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無言館へ行ってきました [アーカイブ]

 6月27日、梅雨の晴れ間をぬって小さな旅を計画、長野県上田にある無言館をたずねました。上田は信州の鎌倉と呼ばれる塩田平に広がる町で、別所温泉や真言宗の古刹、前山寺が知られています。無言館はその前山寺のそばの丘の上に、さりげないたたずまいで訪れる人を迎えてくれます。「美術館がある町に住んでいる市民は本当にうらやましい」と云うのは同行のNさんの弁です。

 無言館は窪島誠一郎さんが館長を務める、夭折した戦没画学生の絵を展示することで知られています。窪島さんは別のことで有名になられましたが、やはり夭折した画家たちのデッサンを集めた「信濃デッサン館」を造られていて、無言館はこの「信濃デッサン館」の実は分館です。どちらも才能にめぐまれながら若くして亡くなった無念が思い偲ばれて、訪れる人は誰も口数は少なく、ひっそりと館を後にする気配がします。

 無言館の絵の作者たちは皆20代から30歳前後で戦争で亡くなりました。その多くが、日本が絶望的な戦争の終結にむかう、昭和20年になって亡くなっています。戦地からの手紙や兵士としての写真が展示されている中で、不思議なことにみんな立派な兵隊の顔をしているとSさんが云いました。だから余計に切ないのだと。受付で求めた『「無言館」にいらっしゃい』は窪島さんが「無言館ってこんなところだよ」と子供たちに語りかける本ですが、その本の中でも、戦争に行った画学生たちの多くが、実は心ならずもではなく、国のため、家族のためといさんで戦地に赴いたことが書かれています。だから余計にせつない・・。反戦の言葉はどこにもなくても、無言館は訪れる人に静かに反戦を訴える場所なのだと思います

 『知の木々舎』のこのブログには第五福竜丸の編集記事を連載しています。戦後は遠くなり、ビキニで被爆した第五福竜丸のことを知っている人もどんどん少なくなっていく。風化してなくならないうちに伝えていくことは、知っている人の使命なのだという気がしています。

 

 

 


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