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往きは良い良い、帰りは……物語 №7 [文芸美術の森]

その7 『寒見舞い』『楪(ゆずりは)』『伊勢海老』そして年間各賞の発表と表彰

                                                      コピーライター  多比羅 孝

≪平成25年12月13日≫
FAXが届きました。案内状です。長いタイトルが付いています。『新年恒例こふみ会年間各賞発表付き、2014年1月こふみ句会のお知らせ』
当番幹事は風歌さんとタケシさん。過ぎし1年間の資料・記録を洗いなおして、その数値から、年間最多天獲得者や、最高得点獲得句や出席皆勤賞など、数々の賞を割り出す係がタケシさん。
そして、その賞にぴったりの賞品(記念品)を探して買い求めてくるのが風歌さんの役割り、と、これは毎年のこと。お二人さん、いつも、いつも、ご苦労さま。
果たして、グランプリは誰の手に?? そのご褒美はどんなもの?? それが、はっきりするのが初句会の席(1月8日)という案内状。
こうした表彰の式が行われるために、当日の席題は一句のみ、ということも記されています。

さて、兼題は『楪(ゆずりは)』と『寒見舞い』とのこと。『寒見舞い』は『暑中見舞い』があるから見当がつけやすいけど、『楪』となると、ちょっと 手強い。
鏡餅に、一緒に添えるものとして、ダイダイ、コンブ、ウラジロ、イセエビ、クシガキ(串柿)はよく分かるけど、『楪』となると、その漢字からして畏まってしまう。
調べてみると、≪古い葉が若い葉に、見事にゆずって落ちることから、世代交代して代々(橙)繁栄することを表す縁起もの≫とある。
それで分かった!! でも、この季題で、どう俳句にするか。説明で了ってしまわぬように。リクツっぽくならないように。そうかと言って、お遊びにならないように……。はて、どうしたものか。

それはまた後で、ゆっくり考えるとして、先ずは返信レターだ。「寒」で作ることにしよう。いつものように白川先生にお出まし願うのだけど、でも、今回はちょっと、しっくり来ないなあ。
「金文」にしても「篆(てん)文」にしても、あまり寒そうじゃないね。

14年1月こふみ会2.jpg

                                      返信レター

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                             矢多さんからの返信レター

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                              ひろばさんからの返信レター

さて当日≪平成26年1月8日≫
あいにくの雨。風歌さんと更歩さんの和服姿が見られません。実に残念。風歌さんは殆ど毎回粋な着こなしの和服で、チャーミングな笑顔と共に出席なさる。新年はまた、ひときわと思っていたのに、この雨だ。
更歩さんは必ず、毎年、初句会には、きちんとした和装。よく似合う。風格がそなわっている。そして、ホンモノを着ていなさる、さりげなく。それが今年は雨で流れた。無念なり。
そのため、孝多は考えて、更歩さんには小声で伝えました。≪年に1回くらいは、浴衣ではない和服の句会があってもいいですよねぇ。≫ 実のところ、孝多も着て出たくなったのでした。

残念と言えば、風歌さんが折角、声をかけておいてくれて、ご当人たちも乗り気だったと側聞していた二人の女性(ニューフェイス)が、欠席になったこと。(一人、Mさんは兼題を欠席投句。)
お二人は、もと孝多のコピーライター教室での生徒さん。次ぎの何らかの折には、お二人とも、実際に参加できるといいんだけど。風歌さんも、そう願ってた。

それはそれとして、本番では、兼題の『寒見舞い』と『楪』に加えて、席題が『伊勢海老』と発表されました。
しかし、何んだか、一同、みんな、俳句に集中できないでいる様子。
なぜ?? なぜ??
そうです。当番幹事のお二人が用意した床の間の前に積んである≪さまざまな年間賞の記念品(賞品)≫に、つい、目が行ってしまうのです。気になるのです。
オレは、何がもらえるのだろう?? いや、何か、オレも、本当にもらえるのだろうか。?? 落ち着かないのです。

14年1月こふみ会1.JPG

                                                年間賞でもらえる多彩な記念品

結局、孝多は、次ぎの3句を提出しました。
兼題の1で『熱つ燗や 自分で自分に 寒見舞い』
兼題の2で『福招く  楪撫でて 飾りけり』
席題で『跳ねる踊る 見よ伊勢海老の 威勢かな』

