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アナウンサーの独り言 №10 [雑木林の四季]

わが“ファミリー”のこと

                              コメンテイター$キャスター  鈴木治彦

田辺よしのぶさん

〝もしもしライオン〟の名ンビを紹介する。
 私からみるとまことにうらやましいような大きな大きなドングリ眼に、あんまりエメメロンシャンプーーを必要としないショートカットの頭。いつも人なつっこい〝もしもしオジサン〃である。
 戦後のNHKのラジオで一世を風靡(ふうび)した明るい美声の、今は亡き田辺正晴アナウンサーの長男で、歌手の田辺ヤッチン(靖雄)や元マヒナスターズの三原さと志前夫人の兄。タレント歴は、NHKのアナウンサーを振り出しに、十五年目。
それが仕事とはいえ、ライオン製品に対する勉強と豊かな知識と愛情の深さは大変なもの。生放送のブッツケ本番でたとえ電話がつながらなくても、慌てず騒がずじつに巧みにその場をおさめてしまう。このあた。の当意即妙もふだんの努力があるからこそで、スポンサーにとっては得がたい財産だろう。家へ帰ればモダンで美しい三恵子夫人のよき夫であり、伸明くん、愛映子ちゃんという二人の子供のよきパパ。昭和十一年生まれの働き盛りである。

佐藤遙子さん

 ちょっとみると独身の優しいお姉さんといった感じだが、あれでじつは由美ちゃんという四歳の娘を持つ一児の母親。本名を高妻(こうずま)遙子といい、大恋愛の末結ばれて今だに手をつないで寝るというご主人は、家電関係の会社につとめる有能なサラリーマンである。
〝もしもし〟での田辺とのコンビも一番長く、それだけに二人の呼吸もピッタリ合って、いつも安心してみていられる。本番の寸前まで一人口の中でブツブツ能書きを暗詞したり、やや心配そうな顔つきで商品を何度も点検しているが、いったんカメラが自分の方へ向いて、タリー(赤いランプ)がつけば、途端におなじみのやわらかな笑顔になってなんの淀みもないあたり、さすがプロだ。田辺との掛け合いや電話の相手とのやりとりのなかに、時にチラッと若い人妻らしい生活の匂いも感じさせながら、とてもお産をしたなんて思えないホソーい体にファイトをみせて、ひたすらライオン歯みがき、ライオン油脂のコマージャルに打ち込んでいる姿はなんとも美しい。
  『奥さま8時半です』昭和五十五年二月稽書房刊、『もしもしライオン新聞』昭和五十年四月発行)

『アナウンサーの独り言』光風会出版


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