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往きは良い良い、帰りは……物語 №37 [文芸美術の森]

往きは良い良い、帰りは……物語
その37 「凌霄(のうぜん)の花」 「アスパラガス」 「メロン」 「夏霧」

                   コピーライター  多比羅 孝(俳句・こふみ会同人)

≪平成28年7月1日≫
封書で送られて来た案内状。開ければパッと咲いた花のカラー・イラスト。綺麗! 心が弾みます。文面は、と、見れば……
「日時=7月10日(月)13時から」。ええっ?! 10日は日曜日なのに……。もしかしたら、11日(月)の誤りか??
すると、翌日、FAXが駆け込んで来ました。
「申し訳ございません、間違えました。『7月10日(日)』が正解です。」
これで、ほっとしました。
案内状の文面に、ハナシを戻せば、下記のとおりです。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
場所=神楽坂「香音里(こおり)」
兼題1=凌霄の花(のうぜんのはな)、凌霄
兼題2=アスパラガス
当日、席題二つご用意する予定です。
お酒やオツマミの持ち込みなど大歓迎でございます。
幹事=風歌(090-△△△△-△△△△)
   タケシ(090-△△△△-△△△△)
ご出欠のお返事は、042(△△△)-△△△△(タケシ)まで、お早めにお願いいたします。
 ※会費納入月です。△△△△円、お忘れなく、よろしくお願いいたします。
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これに応えて、各位からの返信レターは次ぎのとおりでした。

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                       返信レター 鬼禿氏より(出席)

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                      返信レター 啓白氏より(出席)

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                       返信レター 更歩氏より(出席)

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                       返信レター 孝多より(出席)

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                  返信レター 麝香さんより(残念、欠席)

※矢多氏と五七氏は返事のコメントを、きっとメールで送ったのでしょう。
当日、出席!です。

≪さて、当日、7月10日・日曜日≫
ご馳走のメインは、近づく7月30日「土用の丑の日」にちなんでの計らいでしょう、創業明治10年(1877)の「すず金」の鰻です。
箸袋の裏に印刷されていました。『我輩もかつて食した ここの蒲焼』。牛込生まれの夏目漱石(1867~1916)のことですね。
味は「志満金」とは少し違って、私には、なお嬉しい田舎の味。柔らかくて、いい匂いがして、コクがあります。ご覧ください。写真。はみ出しているところなんかも、いいでしょ。グルメ奉行さんたち、有難うございました。

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                                                                             デザートはメロン。席題でもあります。孝多はこれをゴンドラに見立てたのでしたが……。

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                                                                             そうです。和気あいあいと、食べながら、飲みながら(そして句を作りながら)皆さん、それぞれに思い付きを語るのが、こふみ会の常ですが……
今回は「何故、孝多さんのブログには全員の句を載せないのでしょう?」というハナシも出ました。
いや、いや。知の木々舎の事務局を煩わして≪ご希望の方にはメールで当日の全句をお届けします≫として、毎回、巻末で、呼びかけているんですけど……
では、何故、オープンのブログ上ではなく、ワンクッション置いたメールで、なのでしょうか?
それは、ね、はじめ、話があったんですよ。
永谷園の「お~いお茶」に皆さん、応募投句をなさっていますが、その時は、「未発表」の句に限る、という規定に、ひっかからないようにしないと駄目。
ブログにUPされたらアウトですね。ですから、そこを配慮して「非公開」の「メール」を使っているというわけです。
ベテランの方は「お~いお茶」用に、オリジナルなものを、いくつでも作っちゃう、のでしょうけれど、そうではない若い人たちも沢山おいでの様子。
そういう人たちにとっては「こふみ会で作った句が、すぐ、そのまま、応募作品として使えるようだったら、こんな有難いことはない。句会に出席する張り合いも増す」というものではないでしょうか。人、それぞれでしょうけれど……。
でも、このこと、大切ですよね。
有志の方々と相談してみる価値がありますよね。
現在、トータルの天・地・人・花に選ばれた人の「高得点句」または「代表句」は、事後ですが、毎回、ご当人の承諾を得て、ブログに載せてはおりますけれど、そうした一部ではなく、全部を!ということにも、大きな意義があると思われます。
今回は従来どおりの扱いで、「メールにて」といたしますが、また、改めて、検討しましょう。みんなして。

≪はて、さて。どうしてノウゼンと読むの??≫
これまた今回、大きく盛り上がった話題のひとつ。
みんなが首をかしげておりました。私も勿論! 分からない……。
兼題の「凌霄の花」。
「凌」は「凌辱する」「凌駕する」の「リョウ」ですよね。「しのぐ」「こえる」。
「霄」は漢和辞典などによると「ショウ」であり、「そら(空)」「よる(夜」「よい(宵)」「みぞれ」[遠い天や雲」のことですね。
見出しにも出ている熟語の「凌霄(リョウショウ)」は『雲よりも高く登る』『俗世間を超越する』(志の高いたとえ)。
それが、どうして、「ノウ」と「ゼン」になってしまうのか??
この不思議が解せません。
広辞苑にも大辞林にも、大きな歳時記にも漢和辞典にも、この読み方の由来などには全く触れずに、しゃあしゃあとして、あの花の色や形や、伸びて行く(成長して行く)ときに見られる習性などばかりが記述されているのですから、あきれかえります。その説明の仕方が『凌霄(リョウショウ)の志』というものなのでしょうか。違いますよね。

