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シニア熱血宣言 №111 [雑木林の四季]

   余 命

                              映像作家  石神 淳

 齢・83になる。折りにつれ、言い知れぬ孤独感に苛まされるが、同年代の訃報に接すると、「俺も、そんな歳か」と、暗澹たる気持ちにさせられる。
 「余命」の実感は、突然、孤独と怖心とともに、心に迫ってくる。日常的には、それほど感じなくても、或る日ある時、突然に心の中で噴出するのだから、始末にわるい。
 「ああ、今日も、また夜が明けてしもうた---」
 立ち歩きもままならぬ、トボトボ歩きのジジイなんて、サマにもならねぇと、自虐的に呟く、朝寝坊の毎日だ。
 「耳も眼も、不自由せんから・・・。ま・いいか---」
 朝6時にはいったん目覚めるが、二度寝してしまう。
 怠惰な習慣に慣れ、ボーッと草臥れたソファーに身を投げ、日がないちにち面白くも可笑しくもないテレビを漫然と眺めて暮らすようになってしまった。
 そのテレビって奴が、腹が立つほど面白くねぇ。どうなっちょるのかねぇ制作者どもの
頭脳は?。まるきし裳抜けの殻にしか思えない。
 お笑い芸人どもに、やりたい放題させやがってさ。観ているこっちの方が恥ずかしくなる。「芸が無い」のは、まっこと、安直無比なお笑いタレントだ。
 嫌なら、テレビを消せばいいんだが、観ているこっちも馬鹿になる。

111庭の紅梅アップ.JPG
      早咲きの梅の花

 でも春の足音が少し感じられたら、猫の額ほどの小さな庭にも、暖かなお天道さまが射し込んで来て、咲き競うように、日溜まりを占拠し心を和ませる。
 テレビはせめて4Kが欲しいんだが、年金生活じゃとても買えないからね。ワイドショーまがいのテレビを、漫然と眺めて我慢している。制作する側から言わすと、83歳のジジイなぞ、とっくに対象外なのだろうが・・・・。
 「それなら、誰に向けて放送してるんだ」
 番組批判を呟きながら、独り言で罵る。こうなると、批評じゃなくて、悪評の連打なんだが、作り手の強い意図が感じられないから、余計苛々する。
 俺たちが若かった頃は、もっとマジで制作に没頭したもんだ。が視聴者の批判も結構きびしかった・・・。
 自分の取材を誰も庇ってくれなかったから、局内に居ても、勝手に入ってきた視聴者に追い回された。
 いやぁ恐ろしかったねぇ、楽しくもスリリングたった。
 画面が大型し、かえって、番組の質が低下したね。
 最近のニュース報道番組は、HKを別にして、5チャンがダントツ。7チャンがそれを追うが、経済関連では7チャンに及ばない。さすが日経だ、頭がさがる。。
 我が現役時代は、「1チャンに負けるな」が合い言葉で、競争相手は新聞ぐらいだった。
 「振り向けば、12チャン(現7チャン)」と、揶揄された時代もあったが、(ウサギトカメの例え話)は、遠い昔の追憶で、ナマ放送は、ほんとうに恐ろしいナマものだ。
 エンドロールのディレクターやプロデューサーの名前に、昔の助手達の名前を見つけ、感傷に浸るひとときも・・・。
 「立派になったんだ、あいつもこいつも」目頭があつい。
 我が人生に思い残すことが無いと言えば無い。
 いまさら、我が「余命」を勝手に処分できぬから、お迎えの順番を、おとなしく待つしかないな

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