私の中の一期一会 №175 [雑木林の四季]
大相撲界で孤立無援、貴乃花親方の引退が臨時理事会で決定する!
~平成の大横綱も、親方として器用に立ち回れなかったようである~
~平成の大横綱も、親方として器用に立ち回れなかったようである~
アナウンサー&キャスター 藤田和弘
秋場所千秋楽から2日しか経っていない25日突然、平成の大横綱と言われた貴乃花親方が日本相撲協会に引退届を提出したというニュースがテレビから流れた。
その日の夕方、貴乃花親方は記者会見を開き、年寄引退の理由を記者団に説明した。
それによると貴乃花親方は、元横綱の日馬富士が貴ノ岩関に暴行を加えた事件で、「日本相撲協会が自分に対してとった対応を問題視」していることが分かった。
春場所前の3月9日に、“真実を隠さず追及したい”という気持ちで、貴乃花親方から内閣府に提出された「日馬富士の暴行事件に関する告発状」は、別の弟子の貴公俊が付け人に暴行した事件が明るみに出たため取り下げを余儀なくされた。しかし提出した告発状の内容は、何ら真実に反するものではない。
その後は、理事だった役職も2階級下の「年寄」へと降格させられている。
貴乃花一門からも離脱、無所属の一兵卒として再スタートするつもりでいた。
ところが、猛暑に喘いでいた8月7日、埼玉県所沢市で行われた夏巡業の会場で、春日野巡業部長(元栃乃和歌)から「告発状の内容は全て事実無根である」という内容の八角理事長名義の書面を手渡された。
書面は、「告訴状は、事実無根な理由でなされた」と結論づけられ、それを認めないなら「親方を廃業せざるを得ない」というものだった。
さらに、理事会での決定事項として
1)全ての親方は5つある一門のいずれかに所属しなければならないこと。
2)一門に所属しない親方は部屋を持つことが出来ないという決定がなされたこと。
3)いずれかの一門に入る条件は、告発状は事実無根であると私が認めることなどが書かれ
ていた。
事実を曲げて「告発状は事実無根です」と認めることは、私には出来ない。
私が一門に所属できないままでは、貴乃花部屋の力士は相撲を続けることが難しくなり、鍛錬・精進することが出来なくなる。
有形無形の圧力を受けて断腸の思いだが、力士や床山たちは千賀の浦部屋に所属変更させていただき、私は「引退」するのが最善の道なのである・・・
日馬富士による暴行事件をキッカケに勃発した日本相撲協会と貴乃花親方の対立は 「理事解任」や「2階級の降格」では収束せず、依然として今もくすぶり続けているのだ。
貴乃花親方の会見終了から2時間後の午後8時半、今度は日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)が取材に応じ、協会側の見解を示した。
それは、貴乃花親方の主張を真っ向から否定するものだったと日刊スポーツは書いている。
事実無根の告発状を認めないと親方を廃業しなければならないという圧力を掛けた覚えはない。
一門に所属しない親方は廃業しなければならない決定がなされたという事実も「一切ありません」と語気を強めたという。
「引退届」についても、協会に必要なのは「退職届」であり、引退という意味あいだと言われても困る。あくまで退職届が必要になると強調した。
文書や書類の内容にも不備があったので、届けについては「受理ではなく保留とする」と代理人に伝えた。。
千賀の浦親方(元隆三杉)を協会に呼んで事情を聴くと、貴乃花親方から転属の希望を聞いたのが今日の昼過ぎだという話だった。千賀ノ浦親方にしても寝耳に水の話しで、慌てて受諾の返事を電話でしたということだった。
私は、貴乃花親方が引退するという決断を「今朝決めた」と記者団に語っていることを知ったとき、「何だかヘンだな」という感覚があった。貴乃花親方は、人の言うことを全く聞かないそうだが、今朝決めた引退という重大な決断を相撲協会より先にメディアに伝えたのは、手順が違う気がしたからである。
ほかにも違和感を覚えた取材者が多かったのではないだろうか。
理事会の決定事項は、阿武松親方(元益荒雄)を通じて何度も伝えている筈だと、関係者もややお手上げの様子だったというのも頷ける。
どんなに対立していても、「引退届」は自分で相撲協会に持参するのがスジではないのか。代理人に持たせるなんて、オトナのすることだろうか?
