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地球千鳥足 №92 [雑木林の四季]

Tシャツが人を結ぶ世界の街角 ~アルゼンチンその他~ 

                   グロ-バル教育者・小川地球村塾塾長  小川彩子

 アルゼンチンで:アコンカグア登山口の街、メンドーサで、天を突く並木通りをぶらついていた時のこと、登山姿の青年が追っかけて来て言った。「僕はあなたのTシャツの国から来ました!そのTシャツは旅行中殆ど目にしません。お話したいです!」。その時着ていたT シャツはアウシュビッツ訪問時、ポーランドで買ったPOLSKAだった。近くのレストランで名物メンドーサ・ワインで乾杯、ポーランドやアコンカグアの話が弾んだ。アコンカグア登山は我々夫婦が先輩、と言っても筆者は4300mで高山病にかかりヘリコプターで下山したのだが。楽しいひと時を過ごしその後も文通、日本で富士登山にも付き合った。

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                       ポーランドのTシャツPOLSKA

 フランスで:モンサンミッシェルの上り坂にあるホテルでエレベーターに乗った時、夫が来ていたオレンジ色のTシャツの文字を指して「私はその街から来ました!」と、メキシコの男性が。Tシャツの文字は「Guadalajara, Mexico」、11人の歌手がソンブレロを被り楽器を弾いている。メキシコのお酒マルガリータを楽しみつつ、夫はメキシコ駐在時警察官に強盗された話をし、彼は「囚人の6割は元警官です!」などと言い、盛り上がった。

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                       メキシコ・グアダラハラのTシャツ

 タイで:泰緬鉄道の起点の街カンチャナブリで3人の女性が、「あらまあ!コリーの顔じゃない!それとも貴女のお顔?」と、筆者のTシャツを指さし話しかけてきた。そのTシャツは30年前フィリピン、マラカニヤン宮殿前で買ったコリー・アキノ大統領の似顔絵が表に描いてあり、裏には「1986 WOMAN OF THE YEAR CORAZON C AQUINO PRESIDENT OF THE PHILIPPIES」と。コリーさんのお顔は筆者にそっくりで背中を見ない人は筆者の似顔絵と勘違いする。タイへ英語教師として招聘された30代半ばのフィリピン女性たちは母国の元大統領を知っていた。コリーはコラソンの愛称、現ベニグノ・アキノ大統領の母だ。Tシャツのご縁で泰緬鉄道の終点では同宿、3日間行動を共にした。

 オマーンで:オマーンでは市内観光バスで1紳士が「貴女のTシャツが好き」と。スペインで買ったもので、「DONDE ESTA MI CERVEZA (私のビールはどこ?) 」と書いてある。彼は「私もビールが好き」とスペイン語で。テキサスから来た紳士だった。仲良くなった5人が観光後ビールで「サルートゥ(乾杯!)」。

 世界のTシャツで世界の街角:人間の胸は自己表現に最適の場所のようだ。Tシャツの文字が英語、スペイン語なら思わず頷き、微笑む。東洋系でない人は漢字のTシャツを得意そうに着ている。「愛」、「友情」、「心機一転」、結構ですね。Tシャツ購入は単なる土産ではなく自己表現を楽しむ目的もありそうだ。筆者の訪問国は114ヶ国、ある時から記念のTシャツを求め始めたが、手元には現在60枚強。世界のTシャツで世界の街角に立ち新たな出会いが生まれた。箪笥の引き出し3段にぎっしり詰まっていたTシャツを世界地図のごとく並べたら、その国の旅と珍奇な出会いが蒔絵のごとく蘇り連なった。Tシャツたちも新鮮な出会いを生み出したのだ。では自分の座右の銘を印刷したTシャツを作ろうか。古い諺、“God helps those who help themselves”(天は自ら助くる者を助く)なら完璧だ。                     

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                        床に並べたTシャツ群の一部。


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