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検証 公団居住60年 №28 [雑木林の四季]

大資本奉仕の実態と黒い霧

     国立市富士見台団地自治会長  多和田栄治

 7.長期未利用地買い込みの顛末
 日本住宅公団の「ずさん経営」「乱脈経理」、そして「高遠狭」のガラ空き団地続出、広大な長期未利用地、遊休地の買い込みがマスコミをにぎわせ、社会問題になったのは1977年から78年にかけてであった。この公団経営にたいする批判の高まりを逆手にとって政府は、公団家賃のいっせい値上げを策動していた。じつはそれ以前の73~76年に会計検査院は、公団がかかえる長期未利用地、ガラ空き団地の問題を指摘し、国会でもきびしく追及されていた。ここでは、1976年5月13日の衆院決算委員会において「長期間事業に着手できないと見込まれる宅地造成用地」問題をとりあげた庄司幸助委員の質疑概要を採録しておく。

[庄司幸助委員]長期未利用地の所在、その面積、買収金額をたずねる。
[住宅公団総裁南部哲也]会計検査院の昭和48年度決算報告によると、住宅建設部門で17地区718ha、取得金額647億円、宅地開発部門では10地区1,042ha、454億円。合計1,760ha、取得金額で1,001億円である。
[庄司]昭和50年12月末現在の冬眠地にかんする公団資料を読みあげる。
①茨城県龍ヶ崎市北竜台、45~46年に約36万坪の市街化区域を約23億円で丸紅不動産、京成電鉄、東洋不動産から買収。②千葉県市原市潤井戸沢、45~46年に30.6万坪の市街化調整区域を35・6億円で塚本総業から。③埼玉県飯能市飯能、48年度に14・46万坪の市街化調整区域を29・37億円で興和不動産、西武鉄道から。④千葉県野田市野田山崎、48年度に14・13万坪の市街化調整区域を427億円で東急不動産から。⑤横浜市緑区長津田、48年度に8.65万坪の市街化調整区域を61億円余で三菱地所から。⑥栃木県小山市間々田、48年度に8・37坪余の市街化調整区域を約20億円で塚本総業から。⑦栃木県上三川町、48年度から買収、25・6万坪の市街化調整区域を72.6億円。売り手は太洋興業と東武鉄道0⑧神戸市北区北神戸、43~44年度に約10万坪の市街化区域を34.37億円で買収。⑨兵庫県東条市東条、55.1万坪の市街化または調整区域を51億円余で大和ハウス工業から。⑲滋賀県大津市祝園、48年度に20・2万坪の市街化調整区域を84億円で三井不動産、野村不動産、京阪電鉄から。合計316万坪を454億円で買収している。市原では千葉県当局から開発を拒否されている。栃木県の間々田では農振地域を買って線引きができなくて冬眠している。開発できない、着手の見込みのない土地に450億円ほどの金をむだに投じた事情はなにか。
[南部]昭和47、48の両年度に、新規に開発すべき宅地造成の予算的なノルマは5,100haであった。当時、市街化区域だけでは確保できないので、調整区域、さらには農振地域にも当たって用地の確保をすすめてきた。48年度の2,800haのノルマはとうてい及ばない。48年度は1億総不動産屋ということで公団も用地の確保がむずかしかった。もう少ししっかり詰めて用地を確保すれば宅地開発が早期に行われたと思うが、当時はそういう状況であった。しかし、これらの地域が絶対に開発できないというわけではなく、現在まだ開発できないという状態であり、専門の担当をおく措置を今月とることにしている。
[庄司]市街化区域と調整区域に線引きしたのは、市街地の無計画な乱開発を防ぎ、秩序ある国土をつくる趣旨からであり、農振地域は農業地域として発展させることを明確にしている。こういう土地を公団が買収をすすめていることは問題である。
[建設大臣竹下登]公団の尻をたたいて予算消化に努めざすようなことをして反省している。今日なお開発の見通しがつかないまま置かれているのは遺憾である。
[庄司]住宅公団は田中前総理の列島改造論の波に乗って押せ押せで買いまくった。千葉県市原市の潤井戸沢地区は、児玉誉士夫と関係のある塚本総業から30.6万坪を坪当たり11,660円、35.6億円で員ったが、そのまえに何回も土地転がしをやった形跡がある。A地区は塚本総業から大林組、菱和不動産、また塚本に返って公団へ、B地区は塚本から大成建設、三菱地所をへて塚本、公団へ、C地区も塚本、平和生命、大成建設、三菱地所、
塚本、公団、D地区は塚本から萩原吉太郎が取締役の東洋不動産、菱和不動産、また塚本にもどって公団へと、塚本が手放した土地を転がしたあとで最後は塚本がまとめて公団に買わせた。光明池団地事件を思い出させる回り方をしている。
 公団は時価主義で土地の売買をするといい、適正価格というが、土地転がしによって形成されたものである。坪当たり1,000円かそこらで買った土地が11,000円に化ける。しかも本当なら開発できない土地を買う。公団は土地の経歴、価格の推移、転がしの実態を調べて買ったのか。
[南部]登記面で判明しているが、おのおのの売買価格は調べようがなかった。3者の不動産鑑定士から鑑定をとり、その価格の14%引きで交渉し取得している。
[庄司]追跡調査をすれば当然わかる。登記簿によると、たとえば市原市潤井戸沢字上鈴野の山林4,350Idは、昭和36年に塚本総業が買って40年に大林に移り、43年10月に菱和不動産へ、45年8月に塚本が買いもどし、同年10月に公団に売った。最初の地権者がいくらで売ったか調べればわかるはずである。しかも千葉県は全国に先駆けて宅地造成指導要綱をつくり開発を抑制していた、いわくつきの土地をわざわざ買う必要があったの
か。光明池団地の問題でもあなたに質問したが、どうも何かの政治的圧力があったのではないか。児玉誉士夫のかかわりあいのある塚本総業だという点が非常に気になる。公団あるいは国が土地を求めるとき、土地転がしの実態をよく調べ、できるだけ国費を節約すべきである。公団の場合は家賃に振りかかり地価にも振りかかるから、そうするのが当然ではないか。

