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往きは良い良い、帰りは……物語 №70 [文芸美術の森]

往きは良い良い、帰りは……物語 (こふみ通信)
その70  TCCクラブハウスにて
  「花明り(はなあかり)」「花の果て(はなのはて)」「花筏(はないかだ)」
  「令和」または「令」
                     コピーライター  多比羅 孝(俳句・こふみ会同人)

◆◆平成31年3月29日◆◆
当番幹事として鬼禿、舞蹴、一遅、3氏連名の案内状が届きました。下載のとおりです。

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『四月こふみ会』の案内
いよいよ桜咲く四月です。以下の通り開催します。
●四月十四日(日)午後1時より TCC会議室。
●会費=1500円 ほかに景品3個ご用意ください。
●季語【花明り】【花の果て】(席題も桜系の予定です。)
この季節、花は桜をさしますが、花は桜を超えた華やかさを背景に持っているようです。
また、句会の日、14日は満開絶頂はすぎているかもしれませんので、そんな季語も選びました。(鬼)
●今回の出欠は舞蹴にお願いします。(3月中)
              幹事=鬼禿・舞蹴(一遅)
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これに応じて軒外氏から、いつものように、いい感じの返信レター。

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一方、私、孝多と申せば、芸が無くて、百年一日の如く、『常用字解』白川静です。

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★こふみ会四月 当番幹事 舞蹴様
ご案内 有難うございました。4月14日、出席します。
どうぞ、よろしく。  平成31年4月3日   孝多
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◆◆さて、句会の当日。4月14日。◆◆
やりましたねえ、幹事さん。席題のひとつに「令和」を持って来ましたか。

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新しい元号はこれです、と、記者団に菅官房長官から額入りの筆文字によって示され、口頭で発表されたのが、4月1日午前11時41分。
その瞬間、日本中に火がつきました。改元パッション、令和熱旋風です。それが強烈に続いているという、 この機を逃すことなく、私たち、こふみ会の記録に留めようという積極的な思いが、この席題「令和」を誕生させたのに違いありません。幹事さん、メルシー・ボークー! ご苦労様でした。
それにしても、事件でした。「令和」が季語になるか否かの問題なんか吹き飛ばしてしまった、歴史的な兼題です。(ところで、70回めを迎えるこのブログがUPされる五月一日、ジャストその日から、令和元年が始まります。)

◆◆さあ~て一体、硬い(固い)のか? 軟らかい(柔らかい)のか? 花筏。◆◆
あんなに柔らかそうに、水に浮いている「花びらの敷物、あるいは絨毯(じゅうたん)」に、何故、ゴツゴツ・カタイ筏(いかだ)という比喩・形容が当てはまるのか……。私には、とても不思議に思われるのですが、皆さんは如何なのか、知りたくて、そのための探察をしたのですが、今回は、ついに、はっきりとした答えを見つけることが出来ませんでした。
私自身は「山の温泉につかっている人と、浮いている桜の花びらとの心の交流・対話」を詠んだつもりだった……つまり、柔らかな親しみ深い肌触り……を表現したものデシタ のですけど……。
いや、歎いているわけではなく、単に、皆さんの考えを聞かせていただきたくて、うずうずしてたのですが……別な話題になってしまって、つい、聞きそこなってしまいました。

「別な話題」? それは高島屋における高島屋OB・OGの優待割引のハナシ。 料金や、そのシステムのこと。聞けば聞くほど面白そうです。こふみ会に何人もいるOBさんに、また改めてお伺いしたいものです。本日は、これどまりとして。
いや、ひと言だけ書かせてもらいましょう。本日の吉兆の美味御膳、これも、その優待制度の恩恵にあずかったものでした。とのこと。

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★Verdecchio Classicoと銘打たれたワインも、嬉しや、上等品。マルケ地方特産の白ブドウ酒。
こちらは高島屋ではなく、小池茘子・別格ワイナリーからの差し入れ。誠に有難くGrazio! 乾杯Salute!

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喋って、飲んで、食べて……その間に作句して……。投句して、清書してもらって、回覧して……。選句して、短冊書きも済ませて、順番に「我が選句」を読み上げて……得点を係に記録してもらい……短冊と景品を手渡して、握手などして……最後に幹事(係)による成績発表です。

幹事(或いは係)が、全員の得点を示す「正」の字を計算して、息を整え、声を張って、その結果を発表するのです。
では、本日の成績発表で~す!
★本日のトータルの天は39点獲得の弥生さ~ん。パチパチパチッ!                      代表句は「裸婦像の 胸に一片(ひとひら) 花の果て」                         

★トータルの地は37点獲得の矢太さ~ん。パチパチパチッ!
代表句は「花の果て 億光年の 黒き穴」

★トータルの人は36点獲得の舞蹴さ~ん。パチパチパチッ!
代表句は「令和なる 新たな時代 花吹雪」

★トータルの次点は29点獲得の鬼禿さ~ん。パチパチパチッ!
代表句は「花の果て 夢は何かと 問はれけり」

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     左から人の舞蹴、天の弥生、地の矢太。 撮影=軒外。(敬称略)

皆さん、おめでとうございました。パチパチパチッ!

