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検証 公団居住60年 №31 [雑木林の四季]

Ⅶ 公団家賃裁判一提訴から和解解決まで

      国立市富士見台団地自治会長  多和田栄治

3.公団に家賃改定の方式はなく-「公営限度額方式」準用の欺瞞

 公団は値上げ承認の申請書に「公団住宅居住者間の家賃負担の不均衡を放置すれば、社会的不公正を増大させることになる」と書く。「不均衡是正」をあげるが、公団家賃独自の仕組みにふさわしい改定方式は定めていない。空き家募集家賃や傾斜家賃制は既存、新規の家賃をなぞって設定できたが、既存家賃のいっせい値上げ方式はどうするか。個別原価主義方式は、地価や建設費等の上昇を吸収して新規住宅の高家賃を正当化するのに好都合だったが、この方式そのままで家賃改定はできないし、既存家賃に関係ないとも言いだせない。裁判では公団代理人に「原価主義は新規家賃の決め方、その後は公団家賃といえども民間家賃と同じ」と言わせながら、さしあたりは設立の目的も家賃の仕組みも異なる公営住宅を「公団住宅と同様の施策住宅」といい、「公的性格を有する」方式とこじつけて「公営限度額方式」なるものを借用し、とにかく家賃値上げを強行したのである。
 公営住宅家賃も基本的に経済家賃主義である点では共通しているが、建設費等への国庫補助があり、収入に応じた家賃区分を設けるなど公団家賃とは別種の制度であり、公営限度額方式はそれに見合った家賃変更の方式として定められたものである。しかしこの方式も、すでに1979年には東京都住宅対策審議会は、地価高騰が家賃に大きく反映して高家賃化がすすみ、住宅の質とも対応せず、「大都市の実態にそぐわない」と答申していた。
 公団家賃の費目構成がしめすように、当初から地代相当額が大きな割合を占めているのに加え、固定資産税評価額を基準に再評価をするにせよ、評価額の大幅引き上げがおこなわれていた時期でもあり、異常な値上がりになるのは目に見えていた。現にこの方式で引上げ額を算出すると、とんでもなく大幅な値上げになるから、算出額の2分の1を基準とし、さらに7,000円を上限と定めて値上げ額を通知してきた。わたしの住む東京多摩地区ではほとんどの世帯が7,000円値上げだった。「公的性格をもつ」方式で算出される額の2分の1を基準といい、さらにそれより低く上限額を設けなければ実際に適用できない、それが「方式」の名に値するのか。1956年度から72年度までに建設された新旧の団地の、1DK住宅も3DKも、ほとんどが上限7,000円値上げの、どこに古さや規模も反映した不均衡の是正なのか。公団の値上げ方式のでたらめさはいうまでもなく、これまた新たな不均衡をつくりだし、「是正」するまで繰りかえす家賃値上げを予想させた。
 以上みてきた経過と実態、問題点の指摘にたいし、これに頬かぶりして公団は、新旧団地間あるいは公団住宅相互間の「家賃の不均等是正」をとなえ俗受けをたよりに家賃値上げを強行した。公団代理人たちの主張から浮かびあがるのは、公団住宅の「公共性」などおかまいなく、公団家賃の市場家賃化にむけて旗ふり役をする姿である。

【検証 公団居住60年』 東信堂

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