≪アスナロ≫
アスナロは「翌桧」と書きますが、それは、この木が、今は少々ヘンな匂いがする上に、普通の桧と比べると、材としての質が劣る、ということから、木自身が『あした(翌日)は正真正銘・本物の桧になろう!絶対に、なるんだ!!』と意気込み、努力しているのだという意味を持つ名前、と、されています。
情があって、いい名前ですね。ご存じの方も多いと思います。

≪ネムノキ≫
ネムノキは「合歓の木」と書きます。漢語と和語の、良い合体ネーミング!我らが先人が、漢語で「合歓(コウカ)」というこの木を、夜になると葉を閉じるという習性から、日本流に「眠(ねむ)る」とし、両者を重ね合わせたという次第。面白いですね。いい知恵です。

≪アジサイ≫
アジサイという言葉は「集真藍(あずさあい)」から来たものであり、それは『美しい藍色の花が球のように集まっている』という意味なのだそうです。
現在、一般的に「紫陽花」「八仙花」などと書かれますけれど、これは語源的に見れば脱線表記である、と、親切な、詳しい本には出ています。◆以上三項目の出典=花歳時記大百科(北隆館)◆

しかし残念!この『花歳時記大百科』に於いてすらも≪ノウゼン・凌霄≫の読み方についての説明は行方不明です。ああ、早く、巡り会いたいなあ。親の敵(かたき)に。

≪ノウゼンは分からないまま。本日の成績発表!!≫
下記の数字などはいつものように、会報係から送ってもらった資料によるものです。

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                      おかげさまです、と、天の孝多
           
◆トータルの天は~ 37点の 孝多さ~ん パチパチパチッ!
  高得点句『ベンチに一人 ベンチに二人 夏の霧』
◆トータルの地は~ 24点の 風歌さ~ん パチパチパチッ!
 高得点句『夏霧や ト音記号の ほどけゆく』
◆トータルの人は~ 20点の タケシさ~ん パチパチパチッ!
 高得点句『落選を 知らない マスクメロンかな』
◆トータルの花は~ 3輪の 五七さ~ん パチパチパチッ!
 代表句『アスパラを 胸ポケットに 朝のシェフ』
◆トータルの次点は~ 共にに19点の 更歩さんと鬼禿さん パチパチパチッ!
 代表句『アスパラや 最初冷たき 人の肌』 更歩
 代表句『球体の メロンの迷路に まよい込み』 鬼禿

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                                                                               皆さん、おめでとうございました。パチパチパチッ!
全員、夏負けもされず、溌剌(はつらつ)と楽しんだ句会。
良かった、良かった。でも暑さはこれから。ますますのご健勝を祈ります。では、また。(孝多)

◆◆知の木々舎からのお知らせ◆◆
第559回こふみ会、平成28年7月10日(於 神楽坂 香音里)にて作成された全32句をメールにてお届けします。ご希望の方は下記までご連絡ください。
    chinokigi@kg7.so-net.ne.jp
 


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タケシ

先生、今回も大変勉強させていただきました!!

凌霄を、なぜ、ノウゼンと読むか??

漢名「凌霄」の朝鮮読みが「ヌンソ」なんだそうです。

このヌンソが元になり、日本では「のせう」→「のうせう」→

「のうせうかずら」→「のうぜんかずら」と変化していったようです。

日本に入ってきたのは9世紀、平安の時代だそうです。

中国から直に入ってくるのではなく、朝鮮を経由してくるのだなあ

と改めて勉強になりました。

ちなみに、金沢には、秀吉の時代に朝鮮から入ってきた、

ノウゼンの古木が今でも花を咲かせているということです。

樹齢400年だそうです。
by タケシ (2016-08-01 07:54) 

タケシ

あ、先生!!

お~いお茶の「新俳句」は、

永谷園ではなく、伊藤園です(笑)。
by タケシ (2016-08-01 08:33) 

chinokigi

水野タケシ様
有難うございました。そうでしたか。「のうぜん」のモトは韓国語でしたか。
これでほっとしました。早々に、よく調べてくださって感謝感激です。ka:msahamnidaカームサハムニダ! このブログをご覧の方々の中にも、私と同様に、救われた方が少なくないのではないでしょうか。
それにしても、貴兄からのFAXによれば≪ああいう「ふわっ」とした調べものにはインターネットは本当に重宝します。≫とのこと。
羨ましいなあ。私も、そんな検索が早く出来るようになりたいなあ。いわゆる「FAXどまり」ではなく。でも、駄目かな?
これからも、よろしくお願い申しあげます。お元気に。ご活躍ください・
           平成28年8月2日       多比羅 孝

いや~、もうひとつありましたね。「永谷園」ではなくて「伊藤園」のこと。
ご指摘、有難うございました。ボケが進んでしまったようです。お恥ずかしい次第。(笑)にとどめてくださって、その点につきましても感謝!
これからも、どうぞ、よろしく。頓首。
by chinokigi (2016-08-02 17:05) 

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