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私の中の一期一会 №180 [雑木林の四季]

          “今年の漢字”は「災」と決まった。ホントに多かった自然災害
            ~災害は天災ばかりではない、人災だって災害である~

                          アナウンサー&キャスター  藤田和弘

  今年一年の世相を漢字一文字で表す“今年の漢字”が12日、京都の清水寺で発表された。
 テレビニュースを見ていたら、清水寺の奥の院に参拝に訪れた人々の前で、森清範貫主が、縦1.5メートル、横1.3メートルの和紙に特大の筆で「災」と揮毫する映像が流れた。
 京都市に本部がある日本漢字能力検定協会が、その年の世相を表す漢字一文字を一般から募集して、最も多かった一文字が“今年の漢字”として発表される。
 2018年の今年は天皇陛下の退位を来年春に控え、平成最後となる1年だから「終」を予測した人も多かったようだが、1位になったのは「災」であった。
 応募総数19万3214票のうち、「災」は2万858票を獲得しての1位である。
 2位は「平」で1万6117票、3位は「終」で1万1013票だったという。
「災」が1位に選ばれた理由について、日本漢字能力検定協会は“今年は大阪北部や北海道胆振の地震、西日本豪雨、災害級の猛暑、大型台風21号、24号の直撃などで大規模な自然災害が多かった”ことを挙げている。
 振り返ってみると、2月に福井で記録的な大雪が降り、気象災害の恐ろしさを再認識させられる事態となった。
 2月6日福井県坂井市からあわら市に通じる国道8号線で、凡そ10キロの区間に1500台もの車が立ち往生して動けなくなった。福井県から災害派遣の要請を受けた自衛隊が出動して救援にあたったほどである。
 乗っている車が雪山に乗り上げ、身動きできなくなった男性が、車内で一酸化炭素中毒のため死亡する悲劇まで起きた。解ければ只の水だが、積もり積もった大雪は現代人にとっては「災」(わざわい)にもなるのである。
 6月18日午前7時58分、大阪市北部を震源とする大きな地震が発生した。
 折りから、登校途中だった高槻市の小学校4年の女児(9)が倒れてきたブロック塀の下敷きになって死亡した。
 痛ましい話だが、その時“たまたまそこにいた”ことが、女の子にとっては不運であり、「災」になったのだ。思い出すと“可哀想でヤリキレナイ”気持ちが蘇ってくるがどうしようもない。
 あの地震は、最大震度6弱だったが、ラッシュ時でもあったため交通機関が軒並み混乱して人々は大きな影響を受けた。“災難”だったと言い換えてもいいかも知れない。
 家屋の半壊被害も多かったようで、被災者も多く出ている。半年たった今でも、まだ復興したとは言えないのではないだろうか。毎度のことだが、この時も都市部の脆弱さが浮き彫りになった。
 台風7号は、強い勢力を保ったまま日本列島に接近、6月28日から7月8日にかけて西日本各地に集中豪雨を降らせた。
 多くの地域で河川の氾濫や浸水、土砂災害をが発生、死者200人を越える甚大な災害をもたらした。
 この台風は梅雨前線の影響も加わって、西日本ばかりでなく中部地方や北海道など全国的に被害が広がったため、気象庁は西日本豪雨を特別に「平成30年7月豪雨」と命名したほどであった。
 水は生き物にとって、なくてはならないものだが、怒り狂ったとしか思えない濁流などを目にすると、人間は“水の破壊力”を侮ってはならないとつくづく思うのである。 
 北海道で初めて震度7を観測したのは9月6日の真夜中に発生した北海道胆振東部地震であった。
 この地震で厚真町で大規模な土砂崩れがあり、36人が土砂に巻き込まれて亡くなっている。
 道内のほぼ全域で297万戸が停電したため、日常生活がマヒ状態になった。交通は全面ストップするし、  病院や商業施設も休業状態になった。プロ野球の試合も中止になるなど大混乱だった。 
 札幌に住む知人によると、一番困ったのは停電だったという。冷蔵庫、トイレ,風呂などが使えない。
 洗濯も出来ない。テレビも見られない。スマホの充電ができない。“ナイナイずくしだよ”と笑っていたが・・・
 文部科学省は14日、医学部をもつ全国81大学のうち“女子や浪人生が不利になる合否判定基準”を設けたり、“特定な受験生に加点”したりした“不適切な事案”の多い大学が10校あったと公表した。
 それによると、呆れるほど多くの大学が不正を冒していたことに驚くばかりだ。
 合格ラインに達していながら不合格になった女子受験生や浪人生などが蒙った「災」は、“人災”と呼ぶしかないように思う。
 財務省の決裁文書改ざんは犯罪だが、国家にとっては「災」であり、これもまた悪質な「人災」である。
  「今年の漢字」を12月12日の“漢字の日”に清水寺で発表するようになったのは1995年からである。
  第1回の95年は「震」という一文字が選ばれた。あの年は“阪神・淡路の大震災”や“地下鉄サリン事件”があり日本社会が大きな不安に包まれた年だった。
  化学兵器による無差別テロの脅威が世界を震撼させたことから「震」に決まったという。金融機関の倒産も相次いで、社会不安に「ふるえる」という意味も込められていた。
  政府は14日、名護市辺野古の埋め立て予定地の海に土砂の投入を強行した。
 沖縄県の玉城知事は「国は一刻も早く工事を進めて既成事実を積み重ね、県民を諦めさせようと躍起になっている。このような行為は、逆に沖縄県民の反発を招き県民の怒りはますます燃え上がるだろう」と述べ、強く反発した。
 菅官房長官は眉一つ動かさずに「工事は進める」と宣言した。沖縄の民意は無視されたと言っていい。
 沖縄県民にとって、辺野古の海への土砂投入は「災」である。そしてこれもまた“人災だ”としか言いようがない。
“戌年には異常気象が多い”という記事をネットで見つけて読んでみた。
 1934年9月に室戸台風が高知県室戸岬に上陸して京阪神地方が直撃を食らった。高潮や強風による建物倒壊などで、約3000名の死者を出した。
 私はその頃、生後1か月の赤ん坊だったのだ。我が家に鉄橋の上で傾いた貨車や客車の写真が何枚もあったことを覚えている。
 “室戸台風”という名前も記憶に残っている。子供の頃に親から何度も聞かされていたに違いない。
 昭和9年(戌年)の“室戸台風”、昭和20年の“枕崎台風”、昭和34年の“伊勢湾台風”が、昭和の三大台風と呼ばれているのは初めて知った。
 前回の戌年は2006だが、この年も日本海側で記録的な大雪が降り、新潟県十日町市に自衛隊が派遣されて雪崩防止作業に当たったという記録があった。
 自宅の屋根で雪下ろし作業中に転落するなどして100人以上が亡くなっている。「平成18年豪雪」と名 前のつく豪雪だったのだ。
 昭和57年には長崎県で、やはり記録的な豪雨がり長崎市で死者・行方不明者299名という惨事があった。そのうちの9割が土石流や崖崩れによるものだったという。これも「昭和57年7月豪雨」と命名されている。
 記録に残る大きな異常気象や自然災害が、何故戌年に多いのかは誰も分からないだろう。
 “天災”はコントロール出来ないが、“人災”を防ぐことは不可能ではないかも知れない。
 平成という時代は災害、災難、災厄などを含めて「災}と向き合う30年だったのではないか・・
 私はそんな気がしている。
 

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