 1970年代前半までの住宅公団による土地取得をめぐっては、その闇と乱脈ぶりをしめす事例を、はかにも数多く国会議事録にみいだすことができる。ここでは「光明池団地」事件と、73年度の会計検査院報告にあらわれた広大な長期未利用地買い込みを採録するにとどめる。悪徳業者の暗躍、政商との取引き、政治家たちの利権介入をも許し、結局は大資本、ディベロッパーを大儲けさせるた釧こ国費のむだ遣いも敢えてし、公団住宅家賃つり上げの原因をつくったばかりでなく、地価高騰を先導して国民に多大の損害をあたえた罪は大きい。
 もっと正確にいうならば、政府は公団の尻をたたいただけで国庫から身銭は切っていない。乱脈な土地買収にあわせ1970年代、公団の借入金は急激に膨張しつづけた。72年度までの年間3,000億円台から73~74年度6,000億円台、75年度以降は1兆円前後を推移した。まえにも述べた1955~74年度の借入金総額3・6兆円が、80年度までの6年間に9.4兆円に跳ね上がった。その9割近くは政府資金である。公団は莫大な財政投融資資金運用の役割を担わされ、借入金依存体質を強めて財務構造は歪められていった。そして償還と利払いに追われ、そのしわ寄せが家賃値上げ圧力をますます高めたことは言うまでもない。
 この轍は土地バブル崩壊後の90年代にも踏む。銀行・大企業の救済と地価下落の下支えのため、公団に巨額の借入金を背負わせて不良債権土地を買い込ませ、負債をさらに増大させ、そのことを理由に公団住宅の廃止・民営化と、家賃くりかえし値上げを進めていくことになる。


『検証 公団居住60年』 東信堂

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