふ泉や宗祇水  花柳小春
 マスターひとり匙磨いてる五月かな  中村呆信
 泉湧き砂吹き上げて柿田川  児玉竹子
 夏めくと日記の隅に書き記し  高橋 均
 母の日や八十路の妻に卓上花  中村克久

◆猿若句会五月例会の特選句集です。例によって一句だけの短評から始めます。
[短評] [小さな手丸く泉を掬ひけり 茂市郎]。作者久々の巻頭句です。見事な描写句です。いつも説明句と描写句の境の句が投句され、微妙なところで説明句とみなされ選から漏れていたことが多かったようです。例えばこの句も「子供の小さな手」などと表現すれば説明句になってしまいます。「小さな」手と表現した時点で子供の手だと誰もが想像できますから不要なわけです。描写したいとはわかっていても、作者のように超多忙でなくとものなかで作句して投句しようとすると、殆どが想像句になってしまうのが実情で、ついつい説明過剰・饒舌なってしまいがちです=閑話休題。一例として、今回の兼題は「泉」だったのですが、泉を調べて出かけ、最低2~3時間は観察するとします。仮に一回くらいは出来たとしても、毎月は無理です。つまりは殆ど全ての句は想像で創くらなければならないわけです。ただ純粋な想像句はあり得ず,何らかの核になるものがあるはずですから、想像句を創造句に昇華させる余地はあります。努力を重ねて佳句づくりに励んでみてください。
実は巻頭句に全く同点句[出稼ぎの男泣かせる走り薯 武]がありました。別な意味で問題点がありました。「新馬鈴薯」(しんじゃが)が席題になりました。実は出題者の歳時記には、見出しは「しんじゃが」とあり、季語解説には「新馬鈴薯」とありました。出題としてはおそらく初めてのルビつきで「「新馬鈴薯」にしました。「新じゃが」他いろんな表記の出句がありました。会亭的には出題以外の表記を認めないとする者ではないのでバラエティーがありました。では「走り薯」は如何でしょう。私は是としました。歳時記万能主義ではなく、むしろ歳時記を基礎として季語の中身を充実させてゆくべきだと考えています。極端な方言・訛り・俗語・隠語なども、一般に通用しているなら表現の幅を広げる意味からも是としています。しかし異論もでてきました。ある歳時記に「走り藷」=新甘藷があったのです。確かに紛らわしいです。解説付きでも中身は同じ

です、是としてきたのですが警告「注意!」に訂正します。、
◆句会での特選以外の秀作・佳作については中村信のホームページ《あ》[http://saruwakakukai.web.fc2.com]をご覧ください。(ただし、該当欄が一時的に更新不能のため、同「掲示板」投稿欄にて代替しています)


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