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台湾・高雄の緑陰で №24 [雑木林の四季]

選挙後の台湾事情(友人内山邦昭氏への返信)

         在台湾・コラムニスト  何 聡明

拝復:

 王育徳記念館開館のおり、家族3人で台南へ出かけましたが、主催者である王明理さんは多忙で駆け回っていたので、挨拶以外はお話を交わす機会がなく、私たちは昼食のご馳走にあずかったあと台南を去りました。開館の行事の運営は極めて順調であったと思います。私達が最も感心したのは、既に母親でもある明理さんの娘さんが上手な台湾語で皆にお話しをしたことです。台湾では長らく続いた国民党教育のせいで、台湾語を話せる若者が減少しています。

 既にご存知の如く、11月24日の地方選挙で台湾民進党は意外にも中国国民党に惨敗しました。惨敗の原因は多々説かれていますが、封建的で陰険な中国国民党を相手にして蔡英文政府は「現状維持、謙虚、謙虚、更に謙虚」を唱え、あまりにも軟弱であった結果であるというのが私の見解です。初めて行政権、立法権を得て捩れの無い政権を獲得した民進党は勝利に乗じて追い討ちを掛け、中国勢力を再起不能に導くべきでした。幸い民進党はまだ政権を握っているので、それを利用して修正すべき事を修正して確実に実行すれば、今回の地方選挙で蒙った多くの失敗を是正することができると思っています。

 今や中国国民党は中国共産党と組んで台湾の次期政権を奪取し、台湾を中国に併呑する陰謀を計っていると考える台湾人が増えています。2020年初頭に行われる総統と国会議員の国政選挙は共産党専制の中国との統一か、独立かの選挙となり、民進党が政権を保てるか否かで、台湾の行く末が決まると考えられています。米国のトランプ政権が対中強硬政策を進めている現在、中国による台湾併呑は容易ではないと思います。台湾人は今後とも台湾が民主主義陣営に居残るために最大の努力を続けねばなりませんが、日本と米国の協力と支持は絶対に不可欠です。民進党の陳水扁氏が総統の時代に「中国と台湾は別々の国である」と主張したので、台・中関係の緊張を恐れた米国のブッシュ元総統は「陳はTrouble makerだ」と厳しく譴責したことで、其の後陳総統は台湾人の国家意識については沈黙を守りとうしましたが、私は今のアメリカの為政者が台湾人の国家意識に対して再び強硬な反対態度を示さぬよう望んでいます。


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