結局、芝田山広報部長は「実際に書類は整っておらず受理していない」と説明して締めくくった。
とにかく貴乃花親方は、対立関係にある相撲協会に対して頑なな態度を崩さないのだ。自ら孤立状態を選んでいるように見える。
貴乃花親方には、何をするか分からない怖さが常にあり、周りが止めても聞く耳を待たないという人は多い。
かつては一門の枠を超えて支持していた親方衆たちも、最近は距離をおくようになったというのも当然と言える。
日本相撲協会から再提出を求められていた弟子たちの所属変更届は、29日再提出されたことが分かった。
相撲協会は10月1日,臨時理事会を開き、貴乃花部屋の力士ら10人の移籍について審議することになった。
力士らの移籍が確定したら貴乃花部屋は消滅することになる。そして所属先を失った貴乃花親方は正式に「退職」が決まるのだ。
こうした争いは、一方だけが悪い訳ではない、どっちもどっちなのだ。
だが、相撲協会と交わることのない状態が続く限り、貴乃花親方がこれまでのように活動することが難しくなっていることは確かだ。
ネットに「八角理事長も貴乃花問題の責任をとって辞任するのではないか」という記事を見つけて気になっている。真偽のほどは分からないが、相撲界に激震が走るかも知れない。
レスリングのパワハラ問題、日大アメフト部の悪質タックル問題、日本ボクシング連盟の助成金不正使用問題、体操界の暴力とパワハラ疑惑・・など今年はスポーツ界で不祥事が相次いで明るみに出た。
これらの事例から分かることは、スポーツ競技団体のガバナンス(組織統治)に自助能力を期待しても無駄だということだ。
一連の不祥事に共通するのは、一人の人物が強大な権力を持った結果、「一強体制」になった団体がオウンゴールのように内部から壊れていくという流れだ。
権力者のほとんどは権威主義を振りかざし、自分に従わない者は敵とみなして排除していく。
「安倍一強」さながらの有様に愕然とする思いだが、組織の閉鎖体質を一掃して、民主的な運営をしていかない限り体質改善は難しい。
競技の枠を超えた多様な人材を登用しろとか、排他的ではない組織運営をしろなど、言うことは分かるが実行するのは容易ではない。
相撲協会執行部は、四面楚歌だった貴乃花親方がいなくなればせいせいするかも知れない。
だが、現状の閉鎖的な体質をこのまま続けていくと、八角体制だっていつまで続くか分からないのだ。
21世紀になって、多くのスポーツ団体が曲がり角を迎えていることは確かなのではないか。
「人は年齢と時代には勝てない」・・ノムさんこと野村克也氏の言葉である。
その日の夕方、貴乃花親方は記者会見を開き、年寄引退の理由を記者団に説明した。
それによると貴乃花親方は、元横綱の日馬富士が貴ノ岩関に暴行を加えた事件で、「日本相撲協会が自分に対してとった対応を問題視」していることが分かった。
春場所前の3月9日に、“真実を隠さず追及したい”という気持ちで、貴乃花親方から内閣府に提出された「日馬富士の暴行事件に関する告発状」は、別の弟子の貴公俊が付け人に暴行した事件が明るみに出たため取り下げを余儀なくされた。しかし提出した告発状の内容は、何ら真実に反するものではない。
その後は、理事だった役職も2階級下の「年寄」へと降格させられている。
貴乃花一門からも離脱、無所属の一兵卒として再スタートするつもりでいた。
ところが、猛暑に喘いでいた8月7日、埼玉県所沢市で行われた夏巡業の会場で、春日野巡業部長(元栃乃和歌)から「告発状の内容は全て事実無根である」という内容の八角理事長名義の書面を手渡された。
書面は、「告訴状は、事実無根な理由でなされた」と結論づけられ、それを認めないなら「親方を廃業せざるを得ない」というものだった。
さらに、理事会での決定事項として
1)全ての親方は5つある一門のいずれかに所属しなければならないこと。
2)一門に所属しない親方は部屋を持つことが出来ないという決定がなされたこと。
3)いずれかの一門に入る条件は、告発状は事実無根であると私が認めることなどが書かれ
ていた。
事実を曲げて「告発状は事実無根です」と認めることは、私には出来ない。
私が一門に所属できないままでは、貴乃花部屋の力士は相撲を続けることが難しくなり、鍛錬・精進することが出来なくなる。
有形無形の圧力を受けて断腸の思いだが、力士や床山たちは千賀の浦部屋に所属変更させていただき、私は「引退」するのが最善の道なのである・・・
日馬富士による暴行事件をキッカケに勃発した日本相撲協会と貴乃花親方の対立は 「理事解任」や「2階級の降格」では収束せず、依然として今もくすぶり続けているのだ。
