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私の中の一期一会 №190 [雑木林の四季]

        圧力一辺倒だった安倍首相が“無条件の日朝首脳会談”に前向きとは
      ~「私自身が金正恩委員長と向き合わなくてはいけない?」何を今更!~

        アナウンサー&キャスター  藤田和弘

 今年2月に行われたベトナ・ムハノイでの米朝首脳会談が物別れに終わってから、北朝鮮は“対米強硬路線”に舞い戻るつもりなのだろうか?
 北朝鮮は今月4日と9日に複数の飛翔体を発射したというニュースが流れ、日米に緊張が走った。
 この飛翔体は、弾道ミサイルではないか?という指摘があったのに、安倍首相は「今後、日米の専門家同士で協力して分析していく」と述べるにとどめ、北への批判を抑える構えをみせたのである。
 安倍政権はこれまで北朝鮮に対し「対話のための対話ではダメだ」などと豪語を繰り返し,頑なに「圧力路線」を推し進めてきた。
 アラートを作動させ“北朝鮮パニック”を政治利用して政権浮揚を計ってきた過去もある。
 そんな安倍首相が6日夜、トランプ大統領と電話会談したあとの囲み取材で「金正恩委員長とは条件を付けずに向き合わなければならない」との意向を示し、「このことはアメリカ側にもすでに伝えている」と語ってニュースになった。
 首相の発言は、“圧力一辺倒”から“対話”に路線変更したばかりではない。これまで「日朝首脳会談を行う以上、拉致問題の解決に資するものでなければならない」としてきた前提条件を外したものになった。
 弾道ミサイル発射で、再び朝鮮半島情勢が騒がしくなりそうな心配が生じてきた今何故、安倍首相は日朝首脳会談のハードルを低く設定する気になったのだろうか?誰もが抱く(?)マークではないだろうか。
 6カ国協議の中で、未だに北朝鮮と首脳会談をしていない国は日本だけである。
 米・朝・韓の交渉から“蚊帳の外”に置かれていることへの焦りからトーンダウンせざるを得なかったのかも知れないが、それにしてもだ。
 拉致被害者家族会は,前提条件が外されたことをどう思うだろうか。
 安倍首相の「拉致問題を最重要課題と位置づけ、この内閣で必ず拉致問題を解決する」という発言に期待し続けてきた人達の心境を思うと心が痛む。
 アメリカ追随の安倍政権に、“朝鮮半島の非核化問題に先立って拉致問題を取り上げて欲しい”などとトランプ大塔旅に言える訳がないからだ。拉致問題がスルーしてしまう最悪の事態だって想像できるではないか。
 何しろ2014年5月の“日朝ストックホルム合意”から5年も経過したのに、“拉致問題解決への道筋は未だに1ミリも進んでいない”のである。
 2回目の小泉訪朝は2004年だったから、そこから数えると何と15年も進展がないことになる。
 日本国民は、家族連絡会の飯塚繁雄代表が「もう時間がない。また来年とならないよう結果を出していただきたい」という切実な声を何年も、何度も耳にさせられてきた。
 安倍首相は「私が先頭に立って舵取りをする・・」とか「拉致問題の解決なくして国交正常化はあり得ない」など、言うことは勇ましいから家族会も「今度こそ拉致問題が動くかも知れない」と期待してきた筈である。
 ところが安倍首相は、トランプ大統領の国連総会演説の中で“拉致問題に触れてくれないか”とか、米朝首脳会談で”拉致問題も提起して欲しい”など、“アメリカ依存”でしか動かなかった。
 家族会も国民も安倍流の「やってる感じ」の政治手法に惑わされてきたのである。
 アメリカにとって北朝鮮問題は“朝鮮半島の非核化であり、ミサイル問題なのだ”、アメリカが日本政府の肩代わりで拉致問題を解決してくれることはないだろう。期待してはいけないのだ。
 安倍首相としてはトランプ大統領に金委員長への口利きして貰った以上、アメリカと緊密に連携して行くとしか言えない。
 いくらこちらが「金委員長と条件を付けずに会う用意がある」と言ったって、首脳会談がすぐ実現すると思うのは非現実的だ
 拉致問題を進展させるには、水面下で北朝鮮に経済協力の青写真を示す必要がある・・などというハナシを聞いたことがある。
 日朝首脳会談は、実現するにしても相当時間がかかるとみなければならないだろう。
 2月の米朝首脳会談で、「金正恩委員長が、いずれ安倍首相と会う」とトランプ大統領に語ったという日本政府関係者の話が今頃になって出てきたのも、何だか取って付けたような話にしか聞こえない。
 アメリカ国防総省は9日に「北朝鮮が発射した飛翔体は弾道ミサイルだった」と断定したことをロイター通信が伝えている。
 河野外相は「明確に国連安全保障理事会の決議に違反している」と述べ、トランプ大統領も「誰も喜ばない。事態を深刻に注視している」と不快感を示していた。
 アメリカの政治専門メディア・ポリティコのインタビューには「ミサイルは標準的なもので、信頼を裏切るものではない」と答えている。大統領は事態をあまり重く考えていないようでもある。
 中国の王毅外相は13日、2月の米朝首脳会談以降、解決に向けたプロセスは行き詰り、不透明感も高まっているが、北朝鮮は朝鮮半島の非核化を達成するという基本目標は維持している。
 アメリカも対話を通じて問題を解決するという考えは捨てていない。
「非核化問題は、政治的解決の枠組みの内に留まっている」と語った。
 北朝鮮が「拉致は解決済み」という姿勢を崩していない中、安倍首相は“無条件の日朝会談”をどう実現いていくのだろうか。
 報道によれば、北朝鮮側は、首脳会談の前提として“植民地支配の清算”や”日本独自の制裁解除”という難しい条件を提示してくる筈だという。
 4日に日本海方面に向けて発射された飛翔体には短距離の弾道ミサイルが含まれていたことが確認されている。国連安全保障理事会の決議に違反していると河野外務大臣も不快感を示した。
 それでも対話外交でいく覚悟はあるのだろうか。
 アメリカ訪問から帰えった菅義偉官房長官は13日、国会で前提条件を付けずに日朝首脳会談を目指す政府の方針を維持する考えを示した。

 ある被害者家族は「私たちが知りたいのは事実です。運動のための運動ではありません。
政府は拉致問題について、いつも曖昧な対応するだけでした。本音は解決したくないのではないでしょうか」と言っている。
「諦めたら、そこで試合終了ですよ!」・・・どこかで聞いたセリフが浮かんできた。


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笠井康宏

藤田さん、こんにちは。安倍首相は拉致被害者と家族を「道具」にしか思っていないですよ。残念ながら、私は北方4島の返還と拉致問題の解決は絶対に無理だと思います。
by 笠井康宏 (2019-05-19 14:55) 

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