SSブログ

ペダルを踏んで風になる №14 [雑木林の四季]

備えあれば

       サイクリスト・バイクショップ「マングローブ・バイクス」店主  高橋慎治  

私が生を受けてから起きた大変な自然災害の一つである東日本大震災から一年が過ぎました。
つい先日、関東でも千葉県沖震源の強い地震がありました。
とても考えさせられる一年でもありましたし、これからも用心しながらの日常を送る必要性を感じます。
ピンチに遭遇したときの対処法は、実際は人それぞれでしょうが、やはり危機管理というところでは共通の事柄があるように思います。
まあ、危機管理と言っても、ここでも価値観によって「ヤバイ」度合は人それぞれになってしまうのですが・・・

震災の後、生産地の被災から物資の調達が出来なくなったり、生活物資の品薄や枯渇が懸念されたりして、実際にそれが現実にもなりましたね。
飲料水やお米、トイレットペーパーにガソリンと、日常で当たり前にあった物資が不足して消費者がそれらを求めて右往左往しました。
日本人は古くから集団行動や連帯責任と、個人を尊重するより集団を重んずる傾向があります。
「赤信号、皆で渡れば怖くない」なども集団行動における行為の一つではないでしょうか。
ですから、マスコミからの情報で「日用品が品薄だ!」と聞けば、一目散に買い漁って買いだめをする・・・
非常事態に日常と同じ事をしようとするから異常になるだけで、目先を変えて代用になるものを考えることも危機管理能力と言えると思います。

ミネラルウォーターが無ければ、お茶や炭酸水など、水でなければならないもの以外は代用できます。
お米が無ければパン、パスタ、うどん等で炭水化物の摂取は出来ます。
金輪際お米が食べられないなら寂しい限りですが、落ち着けば安定して供給されます。
「これが無ければ出来ない」ではなくて、「これで何が出来るか」ということが気持ちの上でも大切です。
自転車乗りの人達は、この「これで何が出来るか」という感覚に長けている方が多いように感じます。
ツーリングに出掛けた先でアクシデントやトラブルに直面したときにもこの感覚は役に立ちます。

物事の解決や改善は、まずは最良の方法を考えて、その方法が達成可能な方法か検証します。
ただし、予算も機材も制限がありますからその中で最善を模索します。
そして現場では、使える道具や材料もさらに限界があります。
その中で「これで何が出来るか」を考える発想力が問われます。
危機管理能力は、本当に困ったときの最善の解決策を模索する発想力から生まれることが多いように思います。
何かが無くなってから行動するのではなくて、何か変わりになるものはないかと常にアンテナを張り巡らすなど、不足のpedaru14-1.jpg事態に対して代替策をいくつか準備しておくことも必要です。

ここからは自転車のトラブルを例にして考えてみましょう。

走行中、運悪くパンクをしてしまいました。
パンク修理に自転車屋さんを探しますが、人里離れた山道に当然自転車屋さんはありません。
そこに自転車乗りが通りかかれば知恵を貸してもらえるかも知れませんが、そうでなければ自分で修理するほかありません。
手持ちのものを確認してみましょう。
幸いサドルバックに予備チューブ、タイヤレバー、携帯ポンプ゚が見つかりました。
さあ、修理です。
しかし、チューブを入れ替えてタイヤレバーを使って力ずくでタイヤをはめようとしたので、タイヤレバーの先端でチューブを傷付けてパンクさせてしまいました。
ただ、幸いにも予備チューブをもう1本持っていたので、今度は用心してパンク修理を完了させました。
再び走り始めると、下り坂に差し掛かりました。
下り坂で自転車のスピードが上がり、慎重に運転していたつもりでしたがカーブで砂にタイヤをとられてスリップして転倒してしまいました。
転倒の衝撃でハンドルとサドルの取り付けがずれてしまいました。
幸いサドルバックに携帯工具がありましたので、ハンドルとサドルの取り付けを修正しました。
再び走り始めようとしたら肘の擦過傷から出血があります。
幸いサドルバックに絆創膏がありましたので、傷に貼って処置しました。
この日は色々トラブルやアクシデントがありましたが、無事に帰宅できました。

さて、いくつの「幸い」があったでしょうか?
行動には危険が伴う場合がありますが、この方はサドルバックに「幸い」の数以上の危機管理を備えていたことになります。
ご自身の行動や生活において想定されるトラブルやアクシデントに「これで何でも出来る」という状況を確保していると有事のときに役に立つと思います。

「備えよ、常に」とは、ボーイスカウトの教えですが、今はそんな時代ですね。

【ツール缶】
前回はネジ、いわゆるボルトのネジ回しでしたが、今回はナットの方です。
ナットを回すときサイズの適切なスパナを用いるのが最良ですが、俗に言う「モンキーレンチ」を多用される方もいらっしゃいます。
ただ、このモンキーレンチは適切な使用でないとナットを傷めてしまう恐れがあります。
精度の高い良質なモンキーレンチもありますが、それを買うなら適正サイズのスパナを買う方が安上がりです。
モンキーレンチは万能スパナにはなりえないというのが私の感想です。

pedaru14-2.jpg

※《私のお気に入り》
「知る人ぞ知る」っていうモノは説得力ありますよね。

pedaru14-3.jpg

http://ktc.jp/catalog/html/ms30-8~19.php

使用に際する繊細さ。ネーミング。「プロフィット」
いい響きです。


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0