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天位へ謹呈される絵付き短冊

おかげさまで今回も、とても楽しく、美味しく、なごやかな、ひとときを過すことが出来ました。
どなたも、思っていたことでしょう、『平成最後の〇〇』といった表現。昨今、あまりにも、あちこち、繁用されて居りますので、使うのがためらわれる始末。
ついに、今回の句会の席上で、その言葉を聞いたり、読んだりすることはありませんでした。皆さん、意識されてるのですね。
「さらば、平成」も、そうですね。「さよなら平成、こんにちは令和」も、今や陳腐といった感じを免れません。それ以上の言葉が欲しい!
いろいろ考えさせられましたよね。そうです。元号についても、万葉集についても、天皇制についても……。そうそう、10連休についても、ですね。句会がお開きになったあとでも、席を替えて、チビリチビリ、或いはゴクゴク、やりながら、これらのこと、話し合ったら、きっと面白いことでしょう。やりたいですね。みんなして。
では、また。次ぎは5月12日。お目にかかりましょう。お元気に。  (孝多)

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第592回 本日のこふみ会全句
平成31年4月14日     於 TCCクラブハウス

◆兼題=花明り     順不同
 花明り この世とあの世の 境目(さかいめ)あたり    軒外
たそがれて 神降る如く 花明かり          一遅
花明り ブラックホールの 深さかな        矢太
花明り  下照る道に 素足踏む                 珍椿
見納めと 知りて酔ひしか  花明り            弥生
抱き合ってもひとり 花明り                   虚視
もぢもぢす 君の顔(かんばせ) 花明り       華松
生き急ぐ 人に優しき 花明り                 可不可
暮れゆきて 暮れゆきてなお 花明り         舞蹴
花明り 母に会えそな 鄙(ひな)の道      茘子
床あげる 硝子(がらす)障子の 花明り    鬼禿
二人ずつ 二人ずつ行く 花明り               孝多
花明り 気鬱少女の 頬の紅                     紅螺
母の手は 離さぬように 花あかり             美留

◆席題=花の果て   順不同
花の果て 億光年の 黒き穴                      矢太
花果てて いつもの自分 やっている           軒外
花の果 水面を分けて ふねを漕ぐ            珍椿
花の果て 大奥を去る 御中臈(おちゅうろう) 美留
花の果て 芸妓は笑みを 失わず                可不可
花の果て 公園に紙コップひとつ                一遅
花の果て ありやなしやと 君に問ひ           華松
花の果て 袋小路に 潜む猫                      舞蹴
花の果て 電子タバコの ほの明かり           紅螺
散り来るや 我が胸もとに 花の果て           孝多
今朝命(いのち) 儚(はかな)く見ゆる 花の果て  茘子
裸婦像の 胸に一片(ひとひら) 花の果て  弥生
花の果て 夢は何かと 問はれけり               鬼禿
人型に 窪みしベッド 花の果て                  虚視

◆席題=花筏          順不同
山の湯や 揺れて浮いてる 花筏                 孝多
花筏 その行き先を 聞くなかれ                 矢太
実りなき 想ひをのせし 花筏                    華松
花筏 踏みつつ丘に 登りたる                    軒外
花筏 大川染めて 大海へ                          茘子
ほらそこに 取水口だよ 花筏                    美留
本音(ほんね)とは 真逆に流る 花筏         鬼禿
花筏 狩野派のごと 流れ往く                    珍椿
五位鷺の 櫓(ろ)で行く旅や 花筏            一遅
別離に足る 人の世早も 花筏                    弥生
花筏 乗りて行きたし 極楽へ                   可不可
みな去りて 夫婦無口に 花筏                    舞蹴
堀渺茫 オールの先の 花筏                       紅螺
花筏 流れる果に 夜のあふれる                 虚視

◆席題=令和(または「令」)   順不同
宰相の 夢見る 令和の宴                          珍椿
花冷えや 遺影に令和を 告げにけり            弥生
春五月 令和の朝の 晴れ晴れし                  紅螺
令和です 遠くを見よう 目を閉じて            孝多
令和なる 新たな時代 花吹雪                    舞蹴
令嬢は 昼寝もするし あくびする               虚視
よそよそし 令和がなじむ 夏を待つ            華松
花冷えに 令和の改元 何だかねえ               軒外
半月過ぎ 日毎(ひごと)和(やわ)らぐ 令の棘 鬼禿
令月と いふ語を知りて 花散りぬ               矢太
春愁(うれ)い ピアノレッスン 令夫人       茘子
極東に 不穏な空気 令和成る                     一遅
あの道も この道もある 令和かな               可不可
鯉のぼり 令和の空に 清々(せいせい)と    美留

                                    以上14名 56句

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水野タケシ

孝多先生、平成最後のこふみ会リポート楽しく拝見しました!!

さっそく「令和」を詠まれたんですね!!すごい!さすが、こふみ会です!!

令和初の句会も楽しみにしております!!\(^ ^)/ バンザーイ
by 水野タケシ (2019-05-01 05:42) 

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