兼題は2句とも、電車の中で考えたのと違ったのを提出しました。自信が無かったのですね。揺れてしまいました。席題は、よく考えもしない語呂合わせです。 駄目でしたねぇ。辛うじて『熱つ燗』が「地」に選ばれ、あとは「客」が少しといった按配でした。その一方で……

『若人の 歯の眩しさや 寒見舞』
『楪や ニュータウンただ 古びゆく』
『誰もいない 大伊勢海老を 頭に載せる』
といった五七さんの句が大量に票(得点)をさらって行きました。やがて当番幹事から、本日の成績発表です。(数字などは会報係の資料による。)
トータルの「天」は~~36点の~五七さ~ん。パチパチパチ。
トータルの「地」は~~31点の~ひろばさ~んと鬼禿さ~ん。 パチパチパチ。
トータルの「人」は~~28点の~更歩さ~ん。パチパチパチ。
「花」は~3輪の~鬼禿さ~ん。パチパチパチ。
なお~、欠席投句のMさんの2句は会報にも掲載されま~す。パチパチパチ。

次いで年間各賞の発表と表彰です。幹事さんからの指名により、孝多が賞品の手渡し役になりました。年間総合「天賞」、「地賞」、「人賞」、「花賞」……。
賞品は例年にも増して、良く吟味された品々でした。該当句や受賞者の個性にぴったり合った逸品揃い。みんな、みんな、 パチパチパチッでした。
そして、ラストに、当番幹事の締めの声が響いて、平成26年の初句会も楽しく、めでたく、お開きになりました。
『次ぎの句会は、通算530回になりま~す。当番幹事は不実さんと鬼禿さ~ん。よろしくお願いいたしま~す。』 

ああ、良かった、良かった。孝多は9月に作った『松葉牡丹 悪口言えば 咲きにけり』が、≪得票パーセンテージ≫の賞のひとつに選ばれて、≪口を閉じて本を読め≫ということでしょうか。ジッパーの型をした≪本にはさむ栞≫を頂戴して、ニコニコと帰宅したのでした。いや、勿論、その前に二次会へと向かって……
そうです。≪年間天位4回≫でダントツの風歌さん、及び本日の「天」の五七さんを称えると同時に、年間賞やら何やらでご苦労頂いた幹事の風歌さんとタケシさんを慰労して……。
カチン、カチンと乾杯だ。乾杯だ。ア・ハッピー・ニュー・イヤー!と終電近くまで。

                                        (第七話・完)

◆◆事務局からのお知らせ◆◆
こふみ会・第529回(今回)にて詠まれた全38句をメールでお届けします。ご希望の方は下記までお申し込みください。
     chinokigi@kg7.so-net.ne.jp


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水野タケシ

先生、臨場感たっぷりのリポートエッセイ、いつもありがとうございます。

おかげさまで、今年も1月幹事を無事終えられました。

年間賞のプレゼンテーターの大役は、やはり孝多先生でなくては!と毎年実感しています。

来年もどうぞよろしくお願いいたします!!
by 水野タケシ (2014-02-01 07:24) 

寿限無

今回も楽しく読まさせていただきました。
こふみ会には年間最多天獲得者や、最高得点獲得句や出席皆勤賞など、数々の賞があるんですね。
ますます興味がわきました。
先生の『松葉牡丹 悪口言えば 咲きにけり』
これいいですね。
得点入ったのはわかります。
しかし景品が「ジッパーの型をした本にはさむ栞」とは、悪口はやめましょう。ってことですよね。
座布団一枚!
『誰もいない 大伊勢海老を 頭に載せる』
この句、またまた字余りですが、中七の「大伊勢海老」だけが違和感があります。
理由はわかりませんが?
来月も楽しいコラム待ってます。


by 寿限無 (2014-02-06 21:55) 

岩永矢多

孝多さん。いつも楽しいていねいなレポート、ありがとうございます。毎回楽しみにしてます。今朝FAX頂いて、覗いてみましたが。まだだったので、ちょっとおしゃべりです。
ここでのメッセージは、見ることができるんですよね?タケシが面倒みてるんよね。孝多さん、ちゃんと読めているのだったら、今後メール代わりに、ここにお便りしようかな、と思います。孝多さんメールやられてないので、FAXだけで不便してますでしょ?その解決案です。どうでしょう?おしゃべりできて、今後コミュニケーションがよくなるし。ね!岩永矢多
by 岩永矢多 (2014-03-01 17:34) 

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