貴乃花親方の会見終了から2時間後の午後8時半、今度は日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)が取材に応じ、協会側の見解を示した。
それは、貴乃花親方の主張を真っ向から否定するものだったと日刊スポーツは書いている。
事実無根の告発状を認めないと親方を廃業しなければならないという圧力を掛けた覚えはない。
一門に所属しない親方は廃業しなければならない決定がなされたという事実も「一切ありません」と語気を強めたという。
「引退届」についても、協会に必要なのは「退職届」であり、引退という意味あいだと言われても困る。あくまで退職届が必要になると強調した。
文書や書類の内容にも不備があったので、届けについては「受理ではなく保留とする」と代理人に伝えた。。
千賀の浦親方(元隆三杉)を協会に呼んで事情を聴くと、貴乃花親方から転属の希望を聞いたのが今日の昼過ぎだという話だった。千賀ノ浦親方にしても寝耳に水の話しで、慌てて受諾の返事を電話でしたということだった。
私は、貴乃花親方が引退するという決断を「今朝決めた」と記者団に語っていることを知ったとき、「何だかヘンだな」という感覚があった。貴乃花親方は、人の言うことを全く聞かないそうだが、今朝決めた引退という重大な決断を相撲協会より先にメディアに伝えたのは、手順が違う気がしたからである。
ほかにも違和感を覚えた取材者が多かったのではないだろうか。
理事会の決定事項は、阿武松親方(元益荒雄)を通じて何度も伝えている筈だと、関係者もややお手上げの様子だったというのも頷ける。
どんなに対立していても、「引退届」は自分で相撲協会に持参するのがスジではないのか。代理人に持たせるなんて、オトナのすることだろうか?
結局、芝田山広報部長は「実際に書類は整っておらず受理していない」と説明して締めくくった。
とにかく貴乃花親方は、対立関係にある相撲協会に対して頑なな態度を崩さないのだ。自ら孤立状態を選んでいるように見える。
貴乃花親方には、何をするか分からない怖さが常にあり、周りが止めても聞く耳を待たないという人は多い。
かつては一門の枠を超えて支持していた親方衆たちも、最近は距離をおくようになったというのも当然と言える。
日本相撲協会から再提出を求められていた弟子たちの所属変更届は、29日再提出されたことが分かった。
相撲協会は10月1日,臨時理事会を開き、貴乃花部屋の力士ら10人の移籍について審議することになった。
力士らの移籍が確定したら貴乃花部屋は消滅することになる。そして所属先を失った貴乃花親方は正式に「退職」が決まるのだ。
こうした争いは、一方だけが悪い訳ではない、どっちもどっちなのだ。
だが、相撲協会と交わることのない状態が続く限り、貴乃花親方がこれまでのように活動することが難しくなっていることは確かだ。
ネットに「八角理事長も貴乃花問題の責任をとって辞任するのではないか」という記事を見つけて気になっている。真偽のほどは分からないが、相撲界に激震が走るかも知れない。
レスリングのパワハラ問題、日大アメフト部の悪質タックル問題、日本ボクシング連盟の助成金不正使用問題、体操界の暴力とパワハラ疑惑・・など今年はスポーツ界で不祥事が相次いで明るみに出た。
これらの事例から分かることは、スポーツ競技団体のガバナンス(組織統治)に自助能力を期待しても無駄だということだ。
一連の不祥事に共通するのは、一人の人物が強大な権力を持った結果、「一強体制」になった団体がオウンゴールのように内部から壊れていくという流れだ。
権力者のほとんどは権威主義を振りかざし、自分に従わない者は敵とみなして排除していく。
「安倍一強」さながらの有様に愕然とする思いだが、組織の閉鎖体質を一掃して、民主的な運営をしていかない限り体質改善は難しい。
競技の枠を超えた多様な人材を登用しろとか、排他的ではない組織運営をしろなど、言うことは分かるが実行するのは容易ではない。
相撲協会執行部は、四面楚歌だった貴乃花親方がいなくなればせいせいするかも知れない。
だが、現状の閉鎖的な体質をこのまま続けていくと、八角体制だっていつまで続くか分からないのだ。
21世紀になって、多くのスポーツ団体が曲がり角を迎えていることは確かなのではないか。
「人は年齢と時代には勝てない」・・ノムさんこと野村克也氏の言葉である。
2018-09-28 15:59
nice!(1)
コメント(1)
藤田さん、こんばんは。貴乃花親方の引退はびっくりしました。まあ、意固地になっているので仕方ないかなと思います。以前、
貴乃花親方が改革って言っていましたが、一人では出来ませんからね。出る杭は打たれるの諺通りになってしまいました。残念な気がします。
by 笠井康宏 (2018-10-03 20:51)